サーブで大事なのは「強さ」より「どこに打つか」です。
相手をどれだけスムーズに前に出させないかで、その後の展開がかなり変わります。
この記事では、相手の動きをズラして主導権を取るサーブの考え方を、具体例たっぷりで解説していきます。
サーブの目的は「相手の時間を奪うこと」
多くの人は「強いサーブ=いいサーブ」と思いがちですが、ピックルボールではちょっと違います。
本当の目的は、相手がキッチンライン(※ネット前のノンボレーゾーンライン)に到達するまでの時間をどれだけ遅らせるか、です。
例えば、相手がサーブリターン後に2~3歩で前に出てくるか、5~6歩かかるかで、こちらが前に詰める余裕が全然変わります。
だから「エースを取る」より「相手を遅らせる」ことをゴールにしたほうが、結果的にポイントを取りやすくなります。
相手の一歩目を前に出させない理由
ポイントは「最初の一歩の方向」です。
相手がサーブを打たれた瞬間、自然と前に一歩踏み出せるコースだと、リターン後にそのまま勢いよくキッチンラインに走ってきます。
逆に、バック側に振られたり、サイドラインぎりぎりを突かれたりすると、相手は横や斜め後ろに動いてから前に出ることになります。
一歩目が前じゃないだけで、身体の向きも崩れやすく、ボールコントロールも乱れがちです。
「一歩目をずらす=リターンの質と前進スピードを落とす」と覚えておくとイメージしやすいです。
良いサーブと悪いサーブの具体例
良いサーブの例としては、相手のバックハンド側(※利き手と逆側で、多くの人が苦手な面)深めを狙うサーブです。
例えば相手が右利きなら、相手の左足側をめがけて、サイドライン近くに低めで深く打つイメージです。
そうすると、相手は左側に移動しながら、少し窮屈な体勢でリターンすることになり、その後の前進も遅れます。
悪いサーブは、相手の正面あたりにふわっと入るボールです。
相手はほぼその場で打てて、そのまま2~3歩でキッチンラインまでダッシュできるので、あっという間に前のポジションを取られてしまいます。
狙いやすいおすすめサーブコース
おすすめは、大きく分けて2パターンです。
1つ目は「バック側の深いコース」。右利き相手なら、相手から見て左斜め奥のライン寄りを狙います。
ここを安定して打てると、ほとんどの相手は横移動+バックハンドで対応することになるので、一気に楽になります。
2つ目は「体から少し離れるサイド寄りコース」。相手の利き手側でも、身体から離れた場所にバウンドさせると、踏み込みにくくなります。
最初はスピードよりコントロール重視で、「このゾーンに落とす」とコート上に目印イメージを作って打ってみてください。
キッチンラインが超重要なワケ
キッチンライン周辺は、ピックルボールの“主戦場”です。
ここに先に入り、なおかつ安定した姿勢で構えられたプレーヤーが、速いテンポのラリーを有利に進められます。
逆に、後ろのベースライン付近に取り残されると、相手の足元に落ちるボールや角度のついたボレーに対応するのがかなり大変です。
だからこそ、サーブ側は「自分が前に出る時間」「相手が前に来るまでの時間」を意識する必要があります。
その時間差を生み出す一番シンプルな方法が、“横に動かせるサーブ”というわけです。
明日からできる実践ドリル
具体的に練習するなら、まずは「コース固定サーブ」がおすすめです。
1. サービスボックスのバック側隅をターゲットに決める
2. 10本連続でそのコースだけを狙ってサーブ
3. 入った本数と、深さ(ネットからどれくらい離れたか)をざっくりメモ
慣れてきたら、バック側→フォア側サイドライン寄りと、2か所を交互に打つ練習に広げていきます。
試合では「このポイントはバック側を突いて相手を走らせる」など、1球ごとに狙いを決めてサーブする習慣をつけてみてください。
まとめ
サーブは力でねじ伏せるショットではなく、「相手の一歩目と時間をコントロールするショット」です。
バック側やサイドライン寄りを狙って、相手を横に動かすことができれば、それだけでラリーの主導権を握りやすくなります。
キッチンラインに先に立つための“時間稼ぎ”としてサーブをデザインしていくと、プレーの考え方が一気にレベルアップします。
明日からは、ただ入れるだけのサーブを卒業して、「どこに打てば相手が一番イヤか?」を考えながら打ってみてください。





