16歳でプロ入り!ジャリーナ・イングラムの再出発ストーリー

コラム

テニスで全国を目指した少女が、ピックルボールという新たな競技で再び夢を追い始める──。


アメリカ・アリゾナ州出身のジャリーナ・イングラムは、16歳でプロデビューを果たした注目の若手選手。

テニスからピックルボールへ、挫折から再起へ。

彼女の成長物語には、家族との絆、苦しみ、そして希望が詰まっています。

養子縁組と家族の強い絆

ジャリーナは2007年、アリゾナ州ツーソンに生まれました。

実母が育てることが難しかったため、6歳のときに親族であるマリオンさんとマイケルさん夫婦のもとへ。ふたりは当初「里親」としてジャリーナを迎え、やがて正式に養子縁組を行います。

その日は「全米養子の日」。年間で雨が数日しか降らないフェニックスで、なんと珍しく雨が降りました。


「神様が祝福してくれたみたいだった」と母マリオンさんは振り返ります。

式のあと、家族で訪れたディズニーランドでは、スタッフから思わぬVIP対応を受けたこともあり、忘れられない一日となりました。

スポーツ万能少女、テニスにハマる

活発な性格だったジャリーナは、幼少期からいろんなスポーツに興味津々。


サッカー、水泳、体操、フラッグフットボールなど何でも挑戦し、どれも人並み以上の運動センスを見せていました。

でも、7歳で初めてラケットを握ってみた時、「これだ!」と直感。


JWマリオット・フェニックス・デザートリッジ・リゾート&スパでテニスのレッスンを始め、本格的な練習にのめり込んでいきました。

両親は週末の遠征、州をまたぐ大会の送り迎えなど、家族全体がジャリーナのテニス中心の生活に。


その努力の甲斐あって、彼女はL2大会(※全米の強豪が集まるレベルの高いジュニア大会)で優勝。


L4やL5の大会でも安定して結果を残すなど、将来を期待される存在でした。

名門アカデミーで味わった苦い挫折

さらに強くなりたい──そんな思いで2022年夏、ジャリーナはテキサス州にある名門「ジョン・ニューカム・テニスアカデミー」の夏期プログラムに参加します。


同所はプロも輩出するアメリカ有数のジュニア養成施設で、合宿形式で技術もメンタルも鍛えられる環境でした。

その中でジャリーナはキャプテンに選ばれ、2023年3月には故郷アリゾナの大会(L3)でチームを率いてダブルス優勝を果たします。


でも、華々しい実績の裏には、深刻な問題もありました。


施設内のセキュリティトラブルや、仲間からのいじめ──精神的ストレスが限界を超え、母マリオンさんがすぐに駆けつけて引き取りに来たほどでした。

その後、いったんテニスに戻ろうと努力しますが、10月の試合で敗れた瞬間、ふっと心が折れてしまいます。


「もう、これ以上は無理かもしれない」──そう感じた彼女は、ラケットを置く決断をしました。

ピックルボールとの出会いがすべてを変えた

そんな時、母マリオンさんが「運動不足解消にもなるし、一緒にやってみない?」と誘ったのがピックルボール。


※ピックルボール:テニスと卓球、バドミントンを組み合わせたラケットスポーツ。少ないスペースでプレーでき、初心者でも楽しめるのが魅力です。

近所のヴィスタンシアという地区のコートで始めたところ、地元のプレイヤーたちがとても親切で、プレーするたびに笑顔が戻ってきたジャリーナ。


もともとテニスで鍛えた技術がベースにあるため、成長スピードは異常なほど早く、あっという間に上級者と打ち合えるレベルに到達します。

驚異のスピードでプロへ

サプライズ市のパブリックコートに通うようになったジャリーナは、そこでアリゾナで有名なピックルボール一家「ラム家」と出会い、切磋琢磨する日々が始まります。

さらには、地元のベテランプロ・デイビッド・ファーマン氏の指導を受け、本格的にプロの世界を目指すことに。


その努力が実を結び、なんと2024年、テニスを始めた思い出の地「JWマリオット・フェニックス」で行われたPPAツアーでプロデビューを果たします。

初出場で予選を勝ち上がり、1回戦も突破。16歳にして堂々のパフォーマンスを披露し、周囲を驚かせました。


そこから半年足らずでPPAツアーとの契約を勝ち取り、まさにシンデレラストーリーのような歩みを進めています。

未来に向けて進むジャリーナ

2025年5月には高校を卒業し、秋からは地元の大学「エストレラ・マウンテン・コミュニティ・カレッジ」でコミュニケーション学を学びながら競技も続ける予定です。

現在掲げている目標は──

  • PPAツアーのシングルスで年内にトップ20入り(※現在29位)
  • 女子ダブルスで固定パートナーを見つけ、準備と練習を重ねる
  • ミックスダブルスでPPA本戦ベスト8入り

普段からアリゾナの地元プロたちと合同練習を重ね、経験とスキルを磨いています。


「ただの若手」では終わらない、そんな雰囲気が彼女には漂っています。

まとめ

テニスで輝き、そして傷つき、それでも前を向いたジャリーナ・イングラム。


彼女の再スタートは偶然ではなく、努力と支えが織りなした必然の結果です。


ピックルボールという新しい世界で、彼女は間違いなく未来のスター候補。


16歳の挑戦は、まだ始まったばかりです!

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