80歳の夫と77歳の妻。
二人は今も毎日のようにパドルを握り、勝負に挑み続けています。
テニスで出会い、人生の再スタートを共に切った二人が、ピックルボールという新しい舞台で輝き続ける姿は、スポーツがくれる「生きる力」を物語っています。
出会いと再スタートの物語
二人の出会いは1982年、アメリカ・コロラド州のテニスクラブ。
キャスリーンさんが短期間アスペンに住んでいた時に、テニスを通じて知り合いました。
その後しばらくは別々の道を歩みましたが、ケンさんの妻が47年連れ添った末に他界。
数十年の時を経て、運命の糸は再びつながりました。
再会した二人はすぐに意気投合し、6年前に結婚。
ケンさんはキャスリーンさんの“眠っていたテニスの情熱”を呼び覚まし、さらにゴルフまで教え込んだのです。
年齢を重ねてからの再スタートは、二人にとって新しい挑戦の始まりでした。
ピックルボールに夢中になった理由
ピックルボールを始めたのは4年前。
パドルを手にした瞬間から「これは楽しい!」と感じたそうです。
ピックルボールは、テニスや卓球、バドミントンを合わせたようなスポーツで、ラリーが続きやすく、体力に自信がない人でも長く楽しめます。
だからこそシニア世代に人気が広がっているんです。
二人にとっても、ただの遊びではなく真剣勝負の場。
コートに立てば勝利の喜びもあれば、敗北の悔しさもあります。
でも、どちらも「成長の材料」として受け止め、楽しみながら挑み続けています。
夫婦だからこその強みと弱み
「僕たちはどちらも競争心が強いし、学ぶことが習慣なんだ」とケンさんは笑います。
夫婦だから時に意見が食い違うこともあります。
試合中に「もっとネットに出ろ!」とケンさんがアドバイスすれば、「そんな簡単じゃないわよ!」とキャスリーンさんが返す場面も。
ですが、そのぶつかり合いも含めて二人の関係性。
根底には「勝ちたい」という同じ思いがあるから、結局は息の合ったコンビになります。
“ライフコーチ”のキャスリーンさんと、“元テニスコーチ”のケンさん。
まさに「コーチ夫婦」ならではのタッグです。
試合で見せたメンタルの強さ
ある試合でキャスリーンさんは、自分より10歳以上若い相手とシングルス決勝に挑みました。
動きは軽快で、強烈なショットも打ち返しますが、中盤からは点差を広げられます。
その時、サイドラインからケンさんが声を張りました。
「いいぞキャスリーン!その調子でいけ!」
さらにタイムアウトの際にはすぐ駆け寄り、「負け方を学ぶことが大事だ。今は点を取られているけど、ラリーの質はすごくいい」と励ましてくれました。
試合後キャスリーンさんは「私はシングルスをあまりやらないし、相手は若い。
でも最後まで戦えたのは誇り」と笑顔。
負けても前向きに受け止められるのは、二人の強さです。
戦略で勝負する二人のプレースタイル
夫婦で組むダブルスでは、まさに“頭脳戦”が光ります。
キャスリーンさんは「私は年齢の割に体が動くのが強み。
ケニーは速いから、私が届かないボールも拾ってくれるの」と言います。
役割分担は明確。
彼女は安定したショットでつなぎ、ケンさんはスピードを武器にポイントを奪う。
そして二人で相手の弱点を探り、そこを突く。
たとえば「バックハンド(※利き手と反対側の打ち方)が苦手な相手」を見つければ、そこに集中攻撃。
戦略性こそが二人の武器です。
勝負を楽しむ生き方のヒント
「とにかく競うことが大好きなんだ」とケンさん。
キャスリーンさんも負けず嫌いで、「彼のほうが速いけど、私は粘り強さで勝負する」と笑います。
年齢を重ねてもなお「挑戦する気持ち」を失わない二人。
勝ち負けよりも「一緒に成長している」という実感が、日々を充実させています。
スポーツは体を鍛えるだけでなく、人生を前向きに生きる原動力になる。
そんなことを、この夫婦は全身で教えてくれているのです。
まとめ
ケンさんとキャスリーンさんは、ただスポーツを楽しむだけでなく「挑戦し続ける人生」を実践しています。
夫婦で励まし合いながらコートに立つ姿は、若い世代にも勇気を与えてくれます。
勝っても負けても学びがある。
大事なのは“続けること”と“楽しむこと”。
二人の物語は、私たちに「人生に遅すぎる挑戦なんてない」と教えてくれます。