ウォーターズ&ブライトという女子ダブルス界の最強コンビを、ついに崩したのはジョルジャ・ジョンソンとタイラ・ブラック。
ラスベガスで行われたPPAツアー準決勝、試合はまさに激闘でした。
二人がどうやって勝利を引き寄せたのか、その戦術の細部に迫ります。
チームとしての結束
ジョンソン&ブラックは、MLP(※Major League Pickleball=プロの団体戦リーグ)の「ダラス・フラッシュ」で2シーズン連続ペアを組んでいます。
日頃から練習やツアーを共にすることで、アイコンタクトだけで動きが合うレベルに。
実際、この試合でも「相手のスマッシュを瞬時にカバー」「互いが同時に前に出る攻撃」など、息の合った動きで主導権を奪いました。
経験の積み重ねが、この大金星の下地になったのです。
リターンの狙い方
サーブを返す「リターン」はラリーの起点。
ジョンソン&ブラックはウォーターズを狙って序盤から揺さぶりました。
ウォーターズの前衛力(※ネット際で素早く決める力)は脅威ですが、後ろに下げれば一気に圧力は減ります。
ただし相手に読まれるのは危険。
そこで彼女たちは途中からブライト側にも返球を散らし、相手を迷わせました。
この“リターンの使い分け”が、ポイントごとにリズムを作った大きな鍵でした。
先に仕掛ける勇気
今回の試合で特筆すべきは積極性。
ジョンソン&ブラックはセーフに返すのではなく、3球目から強打やドロップショット(※相手前衛をかわしてネット直後に落とすショット)を選択しました。
「先に仕掛ける=ミスのリスク」もありますが、それを恐れず打ち込み続けた結果、相手に主導権を握らせませんでした。
観客席からも「とにかく攻める姿勢が気持ちいい!」と声が上がるほど、二人のプレーは勢いに満ちていました。
ブライトへの集中攻撃
ウォーターズは女子No.1選手。
正面からぶつかれば苦しいのは明白。
そこで狙いを定めたのがブライトでした。
ブライトにボールを集め、打ち負けそうな場面ではウォーターズの後方にボールを落とし、彼女の得意な前衛プレーを封じました。
試合が進むにつれて、ブライトは「自分が狙われている」という重圧を背負い、後半はミスが増加。
心理的な揺さぶりも含めて、ジョンソン&ブラックの戦術は完璧に機能しました。
戦術の選択と判断力
誰を狙うか、どのショットを打つか──試合中の判断は一瞬で下さなければなりません。
ジョンソン&ブラックは、この判断をほぼミスなく遂行しました。
例えば、ウォーターズがネット前で構えた瞬間には深いロブ(※山なりのボール)を上げて後退させる。
逆にブライトが迷った場面では素早く前に出てボレーで仕留める。
小さな判断の積み重ねが、最終的に大きな差となり、最強コンビを崩すことにつながったのです。
試合から学べること
この勝利は偶然ではなく、徹底的に考え抜かれた戦略があったからこそ。
戦う前から「どう崩すか」というプランを持ち、それを実行できたチームだけがアップセット(※格上相手の大金星)を起こせるのです。
ピックルボールを楽しむ私たちにとっても同じ。
自分の試合を録画で振り返り、「ここで誰を狙うべきか」を研究することで、格上相手にも勝機を見いだせます。
戦術の大切さを強烈に示した一戦でした。
まとめ
ジョンソン&ブラックは、戦術と勇気で最強ペアを打ち破りました。
- 息の合ったコンビネーション
- リターンの散らし方と先手必勝の姿勢
- ブライトへの集中的な圧力
これらが重なって、ウォーターズ&ブライトに土をつけたのです。
ピックルボールの試合はただの打ち合いではなく、緻密な駆け引きの連続。
次の試合ではどんな戦略が飛び出すのか、ますます楽しみになってきます。