APPとPickleball Kingdomが、新シリーズ「APP Moneyball Series」を2026年秋からスタートします。
各大会では賞金だけでなくAPP Tourのランキングポイントも獲得でき、最終的にはプロ契約を目指せるのが最大の特徴です。
APP Moneyball Seriesが2026年秋にスタート
Association of Pickleball Players、通称APPが、Pickleball Kingdomとの共同プロジェクトとして「APP Moneyball Series」をスタートします。
初戦は2026年10月30日。
フロリダ州オカラを皮切りに、年末まで4都市で大会が行われます。
このシリーズが普通の賞金大会と違うのは、「大会で勝つこと」と「プロになること」が同じルート上につながっている点です。
選手が狙えるものは大きく3つあります。
・大会で獲得する賞金
・APP Tourのランキングポイント
・最終ランキングによるAPP Tour契約
つまり、1大会で賞金を獲得して終わるのではありません。
各大会で結果を積み重ねればランキングが上がり、その順位が最終的にプロ契約へとつながります。
APP Tourは、APPが展開するプロピックルボールツアーです。
Moneyball Seriesは、そのトップカテゴリーへ進みたい選手のために用意された実戦型のステップと考えると分かりやすいでしょう。
いきなり大きなプロ大会へ挑戦するのではなく、まず地域の大会で自分の現在地を確認し、実績とランキングを積み上げる。
「プロになりたいけれど、どこから始めればいいのか分からない」という選手にとって、進む道をはっきり示したシリーズになっています。
またAPP Tourのプロ選手、アリソン・ハリスとアンドレ・ミックがPlayer Ambassadorに就任します。
Player Ambassadorは、プロを目指す選手と大会側をつなぐ存在です。競技キャリアを追いかける選手にとって、現役プロが身近なロールモデルになる点もシリーズの特徴です。
4都市で開催、各大会の賞金総額は15,000ドル
2026年のAPP Moneyball Seriesでは、10月末から12月末までに4大会が開催されます。
日程は以下の通りです。
・10月30日〜11月1日:フロリダ州オカラ
・11月27日〜29日:オハイオ州シンシナティ
・12月18日〜20日:イリノイ州ノースオーロラ
・12月28日〜30日:ジョージア州オーステル
すべてPickleball Kingdomのインドア施設が会場となります。
各大会では15,000ドルの賞金総額が保証されています。
Moneyball Seriesではプロ選手だけでなく、プロを目指している選手も対象になっているため、「ランキングだけの育成大会」ではありません。
実際に賞金を懸けて戦えることが大きなポイントです。
インドア施設で行われるため、屋外大会のように風や雨、強い日差しなどの影響を受けにくくなります。
ピックルボールではボールが軽いため、屋外では風によって軌道が変化することがあります。
インドアではその要素が少なくなるため、選手にとってはショット精度、ラリー構成、ポジショニングといった純粋な競技力を発揮しやすい環境です。
また開催地を1都市に集中させず、異なる地域に分けていることも特徴です。
APP Tour創設者のケン・ハーマンも、異なる地域の選手が身近な場所で本格的な競技に挑戦できることをシリーズの狙いとして説明しています。
APPとPickleball Kingdomは、2027年のスケジュールも2026年後半に発表する予定です。
2026年の4大会だけで完結する企画ではなく、今後さらにプロへのルートを広げていくシリーズとして展開される予定です。
シングルスとダブルスの5カテゴリーで競う
APP Moneyball Seriesでは、5つのカテゴリーが設定されています。
・女子シングルス
・男子シングルス
・女子ダブルス
・男子ダブルス
・ミックスダブルス
シングルスとダブルスの両方が用意されているため、選手によって異なる強みを発揮できます。
シングルスの賞金は、
・優勝:1,000ドル
・準優勝:600ドル
・3位:275ドル
です。
ダブルスではチームへの賞金がシングルスの2倍となり、
・優勝:2,000ドル
・準優勝:1,200ドル
・3位:550ドル
となります。
シングルスでは、自分1人でコート全体をカバーしなければなりません。
そのため、相手を左右に動かすショット、フットワーク、体力、リターン後のポジショニングなど、個人の総合力がよりはっきり出ます。
一方、ダブルスでは個人技だけではなく、パートナーとの連係が重要です。
どちらが中央のボールを処理するのか、どのタイミングで前へ詰めるのか、キッチン(※ネットから約2.13mのノンボレーゾーン)付近でどう相手を崩すのかなど、2人の判断を合わせる必要があります。
ミックスダブルスでは男女1人ずつでペアを組むため、さらにペアごとの役割分担や戦術の違いが出てきます。
Moneyball Seriesでは、単純に「強い選手」を探すだけではなく、シングルスなら個人力、ダブルスならコンビネーションと、それぞれ異なる能力が評価される構成です。
さらに重要なのは、賞金だけでなく各カテゴリーごとにAPP Tourランキングが存在することです。
選手にとっては、「どのカテゴリーを主戦場にしてプロ契約を狙うか」という戦略も必要になってきます。
ランキング上位からAPP Tour契約を目指せる
Moneyball Seriesで最も特徴的なのが、各大会の結果がAPP Tourのプロ契約へ直接つながる仕組みです。
選手は各大会での成績に応じてAPP Tourランキングポイントを獲得します。
1大会だけ良い結果を残せばいいわけではなく、シリーズを通してポイントを積み重ね、最終ランキングを上げていくことが重要です。
最終的なAPP Moneyball Seriesランキングは2027年6月に確定する予定です。
その時点で、各カテゴリーのランキング上位3選手または3チームが、最終順位に応じてAPP Tour契約を獲得します。
対象となるのは、
・女子シングルス(WS)
・男子シングルス(MS)
・女子ダブルス(WD)
・男子ダブルス(MD)
・ミックスダブルス(MXD)
の5カテゴリーです。
たとえば男子シングルスでシリーズを通じて安定した成績を残し、最終ランキング3位以内に入れば、APP Tour契約を獲得するチャンスがあります。
この仕組みの面白いところは、「1大会だけの大番狂わせ」よりも継続的な強さが重視される点です。
ある大会で優勝しても、その後ポイントを積めなければ最終ランキングで順位を落とす可能性があります。
逆に毎大会で安定して上位に入り続ける選手は、ランキング争いで有利になります。
さらに、獲得できるAPP Tour契約は非独占契約です。
非独占契約とは、契約を結んだツアー以外の大会にも出場できる契約方式です。
APP Tour契約を獲得しても、選手がほかのプロイベントへ挑戦する自由は残されます。
プロになった後の活動を一つのツアーだけに限定しないことは、これから競技キャリアを築きたい選手にとって大きなメリットです。
DUPRを使ったラウンドロビンから決勝トーナメントへ
各大会は3日間で開催され、競技カテゴリーは日ごとに分けられています。
1日目:女子シングルス・男子シングルス
2日目:女子ダブルス・男子ダブルス
3日目:ミックスダブルス
試合はいきなり負けたら終わりのトーナメントから始まるわけではありません。
最初にDUPRレーティングをもとにしたラウンドロビンが行われます。
DUPRは「Dynamic Universal Pickleball Rating」の略で、ピックルボール選手の実力を数値で表すレーティングシステムです。
Moneyball Seriesでは、このDUPRを参考にして実力がなるべく均等になるようにグループが編成されます。
そのグループ内で行われるのがラウンドロビンです。
ラウンドロビン(※同じグループの複数選手・ペアと対戦する総当たり方式)では、1試合の結果だけではなく、複数試合を通した安定感が求められます。
ここを勝ち抜いた選手やペアが、次のシード付きシングルエリミネーションへ進みます。
シングルエリミネーション(※1度負けると大会から敗退するトーナメント方式)に入ると、緊張感は一気に高まります。
ラウンドロビンで多少の取りこぼしがあっても立て直せる可能性がありますが、決勝トーナメントでは1敗がそのまま敗退につながります。
最後まで勝ち残った選手・ペアがゴールドメダル決定戦へ進みます。
また、敗れた選手同士によるブロンズメダル決定戦も行われ、3位まで順位が決まります。
大会にはAPPが専属レフェリーを派遣します。
ルール適用や試合運営を担当するほか、準決勝とゴールドメダル決定戦は公式レフェリーが審判を務めます。
プロツアーを目指す選手にとって、正式なレフェリーがいる環境で試合を経験できることも重要です。
セルフジャッジ中心の試合とは違う緊張感の中でプレーすることが、今後プロ大会へ進んだ際の経験にもつながります。
APPの新たなプロ育成ルートとして期待
APP Moneyball Seriesは、単に新しい大会を4つ増やしたという話ではありません。
大きな目的は、「地域で競技する選手」と「APP Tourで戦うプロ選手」の間に、新しいステップを作ることです。
APPにはすでに選手育成に関わる「APP Academy」や「APP Next」といった仕組みがあります。
Moneyball Seriesは、そこに加わる実戦型の入り口として位置づけられています。
特徴を整理すると、
・地域のインドア施設で大会に出場
・賞金を懸けた本格的な試合を経験
・成績に応じてランキングポイントを獲得
・シリーズランキングを上げる
・上位3位以内からAPP Tour契約を目指す
という流れです。
プロになるまでの道筋がかなり分かりやすく設計されています。
APP Tour創設者ケン・ハーマンは、Pickleball Kingdomとの協力によって、選手が賞金を争い、APPランキングを築きながら次のステップへ進める機会を増やしたいとしています。
Pickleball Kingdom側も、自社のインドア施設から競技をスタートし、その先にプロステージがある仕組みを作ることをシリーズの重要なポイントとしています。
またAPPプロのアリソン・ハリスは、身近な場所に強い対戦相手がいて、自分がどのレベルにいるのかを確認できることが成長につながると説明しています。
Moneyball Seriesなら、強い選手と戦うだけではなく、その結果がランキングという数字として残ります。
「自分はどのくらいプロに近づいているのか」が分かりやすくなるわけです。
これまでなら大規模なAPP Tour大会へ直接挑戦するしかなかった選手にとって、地域大会から段階的にステップアップできる環境が広がります。
今後Moneyball SeriesからAPP Tourへ進み、そのままトップ選手として活躍するプレーヤーが登場すれば、このシリーズは本当の意味で「プロへの登竜門」として定着していきそうです。
まとめ
APP Moneyball Seriesは、賞金大会とランキング制度、さらにAPP Tourのプロ契約までを一本につなげた新しい競技シリーズです。
地域のインドア大会で結果を積み重ねることで、プロへの道が具体的に見える仕組みになっています。
特に、DUPRを使った予選から決勝トーナメントへ進む大会形式と、2027年6月の最終ランキング上位3位を対象とする契約制度は大きなポイントです。
今後、このシリーズからAPP Tourを代表する新世代選手が生まれるのか注目したいところです。


