APPツアーの特別な混合ダブルス大会が、通常とは異なる独自ルールを導入して行われます。
8分間の短期決戦やゴールデンラリー、パワープレーに加え、獲得ポイントが寄付につながる仕組みを具体的に解説します。
混合ダブルス8組が2つのプールで対戦
2026 Shriners Children’s APP Pro Invitational Chicagoは、男女1人ずつでペアを組む混合ダブルスの招待大会です。
8組のペアが4組ずつの2プールに分かれ、各プール内で総当たり戦を行います。
プールプレー(※同じグループに入った全チームと対戦する予選方式)では、各ペアが3試合を戦います。
1つのプールで6試合、2プールを合わせて合計12試合です。
出場ペアは次の通りです。
プール1
- カテリーナ・スチュワート/ロナン・キャムロン
- ジル・ブラバーマン/リチャード・リボーネス・ジュニア
- アマンダ・ヘンドリー/クアン・ズオン
- ボビー・オシロ/ランディ・ブランコ
プール2
- ルース・ファンリーク/ジャック・マンロー
- クリスティン・マドックス/マックス・マントウ
- メーガン・ファッジ/エイダン・シェンク
- スザンナ・バー/ブランドン・レーン
大会は次の流れで進みます。
- 8組を4組ずつの2プールに分ける
- 各ペアが同じプールの3組と対戦する
- 勝敗や得失点差をもとに順位を決める
- 各プールの1位が決勝へ進出する
- 決勝で混合ダブルス王者を決定する
全12試合がチャンピオンシップコートで行われるため、試合ごとに異なるペアの戦術やプレースタイルを比較しやすい構成です。
プールプレーは8分または9点先取
プールプレーの各試合は、8分間または9点先取のどちらか早い方で終了します。
制限時間が終わる前に9点を獲得したチームは、その時点で勝利です。
どちらのチームも9点に届かないまま8分が経過した場合は、終了時点でリードしているチームが勝者となります。
例えば、残り時間がなくなった時点で7対5なら、7点を獲得しているチームの勝利です。
得点方式には、サイドアウトスコアリングが採用されます。
これは、サーブ権を持つチームだけがポイントを獲得できる方式です。
ダブルスでは基本的に、チームの2人が順番にサーブを担当します。
第1サーバーがラリーに負けると第2サーバーへ交代し、第2サーバーもラリーに負けると相手チームへサーブ権が移ります。
これをサイドアウトと呼びます。
短時間の試合では、次のような判断が重要です。
- サーブ側のラリーで確実に得点する
- レシーブ側では早くサイドアウトを奪う
- 残り時間に応じてショットを選ぶ
- リードしていても守りに入りすぎない
- 点差がある場合は試合のテンポを意識する
- パートナーとスコアや時間を共有する
一般的な試合よりも短いため、序盤に3点差や4点差をつけられると、追いつく時間が少なくなります。最初の数ラリーから集中して入れるかが、大きなポイントです。
決勝進出の条件とゴールデンラリー
プールプレー終了後、各プールで最も良い成績を残した1組が決勝へ進みます。
複数のチームが同じ勝敗で並んだ場合は、あらかじめ決められた基準を使って順位を確定します。
決勝進出チームを決める基準は、次の順番です。
- 試合の勝敗
- 該当チーム同士の直接対決
- 得失点差
例えば、2勝1敗のチームが2組並んだ場合は、その2組が直接対戦した試合の勝者を上位とします。
それでも順位を決められない場合は、大会中に獲得したポイントと失ったポイントの差を比較します。
また、8分が終了した時点で同点だった場合は「ゴールデンラリー」が行われます。
ゴールデンラリーとは、次の1ラリーを取ったチームがそのまま試合に勝つサドンデス方式です。
この1ラリーでは、次の選択が勝敗を左右します。
- サーブを安全に入れるか、コースを厳しく狙うか
- リターンを深く返して相手を後ろへ残せるか
- サードショット(※サーブ、リターンに続く3球目)で強打かドロップを選ぶか
- ネット前で先に攻撃を仕掛けるか
- ミスを避けて相手の失敗を待つか
決勝は、15点先取または12分間のどちらか早い方で終了します。
予選よりも試合時間と目標得点が増えるため、序盤の勢いだけでなく、途中で相手の戦術に対応する力も必要です。
試合を高速化する3つの特別ルール
大会では、試合のテンポと緊張感を高めるために、通常とは異なる特別ルールが導入されます。
パワープレー・トークンを除く主な変更は、5秒サーブ、タイムアウト禁止、エンドチェンジなしの3つです。
5秒以内にサーブを打つ
選手は、審判がスコアを読み上げてから5秒以内にサーブを打たなければなりません。
通常の試合で認められる10秒の半分です。
選手には、次のような準備が求められます。
- ラリー終了後すぐにポジションへ戻る
- スコアとサーブ順を確認する
- 狙うコースを短時間で決める
- パートナーと次の展開を共有する
- 決まったサーブ前の動作を短くする
じっくり呼吸を整えたり、何度もボールをバウンドさせたりする時間がないため、気持ちの切り替えも重要です。
タイムアウトを取れない
試合中はタイムアウトが認められません。
相手に連続得点を許しても、試合を止めて流れを切ったり、ベンチで作戦を相談したりできません。
選手はラリーの合間に「中央を守る」「相手のバック側を狙う」など、短い言葉で修正点を伝える必要があります。
試合前に複数の展開を想定しておくことも大切です。
エンドチェンジを行わない
試合中にコートの使用する側を交代するエンドチェンジもありません。
試合前に選んだ側で、最後までプレーを続けます。
照明や背景の見え方などに違いがある場合は、最初の選択が試合全体に影響します。
どちらのエンドを選ぶか、サーブとレシーブのどちらを取るかも戦略の一部です。
パワープレー・トークンの仕組み
各チームには、1試合につき1枚の「パワープレー・トークン」が与えられます。トークンを使ったチームが次のラリーに勝つと、通常より有利な結果を得られる特別ルールです。
サーブ側が使用した場合
サーブ側がトークンを使ってラリーに勝つと、通常の1点ではなく2点を獲得します。
例えば、5対4でサーブしているチームがトークンを使い、ラリーに勝った場合は7対4になります。
一度に点差を広げられるため、短時間の試合では大きな効果があります。
サーブ側がトークンを使ってラリーに負けた場合は、通常どおりサーブ順が進むか、相手へサーブ権が移ります。
トークンを使ったことによる追加の失点はありません。
レシーブ側が使用した場合
レシーブ側がトークンを使ってラリーに勝った場合は、相手のサーブ順によって結果が変わります。
- 相手が第1サーバーの場合:第2サーバーへ移り、その後サイドアウトが発生
- 相手が第2サーバーの場合:サイドアウトに加えて1点を獲得
- レシーブ側がラリーに負けた場合:サーブ側へ通常どおり1点が入る
例えば、相手の第2サーバーに対してトークンを使い、レシーブ側がラリーに勝てば、相手のサーブ権を止めながら自分たちの得点を1点増やせます。
試合を終わらせる目的では使えない
パワープレー・トークンは、その得点によって試合が終了する場面では使用できません。
例えば9点先取の試合で、サーブ側が7点を持っている場合、2点を取れば9点になるためトークンは使えません。
使うタイミングを決める際は、次の点が重要です。
- 現在の点差
- 残り時間
- 自分たちのサーブ順
- 相手が第1・第2サーバーのどちらか
- 得意なローテーションになっているか
- 直前のラリーでどちらに勢いがあるか
序盤に使ってリードを広げるのか、接戦になるまで温存するのか。
1枚のトークンが試合の流れを変える可能性があります。
すべての得点が寄付につながる
この大会では、試合で記録された1ポイントにつき、APPが100ドルをShriners Children’sへ寄付します。
優勝チームの得点だけではなく、プールプレーから決勝までに両チームが獲得したすべてのポイントが対象です。
寄付額は、次の手順で決まります。
- 各試合で両チームがポイントを獲得する
- 全試合の得点を合計する
- 合計ポイント数に100ドルを掛ける
- 算出した金額をAPPが寄付する
例えば、9対6で終了した試合では、両チームを合わせて15ポイントが記録されます。
この1試合だけで寄付額は1,500ドルです。
大会全体で200ポイントが記録されれば2万ドル、250ポイントなら2万5,000ドル、300ポイントなら3万ドルの寄付になります。
パワープレーでサーブ側が2点を獲得した場合は、スコアに2点が加算されます。
そのため、特別ルールによる得点の動きも、最終的な寄付額に関わります。
この仕組みには、次のような特徴があります。
- 勝ったチームだけでなく両チームの得点が対象
- 予選から決勝までのポイントを合計
- 点差が開いた試合でも最後の1点に意味がある
- パワープレーで増えた得点も寄付額に影響する
- 観戦する側にも寄付額の増加が分かりやすい
勝敗がほぼ決まった場面でも、選手が最後までポイントを追いかける意味があります。
「すべてのラリーが大切」という大会のテーマを、競技ルールと社会貢献の両方で表現した仕組みです。
まとめ
2026 APPプロ招待大会シカゴでは、混合ダブルス8組が8分間の予選やゴールデンラリーなど、通常とは異なるルールで対戦します。
5秒サーブ、タイムアウト禁止、パワープレー・トークンによって、一瞬の判断が試合結果を大きく動かします。
さらに、記録された1ポイントにつき100ドルが寄付されるため、勝敗にかかわらずすべての得点に意味があります。
競技のスピード感、戦略性、社会貢献を組み合わせた大会形式として注目です。


