2026年のMLPで最後となる第4回ウェーバーが行われ、フェニックス・フレームズがアリー・フィリップスを獲得しました。
複数チームを渡り歩いた選手や、補強後すぐに移籍した選手もいるなど、今季のウェーバーはかなり動きの多い展開です。
MLPウェーバー制度はどのような仕組みなのか
MLPのウェーバー制度は、シーズン途中にチームが登録選手を入れ替えるための仕組みです。
チームは現在のロースターから選手を外し、UPAと契約しているものの、MLPのどのチームにも登録されていない選手を獲得できます。
※MLP:メジャーリーグ・ピックルボールの略称です。男女混合のチーム形式で試合が行われます。
※UPA:プロピックルボールの大会や選手契約を管理する団体です。
※ロースター:大会に出場できる登録選手の一覧を指します。
選手を獲得したいチームは、ウェーバー期間が始まる前に最低1,000ドルの入札を行います。
指名順は入札額の高いチームから決まり、その順番が各ラウンドで繰り返されます。
たとえば、最も高い金額を入札したチームが最初に選手を選び、その後は2番目、3番目のチームへと順番が回ります。
全チームが指名を見送った時点で、そのウェーバー期間は終了です。
選手を実際に獲得したチームは、入札した金額をリーグへ支払います。
同じ期間中に2人を獲得した場合は、2人分の入札額が必要です。
一方、選手を獲得しなかった場合は支払いが発生しません。
主なルールは次のとおりです。
- 指名できるのはUPA契約中でMLP未登録の選手
- 選手を獲得した場合のみ入札額を支払う
- 複数選手を獲得すると、選手ごとに入札額が必要
- 一度指名を見送ると、その期間中は再び指名できない
- 獲得に伴って外された選手は、同じ期間中に別チームが獲得できる
- ウェーバーの指名枠はほかのチームへ譲渡できない
- 2026年にウェーバーで獲得された選手は、翌年以降のキープ対象にならない
※キープ:翌シーズンも同じチームに選手を残すことです。
ウェーバーは、単に調子の悪い選手を入れ替える制度ではありません。
ケガへの対応、ダブルスの相性改善、男女比の調整、終盤戦に向けた戦力強化など、チームのさまざまな事情が反映されます。
第4回はフェニックスがアリー・フィリップスを獲得
2026年7月14日に行われた第4回ウェーバーでは、フェニックス・フレームズがアリー・フィリップスを獲得しました。
代わってチームを外れたのは、アルビーの愛称で知られるウェンホアン・シャンです。
| 指名順 | チーム | 獲得選手 | ウェーバー対象選手 |
| 1 | フェニックス・フレームズ | アリー・フィリップス | ウェンホアン・シャン(アルビー) |
2026年シーズン最後に予定されていたウェーバーでしたが、発表された選手移動はこの1件のみでした。
ほかのチームは現在のロースターを維持し、選手の入れ替えを行わなかったことになります。
アリー・フィリップスは、第2回ウェーバーでカロライナ・ホッグスから外れていた選手です。
その後、第4回でフェニックスから指名され、再びMLPのロースターに戻りました。
一度チームを外れた選手が、別のチームから必要とされて復帰するのは、ウェーバーならではの展開です。
チームによって求めるプレースタイルやダブルスで組ませたい相手が異なるため、あるチームでは構想外でも、別のチームでは重要な戦力になることがあります。
フェニックスはウェンホアン・シャンを外してフィリップスを入れたため、単なる人数補充ではありません。
男女混合の対戦や女子ダブルスの組み合わせなどを見直し、チーム全体のバランスを変えようとした可能性があります。
※構想外:チームの今後の戦い方や選手起用の計画から外れることです。
シーズン終盤の選手変更は、新しいペアを試す時間が限られるという難しさもあります。
それでも入れ替えを決断した点からは、フェニックスが現状の戦力に何らかの課題を感じていたことがうかがえます。
第3回は5件の移動でチーム編成が大きく変化
2026年6月23日の第3回ウェーバーでは、4チームが合計5人の選手を獲得しました。
なかでもテキサス・ランチャーズは2人を入れ替えており、ほかのチームよりも積極的にロースターを動かしています。
| 指名順 | チーム | 獲得選手 | ウェーバー/IR |
| 1 | パームビーチ・ロイヤルズ | ケイシー・ダイヤモンド | グレイソン・ゴールディン(IR) |
| 2 | フロリダ・スマッシュ | コナー・モーグル | トラビス・レッテンマイヤー |
| 3 | マイアミ・ピックルボールクラブ | ゼイン・フォード | ルック・ファム |
| 4 | テキサス・ランチャーズ | ラファ・ヒューエット | マシュー・バーロウ |
| 5 | テキサス・ランチャーズ | アンジー・ウォーカー | マルセラ・アギラ・アンポン |
最初に動いたパームビーチ・ロイヤルズは、グレイソン・ゴールディンをIRに入れ、ケイシー・ダイヤモンドを獲得しました。
※IR:故障者リストの略称です。ケガなどの理由で一時的に試合へ出場できない選手が登録されます。
このケースは、既存選手を完全に放出したというより、故障した選手の穴を埋める補強と考えるとわかりやすいでしょう。
リーグ戦が続くなかで人数不足になると、ペアの選択肢が減り、チーム戦全体に影響します。
フロリダ・スマッシュは、トラビス・レッテンマイヤーを外し、コナー・モーグルを獲得しました。
モーグルはこの時点ですでに複数チームを経験しており、2026年のウェーバーを象徴する選手の一人です。
マイアミ・ピックルボールクラブは、ルック・ファムに代えてゼイン・フォードを獲得しました。
同じ男子選手同士の入れ替えでも、プレースタイルや得意なポジションが違えば、ダブルスの組み合わせは大きく変わります。
そして最も大胆に動いたのがテキサス・ランチャーズです。
ラファ・ヒューエットとアンジー・ウォーカーを加え、マシュー・バーロウとマルセラ・アギラ・アンポンを外しました。
男子と女子をそれぞれ1人ずつ入れ替えたため、男子ダブルス、女子ダブルス、男女混合ダブルスのすべてを見直せます。
チーム全体の相性を一気に変えたいという狙いが感じられる動きです。
第2回はウェーバー直後にトレードも成立
2026年6月2日の第2回ウェーバーでは、5チームが1人ずつ選手を獲得しました。
さらに、ウェーバーとは別に、カリフォルニア・ブラックベアーズとカロライナ・ホッグスの間でトレードも成立しています。
| 指名順 | チーム | 獲得選手 | ウェーバー対象選手 |
| 1 | マイアミ・ピックルボールクラブ | 藤原理花 | エイバ・カバタイオ |
| 2 | シカゴ・スライス | AJ・コラー | トム・プロツェク |
| 3 | カロライナ・ホッグス | ニコール・コナード | アリー・フィリップス |
| 4 | カリフォルニア・ブラックベアーズ | ジェームズ・デルガド | コナー・モーグル |
| 5 | テキサス・ランチャーズ | マルセラ・ホーンズ | ジェニー・ブシャール |
マイアミはエイバ・カバタイオを外し、藤原理花を獲得しました。
女子選手の入れ替えとなるため、女子ダブルスだけでなく、男女混合ダブルスの組み合わせにも影響する補強です。
シカゴ・スライスはトム・プロツェクに代えてAJ・コラーを加えました。
AJ・コラーは経験豊富な選手であり、試合中の判断力やチーム戦での安定感を求めた補強と見ることもできます。
カロライナ・ホッグスはアリー・フィリップスを外し、ニコール・コナードを獲得しました。
フィリップスはその後、第4回でフェニックスに指名されるため、ここでの放出がシーズン最後の移籍につながっています。
カリフォルニア・ブラックベアーズはコナー・モーグルを外し、ジェームズ・デルガドを獲得しました。
しかし、モーグルの移動はここで終わりません。
その後、ブラックベアーズはカロライナ・ホッグスとのトレードでモーグルを獲得し、交換でマイケル・ロイドを放出しています。
※トレード:チーム同士が合意し、選手や指名権などを交換する移籍方法です。
つまり、モーグルは一度ブラックベアーズのロースターから外れたものの、別の取引によって再び同チームへ加わったことになります。
ウェーバーとトレードが連続して発生し、選手の所属先が短時間で変化した珍しいケースです。
テキサス・ランチャーズは、ジェニー・ブシャールを外してマルセラ・ホーンズを獲得しました。
ランチャーズは第3回でも2人を入れ替えており、シーズンを通してロースター調整に積極的だったチームといえます。
第1回から移籍を繰り返した注目選手
2026年5月16日に行われた第1回ウェーバーでは、ダラス・フラッシュとカロライナ・ホッグスの2チームが動きました。
ホッグスは2人を獲得し、シーズン序盤から大きな変更を加えています。
| 指名順 | チーム | 獲得選手 | ウェーバー対象選手 |
| 1 | ダラス・フラッシュ | ウェンホアン・シャン | アンジー・ウォーカー |
| 2 | カロライナ・ホッグス | アビゲイル・ハットン | エイバ・イグナトウィッチ |
| 3 | カロライナ・ホッグス | コナー・モーグル | ジェームズ・デルガド |
ダラス・フラッシュは、アンジー・ウォーカーを外し、ウェンホアン・シャンを獲得しました。
ところが、アンジー・ウォーカーは第3回ウェーバーでテキサス・ランチャーズに獲得されています。
一方、ウェンホアン・シャンは第4回でフェニックス・フレームズのロースターを外れました。
第1回で獲得された選手と放出された選手が、その後も別のチームで動く展開となっています。
カロライナ・ホッグスは、アビゲイル・ハットンとコナー・モーグルを獲得しました。
2人を同じ日に加えたことから、序盤の結果やペアの相性を受けて、早い段階でチームを変えようとしたことがわかります。
特に今季の注目選手はコナー・モーグルです。
- 第1回でカロライナ・ホッグスが獲得
- 第2回でホッグスのロースターを外れる
- トレードによってカリフォルニア・ブラックベアーズへ移籍
- 第3回でフロリダ・スマッシュが獲得
短期間でこれだけ所属先が変わる選手は珍しく、本人にとっては新しいパートナーや戦術に素早く対応する力が求められます。
ただし、何度も移籍したからといって、評価が低いとは限りません。
複数のチームが獲得を決断しているため、それだけ戦力として必要とされていたとも考えられます。
全4回の動きから見える各チームの補強戦略
2026年の全4回を振り返ると、チームによってウェーバーの使い方が大きく異なっていました。
ケガへの対応として選手を加えたチームもあれば、男女1人ずつを入れ替え、チーム全体の組み合わせを変えたチームもあります。
特に注目したいポイントは次のとおりです。
- 同じ選手が複数のチームを移動している
- ウェーバーで外れた選手が、別のチームに再び獲得されている
- ウェーバー後にトレードが成立している
- 男子と女子を同時に変更したチームがある
- 故障者への対応としてウェーバーが使われている
MLPでは、1人のスター選手が強いだけでは勝ち続けられません。
男子ダブルス、女子ダブルス、男女混合ダブルスのすべてでポイントを取る必要があり、選手同士の相性がかなり重要です。
さらに、対戦が同点になった場合はドリームブレーカーが行われます。
※ドリームブレーカー:チーム戦が同点になった場合に行われるシングルス形式のタイブレークです。各選手が交代しながらポイントを争います。
そのためチームは、ダブルスが得意な選手だけでなく、シングルスでも戦える選手や、プレッシャーのかかる場面で安定している選手をそろえる必要があります。
ウェーバーでの選手変更を見ると、各チームがどこに課題を感じているのかも見えてきます。
男子選手だけを入れ替えた場合は男子ダブルスや混合ダブルス、女子選手を変更した場合は女子ダブルスやチーム全体のバランスを改善したい可能性があります。
試合結果だけでなく、誰が加入し、誰が外れたのかを追うことで、MLPのチーム戦をさらに深く楽しめます。
まとめ
2026年最後の第4回ウェーバーでは、フェニックス・フレームズがアリー・フィリップスを獲得しました。
全4回を見ると、コナー・モーグルのように複数チームを移った選手や、一度外れた後に別チームで再びチャンスをつかんだ選手もいます。
今後は新加入選手の個人プレーだけでなく、誰とペアを組み、チームの成績をどう変えるのかにも注目です。


