「前に出たのに、なぜか負ける…」それ、前進の“理由”が曖昧なまま突っ込んでるせいかも。
MFWC(確認→動く→相手を見る→詰める)で判断を整理すると、ミス待ちから“圧をかける側”に変われます。
キッチンに急がない考え方
「とにかくキッチン(※ノンボレーゾーン付近)へ!」は定番アドバイスですが、“前に出ること”自体がゴールになると負けパターンが増えます。
特に多いのが、サービスリターン後に焦って前進し、足が動いている最中にボールを処理して浮かせる展開。
相手にとっては“叩いてください”の合図です。
具体的にイメージすると、こんな場面。
リターンが深く返ってきたのに、あなたは「前へ!」の気持ちが強すぎて、まだ体勢が整わないまま3球目を触ってしまう。
結果、ボールが少し高く浮く(ポップアップ※)。
相手は待ってましたとばかりに強打→あなたは前に出てる最中で反応できない。
これ、めちゃあるあるです。
ここでの改善ポイントはシンプルで、前に出る前に“勝てる形”を作ること。
前進は「移動」じゃなくて「攻撃の準備」です。
※ポップアップ:打球が高く浮いてしまい、相手に攻撃されやすい球。
- 前進の目的は「キッチン到達」ではなく「勝てる形を作る」
- 体勢が崩れたまま触ると、浮いて終わりやすい
- “前へ”はOK。でも“いつ・どんな球で”がセット
MFWCの4ステップで前に出る
ここからが本題。MFWCは、ラリー中の判断を迷わせないための“頭の整理術”です。
ポイントは「自分のショット」と「相手の準備」を同時に見ること。
①Monitor(確認する)
まず確認するのは3球目。あなた or 相方が、
- ドライブ※(速い球で押す)
- ドロップ※(柔らかくキッチンに落とす)
- そのままネットへ詰める(クラッシュ)
どれを選んだか。ここがズレると、二人の動きもズレます。
②Flow(流れるように動く)
たとえば相方がドロップを打ったなら、すぐ突っ込むより、一歩ずつ間を詰めて“次の球に触れる姿勢”を作るほうが安全。
逆に相方が強いドライブで相手を押し込んだなら、相手は守りで返す確率が上がるので、前に出る価値が増える。
③Watch(相手を見る)
ここが勝率を上げる肝。相手が
- オーバーヘッド※の準備で体をひねってる
- 少し下がってロブ警戒してる
- ネットの高さで“中立の球”を返してきた
どれかで、あなたの次の判断が変わります。
※オーバーヘッド:頭上の高い球をスマッシュ気味に打つショット。
④Crash(詰める)
Crashは「チャンスを見つけた瞬間、ネットへ寄って主導権を握る」です。
初心者が勘違いしがちなのが「Crash=全部強打」。
違います。詰めるのは足、決めるのは判断です。
※ドライブ:速い打球で押すショット。※ドロップ:柔らかく落として相手の足元に沈めるショット。
- Monitor:3球目の種類を確認(自分/相方)
- Flow:ショットの結果に合わせて“一歩ずつ”か“加速”かを変える
- Watch:相手の準備で次の球の正解が変わる
- Crash:詰めるのは条件が揃った時だけ
ショットの使い分け:守るときほど攻めの工夫
「攻め=ドライブ」「守り=ドロップ」って思われがちですが、実戦では逆が起きます。
守備で崩れてる時にドロップを狙うと、ネットにかけたり浮かせたりで事故りやすい。
だから守備のときほど“時間を買う”ショットが効きます。
守備でバタついている時(スクランブル※)
- ドライブ:深く速く返して相手の攻撃準備を遅らせる
- ロブ※:一気に時間を作って体勢を整える(相手が下がる)
※スクランブル:体勢が崩れた状態で無理に対応している状況。
※ロブ:高く上げて相手の後方に落とすショット。
攻めの形が作れている時
- ドロップ:相手の足元に落として、次のボールで前に出やすくする
ここでの目標は「入れる」じゃなく、「相手に低い球を打たせる」。
低い球は攻撃されにくいからです。 - 守備のとき:時間を買う(ドライブ/ロブ)
- 攻めのとき:相手に“低い球”を強制(ドロップ)
- ショット選びは「気分」じゃなく「自分の位置」と「体勢」で決める
スピードアップの判断基準
スピードアップ※は、やるだけで強くなった気がして楽しい。
でも雑にやるとカウンターされます。
判断基準はこの2つだけ覚えればOK。
スピードアップして良い条件
- ボールがネットより上(打点が高い)
- 自分に時間とスペースがある(体勢が整ってる)
逆に、ネットより下なら“叩くほど”浮きやすいので、ディンク※で落として中立に戻すほうが勝ちやすい。
※スピードアップ:急に速いボールで仕掛ける攻撃。
※ディンク:キッチン付近へ落とす柔らかいショット。
具体例:
相手のディンクが少し高く入った → あなたは前を向いて余裕がある → スピードアップで相手の利き手側(または足元)へ。
相手のディンクが低い → 無理に叩く → ネットにかける or 浮く → 逆襲。
ここが罠です。
- ネット上+余裕あり=スピードアップ
- ネット下=ディンクで我慢(“勝つ我慢”)
- 速く打つ前に「条件揃ってる?」をチェック
「安全」より「効く」を選ぶ場面
守備のときは安全第一でいい。でも中立〜攻めなら、相手が一番嫌がる選択を混ぜると勝率が上がります。
ここでの考え方は、
- 守備:成功率(ハイパーセンテージ※)
- 攻め:圧(プレッシャー)
の切り替えです。
※ハイパーセンテージ:失敗しにくい、確率重視の選択。
たとえばディンクラリー中。
「入れるだけ」のディンクは安定するけど、相手が慣れてくると押し切れません。
そこで、相手の足が止まった瞬間に
- 少し角度をつける
- 相手のバック側(苦手側)へ集める
- 1回だけテンポを変える
みたいな“嫌な変化”を入れる。これが「効く」選択です。
ただし大前提として、試合で突然やらないこと。
練習で反復して、成功率がそこそこ出るようになってから投入するのが正解です。
- 守備は確率重視
- 中立/攻めは“相手が嫌がる”を優先する瞬間がある
- 効くショットは練習で作ってから試合へ
安定感に“意図”を入れる
最後にいちばん大事な話。
勝てる人の安定感は「ただ入る」じゃなく「意図がある」安定感です。
受け身の安定
入れる → 相手のミス待ち → たまたま勝つ日もある
能動的な安定
入れる(意図あり) → 相手の体勢を崩す → 相手が苦しい球を返す → そこから攻める
意図の例はこんな感じ。
- 「今は崩れてるから、深く返して時間を買う」
- 「相手の足元に落として、上げさせる」
- 「相手のバック側へ集めて、次で展開を作る」
これができると、同じ“ミスしない”でも武器になります。
パワーじゃなく、判断の積み重ねで強くなれるのがピックルボールの面白さです。
- 全ショットに「何のために打つ?」を入れる
- 意図があると、安定がそのまま攻撃になる
- 強打連発より“正しい決断の連続”が勝ち筋
まとめ
「とりあえずキッチンへ」は、目的がないと逆に失点が増えます。
MFWCで判断を整理し、前進は“勝てる形”ができた時にだけ加速するのがコツ。
守備は確率重視、攻めは相手に圧がかかる選択を混ぜてOKです。
意図ある安定感を身につければ、試合の主導権がちゃんと握れるようになります。




