2025年9月、シンシナティでついに初優勝を果たしたジェイド&ジャッキー・カワモト姉妹。
これまでファンに愛されながらもタイトルには届きませんでしたが、今大会ではトップシードを次々撃破。
その勝利の裏には、初心者でも取り入れやすい具体的な戦術が詰まっています。
ここでは姉妹が実践したテクニックとメンタルのコツを、実例を交えて詳しく解説します。
柔軟に動く「アダプティブ・ポジショニング」
シンシナティ決勝で姉妹は、相手の攻撃角度を徹底的に封じました。
ポイントはトランジションゾーン※を恐れず活用すること。
このゾーンはベースラインとネット近くのキッチンの間にある中間エリア。
多くのプレーヤーが狙われやすい危険地帯と考えがちですが、2人はあえてここを経由しながらポジションを調整。
ラリーの最中でも相手の打球方向を読み、次の一打に備えて最適な立ち位置を取ることで、攻守の切り替えを自在に行いました。
あなたも練習中からこのゾーンでの足運びを意識すると、コート全体を支配しやすくなります。
※トランジションゾーン:ベースラインとキッチン(ネット近くの非ボレーエリア)の間。
守備が難しいとされるが、戦略的に使うと相手の攻撃を中和できる。
ネットミスを防ぐ“ネットリスペクト”思考
「ネットだけは絶対に越せ」これはトップコーチが必ず口にする鉄則。
姉妹も例外ではありませんでした。
主導権を握ったショットではネットにかけるミスをほぼゼロに抑え、相手にチャンスを与えません。
例えば準決勝の終盤、攻撃的に攻めながらも必ずネット上50cmを狙い、アウトよりもネットミスを恐れない球出しを徹底。
これにより、相手が強引に仕掛けて自滅する展開が何度も見られました。
次の練習から、まずは「絶対にネットにかけない」をテーマにラリーを続けてみてください。
アウトよりも失点のダメージが大きいネットミスを減らすだけで、勝率はぐっと上がります。
逆境を覆す「次の一打」集中術
準決勝では最終第3ゲームで4-9とリードされながら逆転。
決勝でも第1・2ゲームを失った後、3連勝してタイトルを手にしました。
カギは「一打ごとにリセット」というシンプルな考え方。
例えば決勝第4ゲーム、6-6の緊迫した場面でミスをしても、姉妹はすぐ次のラリーに集中。
過去の失敗を引きずらず、「次の一打」にすべてをかける姿勢を貫きました。
ピックルボールはラリー単位、いや一打単位で勝負が決まります。
試合中に「次の一打だけを考える」習慣を持つことで、プレッシャー下でも冷静にプレーできます。
ペアを強くする仲間への声かけ
ペア競技では技術だけでなく、メンタルサポートが重要。
決勝第5ゲーム6-6、ジャッキーは決定球をネットにかけてしまいました。
しかし、落ち込むどころかジェイドにパドルを軽くタップして「大丈夫!」と一声。
この一瞬の声かけでチームは落ち着きを取り戻し、そこから5連続ポイントで11-7の勝利を収めました。
パートナーがミスした時こそ、支え合う声かけが試合を左右します。
「ナイスファイト」「切り替えよう」といった一言で、ペアのパフォーマンスが格段に上がります。
ラリーを立て直すリセットショット
相手の強打をそのまま返すのが難しい場面では、リセットショット※が威力を発揮します。
カワモト姉妹は守備の際、ボールをあえて緩く返してラリーをニュートラルに戻し、反撃のチャンスを狙いました。
リセットショットは、力を抜いて相手のコート中央にふんわり返す技術。
強打を受けても焦らず、まずはラリーを整えることで相手のペースを崩せます。
日々の練習で「スピードを抑え、相手が攻めづらい球を返す」感覚を磨くと、上級者の攻撃にも対応できるようになります。
※リセットショット:強打をゆるい球で返し、ラリーを仕切り直す守備的ショット。
まとめ:カワモト流をあなたの試合に
カワモト姉妹の初優勝は、派手なショットよりも戦略的な動きとメンタルが決め手でした。
柔軟なポジショニング、ネットを意識した堅実なラリー、そして「次の一打」に集中する冷静さ。
パートナーを支える声かけやリセットショットも、試合の流れを引き寄せる武器になります。
これらを意識して練習に取り入れれば、あなたも地元コートで一歩上のプレーを体感できるはずです。