MLP2026第2回トレード期間では、船水雄太のユタ加入やダラスの復活につながった補強など、大きな動きが続きました。
誰が移籍したのかだけでなく、各チームがどこを強化しようとしたのかまで詳しく解説します。
MLP2026第2回トレード期間の仕組みと特徴
MLP2026の第2回トレード期間は、3月2日に始まり、7月20日正午まで行われました。
トレードとは、チーム同士が所属選手を交換する仕組みです。
選手同士をそのまま入れ替える場合だけでなく、選手に金銭を加えて条件を調整するケースや、3チーム以上が同時に動く大型取引もあります。
今回の期間では、シーズン序盤の3月から締切日の7月20日まで、合計で多くの選手が所属先を変えました。
特に7月は、プレーオフ進出を目指すチームと、来季以降を見据えるチームの方針がはっきり分かれています。
MLPは、男子選手と女子選手が同じチームに所属する団体戦です。基本的には次の順番でゲームが行われます。
- 女子ダブルス
- 男子ダブルス
- 混合ダブルス第1試合
- 混合ダブルス第2試合
4ゲームを終えて2対2の場合は、ドリームブレーカーが行われます。
ドリームブレーカーとは、選手が数ポイントごとに交代しながらシングルスを戦う特別なタイブレークです。
普段はダブルス中心の選手でも、一人で広いコートを守る力が求められます。
そのため、チームが補強を考えるときは、単純な個人ランキングだけでは判断できません。
たとえば、男子ダブルスが弱いチームなら、強打が得意な男子選手を加えるだけでなく、既存選手と左右どちらでプレーするかまで考える必要があります。
女子選手を獲得する場合も、女子ダブルスで安定して勝てるのか、混合ダブルスで男子選手をサポートできるのかによって価値が変わります。
今回のトレード期間では、主に次の4つの狙いが見られました。
- プレーオフ進出を目指す即戦力補強
- 優勝候補が弱点を埋めるための補強
- ペアの相性を改善するための選手交換
- 若手を集めた将来重視のチーム再編
選手名だけを見るよりも、「どのゲームで起用するための補強なのか」を考えると、トレードの意味がわかりやすくなります。
船水雄太のユタ移籍で何が変わるのか
日本のファンにとって最大のニュースは、7月15日に成立した船水雄太のユタ・ブラックダイヤモンズ加入です。
このトレードでは、ユタが船水を獲得しました。マイアミ・ピックルボールクラブは、タイラー・ルーンと金銭を受け取っています。
- ユタ獲得:船水雄太
- マイアミ獲得:タイラー・ルーン、金銭
船水は、日本のソフトテニスで長く活躍してきた選手です。
ソフトテニスでは、素早いフットワーク、広い守備範囲、鋭いボレー、コースを打ち分ける技術が求められます。
これらの能力はピックルボールでも生かせますが、競技特有の戦術へ適応する必要があります。
ピックルボールでは、ネットから約2.1メートルの範囲にノンボレーゾーンがあります。
通称「キッチン」と呼ばれ、この中に立った状態では、バウンド前のボールを直接打つボレーができません。
ソフトテニスでは前衛がネット近くへ詰めて決める場面が多いですが、ピックルボールではキッチンラインの外側で構え、相手の足元へ柔らかいボールを落としながらチャンスを待ちます。
船水に期待されるのは、まず男子ダブルスでの起用です。
ユタにはコナー・ガーネットやタマ・シマブクロが所属していました。
船水が右サイド、左サイドのどちらに入るかによって、ペアの攻撃パターンは変わります。
左サイドの選手は中央のボールをフォアハンドで処理する機会が多く、攻撃の中心になることが一般的です。
一方、右サイドでは守備やブロック、相手の強打を落ち着いて返す能力が重要になります。
船水のフットワークを生かすなら、広い範囲をカバーしながら攻撃へ入る役割が考えられます。
ただし、ソフトテニスの感覚で前へ入りすぎると、キッチン内へ足を踏み入れる反則につながるため、位置取りの調整が必要です。
混合ダブルスでの起用も注目ポイントです。
MLPの混合ダブルスでは、男子選手が中央寄りへ動いて多くのボールを処理する「スタッキング」がよく使われます。
スタッキングとは、サーブやリターンの後に選手が決められた位置へ移動し、得意なサイドでプレーし続ける戦術です。船水が攻撃役を担当する場合、女性選手との距離感や中央のボールの分担が重要になります。
船水加入後のユタは、サンディエゴ大会でアトランタに勝利しました。
ただし、グループ内では最下位に終わり、獲得できた順位ポイントは1ポイントです。
ユタはプレーオフ圏外におり、残り大会で上位に入らなければなりません。
船水に求められるのは、目立つショットを決めることだけではありません。
- サーブとリターンを安定させる
- キッチンラインまで安全に前進する
- パートナーと中央のボールを分担する
- 強打だけでなくドロップやディンクを使う
- ドリームブレーカーでシングルスにも対応する
ドロップとは、相手のキッチン付近へ柔らかく落とし、自分たちが前へ進む時間を作るショットです。
ディンクとは、キッチンライン付近から相手のキッチンへ短く落とすショットです。
相手に強く打たせないために使われます。
ソフトテニスで培ったスピードに、ピックルボール特有の柔らかいショットが加われば、船水はユタの大きな武器になりそうです。
ダラスを優勝へ導いた2つの補強
今回のトレード期間で、最もわかりやすく結果を出したチームがダラス・フラッシュです。
ダラスはシーズン序盤、思うように勝てませんでした。
MLPオースティン大会では1勝4敗に終わり、順位ポイントはゼロ。プレーオフ進出も危ぶまれる状態でした。
そこでダラスは、女子選手の構成を大きく変えます。
最初の動きは6月15日です。
ダラスはタイラ・ブラックをコロンバス・スライダーズへ放出し、ダニエル・タウンゼントと金銭を獲得しました。
- コロンバス獲得:タイラ・ブラック
- ダラス獲得:ダニエル・タウンゼント、金銭
続いて6月22日、フェニックス・フレームズからアリックス・チュオンを獲得しました。
フェニックスは、アルビー・ホアンと金銭を受け取っています。
- ダラス獲得:アリックス・チュオン
- フェニックス獲得:アルビー・ホアン、金銭
この2つのトレードで、ダラスは女子ダブルスと混合ダブルスの両方を組み直せるようになりました。
タウンゼントとチュオンの女子ダブルスは、加入後8勝8敗でした。
数字だけを見ると圧倒的ではありませんが、以前よりも試合を大きく崩しにくくなった点が重要です。
女子ダブルスで必ず勝つ必要はありません。
1ゲームを接戦に持ち込み、男子ダブルスや混合ダブルスで勝てる形を作れば、チーム戦では十分に戦えます。
ダラスの復活を支えたのは、もともと所属していた男子選手の好調です。
JW・ジョンソンとオーギー・ゲの男子ダブルスは、シーズン序盤の14ゲームで8勝6敗でした。その後は9勝2敗まで成績を伸ばしています。
サンディエゴ大会では、ロサンゼルスのベン・ジョンズ/マックス・フリーマン組、コロンバスのアンドレイ・ダエスク/CJ・クリンガー組にも勝利しました。
どちらも強力な男子ペアであり、ダラスの勝利が偶然ではないことを示しています。
さらに、タウンゼントとゲの混合ダブルスが大きな武器になりました。
このペアは、タウンゼント加入後11勝2敗です。
直近10ゲームでも8勝2敗と好調でした。
ゲが攻撃の中心になり、タウンゼントが相手の強打を返しながらラリーを安定させることで、役割分担がはっきりしたと考えられます。
サンディエゴ大会でダラスは5戦全勝を達成しました。
グループ戦ではロサンゼルス・マッドドロップスに勝利し、決勝ではコロンバスを3対1で破っています。
コロンバスはグループ戦を5戦全勝、しかも1ゲームも落とさずに決勝へ進んでいました。
そのチームを倒したことで、ダラスは一気に優勝候補へ浮上しました。
ダラスの補強が成功した理由は、単純に有名選手を加えたからではありません。
- 女子ダブルスの安定感を上げた
- ゲと相性の良い混合ダブルスペアを作った
- 男子ダブルスの負担を減らした
- 複数のゲームで勝てる形を作った
- 選手の役割を明確にした
MLPでは、4ゲームのうち3ゲームを取れば勝利です。
女子ダブルスを落としても、男子ダブルスと混合ダブルス2試合を取れば3対1で勝てます。
現在のダラスは、まさにその形を作れるチームになっています。
締切日に動いたニュージャージーとロサンゼルス
トレード締切日の7月20日には、プレーオフを見据えた大型取引が相次ぎました。
最も注目されたのが、ニュージャージー・ファイブスとオーランド・スクイーズのトレードです。
ニュージャージーは、フェデリコ・スタクスルードとミラン・レーンを獲得しました。
オーランドは、マルティン・エメリッヒ、リナ・パデギマイテ、金銭を獲得しています。
- ニュージャージー獲得:フェデリコ・スタクスルード、ミラン・レーン
- オーランド獲得:マルティン・エメリッヒ、リナ・パデギマイテ、金銭
ニュージャージーは、アナ・リー・ウォーターズとジョージャ・ジョンソンによる女子ダブルスが最大の武器です。
この女子ペアが勝てば、残り3ゲームのうち2つを取るだけでチーム勝利になります。
しかし、ミッドシーズン・トーナメント決勝では、セントルイスがジョージャ・ジョンソンへ集中的にボールを送り、女子ダブルスを崩しました。
女子戦を落としたニュージャージーは、その後の展開が苦しくなっています。
今回の補強は、女子ダブルスに頼りすぎない形を作る狙いがあると考えられます。
スタクスルードが男子ダブルスや混合ダブルスで安定してポイントを取れれば、女子戦を落としても逆転できる可能性が高まります。
ただし、締切日に加入した選手は、チームへなじむ時間がほとんどありません。
誰と男子ダブルスを組むのか、混合ダブルスでウォーターズと組むのか、ジョンソンと組むのかによって戦術は変わります。
強い選手を加えても、中央のボールをお互いに譲ったり、反対に2人とも取りにいったりすればミスが増えます。プレーオフまでに役割を整理できるかが重要です。
同じ7月20日には、ロサンゼルス、ユタ、マイアミによる3チーム間トレードも成立しました。
ロサンゼルス・マッドドロップスは、ユタからコナー・ガーネットを獲得しました。
ユタはマイアミからタイラー・ルーンを獲得し、ロサンゼルスから金銭を受け取っています。
マイアミは、ロサンゼルスからゲイブ・ジョセフを獲得しました。
- ロサンゼルス獲得:コナー・ガーネット
- ユタ獲得:タイラー・ルーン、金銭
- マイアミ獲得:ゲイブ・ジョセフ
ロサンゼルスは、今季出場したレギュラーシーズン3大会で、優勝1回、準優勝2回という好成績を残していました。
しかし、サンディエゴ大会ではアトランタとダラスに敗れ、5位に終わっています。
ベン・ジョンズ、マックス・フリーマン、キャサリン・パレンテなど強力な選手を抱えていますが、最近はシーズン序盤ほどの勢いがありません。
ガーネットの加入によって、男子ダブルスの組み合わせを変えたり、混合ダブルスの相手によって選手を使い分けたりできるようになります。
一方、選択肢が増えすぎると、どのペアが最も強いのか判断が難しくなることもあります。
プレーオフ前に必要なのは、全員を均等に使うことではなく、勝率の高い組み合わせを早く見つけることです。
シカゴなどが進める若手中心のチームづくり
すべてのチームが今季のプレーオフだけを見てトレードを行ったわけではありません。
将来を見据えた動きで注目されたのが、シカゴ・スライスです。
シカゴは、18歳のジョン・ルシアン・ゴインズ、13歳のエルシー・ヘンダーショット、15歳のエマ・ネルソンを獲得しました。
- ジョン・ルシアン・ゴインズ:18歳
- エルシー・ヘンダーショット:13歳
- エマ・ネルソン:15歳
ゴインズは6月24日のトレードで加入しました。
この取引で、セントルイス・ショックはハンター・ジョンソンと金銭を獲得しています。
- シカゴ獲得:ジョン・ルシアン・ゴインズ
- セントルイス獲得:ハンター・ジョンソン、金銭
同じ日にシカゴは、セントルイスからヘンダーショットも獲得しました。
この取引には4チームが関係しています。
- シカゴ獲得:エルシー・ヘンダーショット
- セントルイス獲得:アンジー・ウォーカー、金銭
- テキサス獲得:ケイトリン・クリスチャン、金銭
- アトランタ獲得:マリ・フンベルグ
さらに7月13日、シカゴはエマ・ネルソンを獲得しました。
カリフォルニア・ブラックベアーズは、ジャリナ・イングラムと金銭を受け取っています。
- シカゴ獲得:エマ・ネルソン
- カリフォルニア獲得:ジャリナ・イングラム、金銭
シカゴの動きは、現在の順位を一気に上げるための即戦力補強とは少し違います。
若い選手を早くからプロのチーム戦へ参加させ、数年後に中心選手へ成長させる狙いが見えます。
若手選手にとってMLPで得られる経験は、通常の個人大会とは異なります。
個人大会では、自分の結果がそのまま勝敗になります。
一方、MLPでは自分が負けても、ほかのペアが勝てばチームとして勝利できます。
逆に、自分のゲームを落とすことで、残りの選手へ大きなプレッシャーをかける場合もあります。
そのため、次のような能力が必要になります。
- チーム全体の流れを読む
- パートナーの得意な形を作る
- 試合中に役割を変更する
- 負けた後も次のゲームを応援する
- ドリームブレーカーに備える
若い選手は、技術だけでなく、こうした団体戦特有の経験を積めます。
一方、セントルイスは若手を手放し、ハンター・ジョンソンやアンジー・ウォーカーを獲得しました。
これは、将来よりも今季の優勝を優先した動きです。
セントルイスは24勝2敗、15連勝中の首位チームです。
すでに強いチームですが、プレーオフでは1試合の敗戦でシーズンが終わる可能性があります。
そのため、経験のある選手を加え、欠場や不調に備えて選手層を厚くしたと考えられます。
同じトレードでも、シカゴは将来性を選び、セントルイスは現在の優勝確率を高める選択をした形です。
トレード後のプレーオフ争いで注目したいポイント
トレード期間が終了し、各チームは新しいメンバーでシーズン終盤とプレーオフへ向かいます。
ここから重要になるのは、選手の実績よりも、新しいペアが実際にどれだけ機能するかです。
ピックルボールのダブルスでは、2人が横に並んでコートを守ります。
相手は、2人の間にできるスペースを狙ってボールを打ってきます。
特に中央へ来たボールをどちらが取るか決まっていないと、お互いに譲ってしまったり、ラケット同士がぶつかったりします。
新しいペアでは、次の点を短期間で確認する必要があります。
- 左右どちらのサイドを担当するか
- 中央のボールを誰が取るか
- 3球目をドライブとドロップのどちらで打つか
- 相手の強打を誰がブロックするか
- 片方が前へ出たときに誰が後方を守るか
- タイムアウト中に誰が作戦を伝えるか
3球目とは、サーブ、リターンに続いてサーブ側が打つショットです。
3球目ドライブは、速く低いボールで相手を押し込む攻撃です。
3球目ドロップは、相手のキッチン付近へ柔らかく落とし、自分たちが前へ進む時間を作るショットです。
新しいペアで2人の考えが合っていないと、片方がドライブを予想して前へ動き、もう片方がドロップを打つなど、位置取りがずれることがあります。
プレーオフでは、こうした小さなズレが失点につながります。
今後、特に注目したいのは船水雄太の起用法です。
ユタが船水を男子ダブルスの中心にするのか、混合ダブルスでも積極的に使うのかによって、チームの形が変わります。
ダラスは、トレード後に作った好調ペアをそのまま使い続ける可能性が高いでしょう。
男子ダブルスのジョンソン/ゲ組と、混合ダブルスのタウンゼント/ゲ組が安定して勝てれば、どの相手にも3勝を狙えます。
ニュージャージーは、スタクスルード加入後の男子ダブルスがポイントです。
女子ダブルスが強いチームだからこそ、男子戦で1勝できれば、混合ダブルスをかなり有利な状況で迎えられます。
ロサンゼルスは、ガーネットをどこへ入れるのかが注目されます。
ベン・ジョンズとの男子ダブルスを試すのか、混合ダブルスで別の組み合わせを作るのかによって、補強の評価が変わりそうです。
シカゴは、今季の勝敗だけでなく、若手がどこまでプロのスピードへ対応できるかが見どころです。
13歳や15歳の選手が、経験豊富なトップ選手の強打をどのように返すのか。
キッチンラインでの速いラリーにどこまで対応できるのかは、将来性を見るうえで重要です。
今後の注目ポイントを整理すると、次のようになります。
- 船水雄太がユタで男子戦と混合戦のどちらに起用されるか
- ダラスの好調ペアがプレーオフでも勝ち続けられるか
- ニュージャージーが女子ダブルス依存から抜け出せるか
- ロサンゼルスがガーネット加入で再び勢いを取り戻すか
- セントルイスの選手層強化が優勝につながるか
- シカゴの若手選手がトップレベルへ適応できるか
トレードは成立した時点で成功と決まるわけではありません。
移籍した選手が新しいチームで勝利し、初めて補強の価値が証明されます。
まとめ
MLP2026第2回トレード期間では、船水雄太のユタ加入をはじめ、プレーオフ争いへ直結する移籍が相次ぎました。
ダラスはタウンゼントとチュオンの加入後に復活し、サンディエゴ大会で5戦全勝の優勝を果たしています。
一方、ニュージャージーやロサンゼルスは締切日に戦力を加え、シカゴは若手中心の将来重視へ動きました。
新加入選手がどのペアで起用され、短期間で連係を作れるかが、今後の順位と優勝争いを左右しそうです。


