相手のチャンスボールを「これは絶対に決めたい!」という場面で、しっかり打ち切れるかどうかは試合の流れを大きく左右します。
大事なのは腕力ではなく「脚→腰→コンタクト」の順番で、効率よくパワーを伝えること。
この記事では、フォームのイメージだけでなく、具体的な身体の使い方や練習方法まで踏み込んで解説していきます。
なぜフォアドライブに「腰」が大事なのか
フォアドライブでありがちなのが、「当たったときは速いけど、再現できない」という悩みです。
多くの場合、腕だけで振っていて、そのときの感覚に頼りきりになっています。
安定して強いドライブを打つには、エネルギーの流れを固定することが大事です。
- 足の裏でコートを踏む
- その力が脚→骨盤→お腹→肩→腕の順に伝わる
- 最後にパドルがボールを“押し出す”
この「下から上へ」の流れができると、毎回似たボールが打てます。
腰はこのエネルギーを「ひねってためる・一気に解放する」ハブのような役割を担っています。
ドライブの土台をつくる「脚」と低い構え
具体的な姿勢のイメージは「小さくジャンプする前の構え」です。
がっつり腰を落としつつ、いつでも前・横に動けるようにします。
チェックポイントは次の通りです。
- 足幅:肩幅より少し広め
- 体重:かかとではなく、つま先寄りの母指球(ぼしきゅう※親指の付け根)
- 膝:つま先より少し内側を意識して曲げる
- 上半身:猫背にならないように、胸を軽く張る
練習では、ボールを打たずに「相手が打つタイミングで毎回しゃがむ→戻る」を10球分だけやってみてください。
まずは「見る→低く構える」が自動で出るようにクセづけると、そのあと腰の回転を乗せやすくなります。
パワーを生み出すヒップローテーションのコツ
ヒップローテーション(※腰を中心に体を回す動き)で大事なのは、「足→腰→肩」が順番に回ることです。
全部を一気に回そうとすると、ただの“体のねじれ”で終わってしまいます。
おすすめのイメージは「後ろポケットから前ポケットへ」動かす感覚です。
- 構えたとき、後ろ足側のお尻(後ろポケット)を少し後ろに引く
- ボールが来たら、後ろ足で床を押しながら、そのお尻をネット方向(前ポケット側)にスライドさせる
- おへそがネットに向くころに、ちょうどパドルがボールに当たる
打ったあと、「おへそが横を向いたまま」なら腰が回っていません。
毎回打った直後に「おへそがネットを向いているか」をセルフチェックすると、良い癖がついていきます。
グリップとスタンスでボールをつぶす感覚を作る
グリップは「握手するように持つイースタングリップ」と「ハンマーを握るようなコンチネンタルグリップ」の中間くらいを目安にします。
フェイスを少し閉じやすくなり、ボールの上半分を“かぶせて”打てるので、ネットにかけにくくなります。
握る強さは、歯ブラシを持つくらいの力がちょうどいいです。
- 強さ10中「4〜5」くらい
- 指は軽く曲げるが、手首は固めない
- 打つ瞬間だけ少しだけグッと締まる
スタンスはセミオープンスタンス(※ベースラインに対して45度くらい)を意識します。
具体的には、
- 前足のつま先をネットポストの少し内側に向ける
- 後ろ足はベースラインとほぼ平行
- 前足7割・後ろ足3割くらいの体重配分
こうすると、腰を前に回しやすくなり「ボールを前でつぶす」感覚がつかみやすくなります。
コンパクトスイングでスピードと安定感を両立
コンパクトスイングとは、「準備は小さく、加速は速く」です。
バックスイングを大きく取ろうとせず、体の正面からパドル1本ぶんくらい後ろまでに収めます。
具体的なチェックポイントは次の通りです。
- パドルの先が後ろのフェンスの方向を向かない
- バックスイングで、パドルの高さは腰〜みぞおちあたり
- 打つ直前に「キュッ」と加速して前に出す
ドリルとしては、サービスラインから相手に向かって、
- 片手でパドルを持つ
- バックスイングを「30センチだけ」と決めてスイング
- 10球連続で同じリズム・同じ大きさで打つ
この練習をすると、力任せではなく「加速で飛ばす」感覚が身につき、試合で振り遅れが減ります。
効率のいいドライブでラリーを締め切る
強いドライブは「なんでもかんでもフルスイング」ではありません。
使う場面を絞ることで成功率が上がり、相手からすると「ここで来るのか…!」という嫌なショットになります。
狙いやすいのはこんなボールです。
- 相手のボールが浅くなって、サービスラインよりこちら側に落ちそうなとき
- 相手のバックハンド側に甘いボールが浮いたとき
- 相手が体勢を崩していて、次の一歩が出にくそうなとき
このときに、
- 低く構える
- 腰をしっかり回す
- 前足の膝より前でコンタクト
という「いつもの順番」で打てれば、かなり高い確率でラリーを締め切れます。
ドライブは“とりあえず打つ球”ではなく、“ラリーを終わらせる球”と決めて使うと、判断もシンプルになります。
まとめ
フォアドライブを武器にする近道は、「脚→腰→コンタクト→フォロー」という流れを、毎回同じように再現することです。
低い構えで脚を使い、腰の回転でパワーを作り、前でボールをとらえる。
この順番さえ守れば、腕に力を入れなくてもボールは自然と伸びていきます。
練習では、まずスタンスと構えだけ、次に腰の回転だけ、と要素を分けて確認してみてください。
ひとつひとつがつながってくると、「あれ、急にボールが重くなった?」と周りに言われるようになります。
効率のいいドライブを身につけて、ラリーの主導権を握る楽しさを味わっていきましょう。





