ジャッキー&ジェイド・カワモト姉妹が、米国PPAツアーのビッグ大会「シンシナティ・ショーケース」で女子ダブルス初優勝を飾りました。
大会直前のパドル変更や強豪との接戦など、数々の壁を乗り越えたドラマを詳しく紹介します。
準決勝で大本命ペアを撃破
カワモト姉妹は準決勝で、女子ダブルス界の絶対女王ペア、アナ・リー・ウォーターズ/アナ・ブライト組に挑みました。
序盤は相手のスピードとパワーに押され、第1ゲームを7-11で落とします。
しかし第2ゲームからはリターンの角度を鋭く変え、ネット前での攻防で相手を翻弄。
11-6、11-9と連取し、見事逆転勝利を収めました。
ピックルボール※特有の短い距離での高速ラリーを冷静に制したことが勝因です。
※ピックルボール:テニスと卓球をミックスしたラケットスポーツ。
小さなコートでのスピード感が魅力。
決勝は0-2から驚きの逆転勝利
決勝の相手は前回大会を制したジョージャ・ジョンソン/タイラ・ブラック組。
第1、2ゲームを連続で失い、スコアは8-11、7-11。
会場には「このまま終わるか」と不安の空気が漂いました。
ところが第3ゲームで姉妹は攻撃的なスタイルに切り替え、早いタイミングでネットへ詰める「クラッシュ戦法」を敢行。
11-6で取り返すと勢いそのままに11-8、11-7と3ゲームを連取。
0-2からの大逆転で初のツアー優勝を掴み取りました。
試合後、ジャッキーは「思い切ってフィフスショット(5打目でネットへ詰める攻め)を狙ったことが流れを変えた」と笑顔で語りました。
大会直前のパドル変更ハプニング
実は大会開始前から試練がありました。
長年愛用していた「Proton Series Three – Project Flamingo」が、最新のプロ大会認定リストから外れてしまったのです。
選手にとってパドルは感覚を左右する命の道具。
姉妹は急きょ「JOOLA Perseus Pro IV」へ変更。
わずかな打感の違いに即座に順応し、試合中も迷いなくスイングを続けた対応力は、トップアスリートとしての真価を示しました。
地元ゆかりの会場でつかんだ金メダル
姉妹にとってシンシナティは特別な場所です。
学生時代を過ごしたデイトン大学は会場から車で1時間ほど。
現在拠点にしているインディアナポリスからも2時間弱で、多くの家族や友人が応援に駆けつけました。
ランキングポイント2,000がかかる「スラム」大会という大舞台で、地元に近い会場での初優勝。
試合後、ジャッキーは「家族や友人の前で勝てたことが何より嬉しい」と声を弾ませました。
男子シングルスはアルションが今季3勝目
男子シングルスではクリスチャン・アルションが快進撃。
準決勝で世界ランク1位のハンター・ジョンソンを相手に第2ゲーム0-6から逆転する粘りを見せ、決勝ではコナー・ガーネットを11-8、11-1で圧倒しました。
これで今季3つ目のシングルスタイトル。シーズン後半戦に向け、トップ争いを一層熱くしています。
ジョンソンも3位決定戦でクリス・ハワースに11-7、11-1と勝利し、意地を示しました。
ダブルス勢の熱戦も大盛り上がり
男子ダブルスはベン・ジョンズ/ゲイブ・タルディオ組が4大会連続優勝。
アルション/ダエスク組とのシーズン対戦成績を4勝1敗とし、安定感を見せつけました。
混合ダブルスではアナ・リー・ウォーターズ/ベン・ジョンズ組が5大会連続優勝。昨年唯一の黒星を喫したブライト/ダエスク組へのリベンジを果たしました。
女子シングルスではウォーターズがケイト・フェイヒーを11-7、13-11で下し、470日以上無敗の記録を更新。
シーズン終盤も王者たちの牙城は崩れそうにありません。
まとめ
カワモト姉妹の初優勝は、強豪撃破と0-2からの逆転、そして直前の道具変更という三重のドラマを乗り越えた最高の瞬間でした。
男子も女子もトップ選手が熱戦を繰り広げ、ピックルボールのエンタメ性を改めて証明。
これからのツアーでも新たなスターと激戦が生まれる予感がします。