ダラスで行われたマイナーリーグ・ピックルボール全米選手権で、11歳のカーセン・ンゴが“神ATP(※ネットポストの外側を通す超テクニック)”を決めて世界中のファンをザワつかせました。
この記事では、その大会のレベル感やポイントの流れ、ショットの難しさ、そしてカーセンのメンタルまで、日本のピックルボールファン向けに具体的に追いかけていきます。
カーセン・ンゴってどんな選手?
カーセン・ンゴは、まだ11歳ながら、大人のカテゴリーに混ざっても全く見劣りしないジュニア選手です。
小柄な体でコートを前後左右に全力ダッシュしつつ、最後の一球まで絶対にあきらめないのが大きな特徴です。
ラリー中も常に前向きな声かけを続け、ミスをしてもすぐに次のポイントへ切り替えます。
今回のATPも、たまたまの“まぐれショット”ではなく、
「追い込まれても攻めの選択をする」
という彼のスタイルがそのまま形になった一打と言えます。
MiLP全米選手権はどんな大会?
舞台となったのは、テキサス州ダラスで5日間にわたって開催された「The Dink Minor League Pickleball(MiLP)全米選手権」です。
MiLP(※Minor League Pickleballの略)は、実力あるアマチュアが4人前後のチームを組み、団体戦形式で戦うリーグです。
この全米選手権には、アメリカ35州と複数の国から何百ものチームが集結し、総試合数は“何千マッチ”というレベル。
コスプレ風のチームユニフォームや、年齢もバックグラウンドもバラバラなメンバーが入り混じるなど、雰囲気はお祭りですが、コートに一歩入ればどの試合も本気度MAXのハイレベルな戦いが続きます。
「ショット・オブ・ザ・イヤー」ポイントの流れ
問題のポイントは、カーセンのチームがやや守勢に回っている場面から始まります。
相手の深いショットや鋭いドライブ(※速い打球)が続き、カーセンとパートナーはベースライン近くまで押し込まれていました。
そこからカーセンは、1本目をスライスでつなぎ、2本目は足元のボールをなんとかロブ気味に返球。
相手が角度をつけてサイドライン際に展開してくると、カーセンは一気にサイドへ全力疾走します。
普通なら守りのロブで時間を稼ぎたい場面で、彼は一歩踏み込み、“ネットの外側”を狙ったATPにチャレンジ。
会場は一瞬静まり、その直後、大歓声に包まれました。
ネットポストを回り込むATPショットのヤバさ
ATP(Around The Post)は、その名の通りネットポストの外側を回り込み、ネットの上を通さずに相手コートへ入れるショットです。
・ボールが十分にサイドラインの外へ出ていること
・走り込みながら正確に面を作ること
・アウトにならないギリギリのコースを通すこと
この3つがそろわないと成功しません。
カーセンの場合、すでに何本も走らされたあとのATP挑戦でした。
体は疲れているのに、最後の数歩でしっかり減速して体勢を整え、パドル面をわずかに内側へ向けてスイング。
結果、ボールはサイドラインのかなり内側に落ち、相手は一歩も動けない完璧なコースに決まりました。
リスクしかない状況で、あそこまで精度の高いATPを選択して決め切るのは、本当に“エグい”の一言です。
優勝までの道のりとカーセンのコメント
カーセンが所属する「Premier Ballerz」は、DUPR11男子ディビジョンで優勝しました。
DUPR(※世界共通レーティングの一種)の「11帯」といえば、上級〜トップアマが集まるかなりハードなレベルです。
彼らは予選リーグでは、ゲーム差ギリギリでなんとか抜け出すような、紙一重の戦いが続いていました。
しかしトーナメントが始まると、ミスのあとのリアクションや声かけがガラッと変わり、チーム全体が“ロックイン(※完全に集中した状態)”モードに突入。
カーセンは試合後の投稿で、
「これまでで一番タフな試合だらけだったけど、全員で最後まで集中し続けた」
とコメントし、喜びと手応えを素直に表現していました。
ジュニア世代に広がるピックルボールの可能性
今回のカーセンの活躍は、単に「すごい子どもがいる」で終わる話ではありません。
・大人と同じコートサイズ
・同じルール
・同じプレッシャーのなかで戦う
という条件で、ジュニアが結果を出していることに大きな意味があります。
ピックルボールは、パドルスポーツ経験者はもちろん、初心者でも入りやすい競技ですが、ジュニア世代では「動きながら考える力」や「ペアとのコミュニケーション力」を育てる場にもなっています。
カーセン・ンゴのようなスターが現れることで、
「テニスやバドミントンだけじゃなく、ピックルボールもやってみよう」
という子どもたちが、これから日本でも増えていくはずです。
まとめ
11歳のカーセン・ンゴが決めたATPは、技術・状況・メンタルがすべてかみ合った、“今年のベストショット候補”と言える一打でした。
守勢のラリーから一気に流れを変える選択をし、リスクだらけのショットを完璧なコースで決め切った度胸は、本物の勝者のメンタリティそのものです。
MiLP全米選手権という大舞台でのこのプレーは、ジュニア世代の可能性とピックルボールの未来を強く印象づける出来事になりました。
今後も、カーセン・ンゴという名前が世界のどんなステージで呼ばれるのか、楽しみに追いかけていきたいですね。





