初心者と経験者が同じコートに立つ練習では、進め方ひとつで雰囲気が大きく変わります。
全員を分けるのではなく、同じメニューの中で目標や得点ルールを変えることが、楽しく伸びるコツです。
レベル差のある練習は「分ける」より「同じテーマで変える」が大事
ピックルボールの練習会では、始めたばかりの人と、すでに試合慣れしている人が同じコートに入ることがあります。
ここで無理にレベル別へ分けようとすると、人数が足りなかったり、待ち時間が増えたりして、逆にテンポが悪くなることもあります。
大切なのは、全員が同じ練習テーマに取り組みながら、それぞれのレベルに合った課題を持てるようにすることです。
たとえばテーマを「ラリーを安定させる」にした場合、初心者はまずネットミスを減らすこと、経験者は深い位置へ正確に返すこと、上級者は相手を動かしながら有利な形を作ることを目標にできます。
- 初心者:まずは3球続ける
- 中級者:相手コートの深い位置へ返す
- 上級者:相手の体勢を崩すコースを狙う
※ラリー:ボールを打ち合い続けることです。
※コートの深い位置:相手コートの奥側のエリアのことです。
練習前に目的を決めると、全員が迷わず動ける
レベル差のあるグループで一番起きやすいのは、「何を意識すればいいのか分からない」という状態です。
上手な人は簡単すぎて流してしまい、慣れていない人は難しすぎて焦ってしまいます。
すると、せっかく同じコートにいても、練習のまとまりがなくなります。
そこでコーチは、最初に練習の目的をひとつに絞ることが大切です。
たとえば「今日は速い球を打つ日」ではなく、「今日は無理に決めにいかず、相手コートへ安定して返す日」と伝えるだけで、全員の意識がそろいます。
目的がはっきりすると、ミスをしても何を修正すればいいか分かりやすくなります。
具体的には、次のように声をかけると練習が進めやすくなります。
- 「まずはネットを越すことを優先しましょう」
- 「次は相手の足元を狙ってみましょう」
- 「余裕がある人は、相手を左右に動かしてみましょう」
※足元を狙う:相手が打ち返しにくい低い位置へボールを送ることです。
同じドリルでも、初心者と上級者で見るポイントを変える
レベル差があると、つい別々の練習メニューを用意したくなります。
ただ、コート数や時間が限られている場合は、ひとつのドリルを全員で行いながら、見るポイントを変えるほうがスムーズです。
たとえば「クロス方向にラリーを続ける練習」を行うとします。
初心者は、フォームを崩さずに相手コートへ返すことを目標にします。
中級者は、ただ返すだけでなく、相手が取りやすい場所ではなく、少し動かせる場所を狙います。
上級者は、相手の立ち位置を見て、次の展開まで考えながら打ちます。
同じドリルでも、成功の基準を変えると全員が退屈しにくくなります。
- 初心者の成功:5回中3回コートに入る
- 中級者の成功:狙った方向へ安定して返す
- 上級者の成功:相手のバランスを崩して次の攻撃につなげる
※クロス:斜め方向に打つコースのことです。
※フォーム:打つときの体の使い方や姿勢のことです。
ローテーションで、相手・ペア・球質の違いを経験する
同じペア、同じ相手で練習を続けると、どうしてもプレーの流れが固定されます。
強い人がずっと主導権を握ったり、初心者が同じミスを繰り返したりして、練習の熱量が下がることもあります。
そこで重要になるのがローテーションです。
ペアや対戦相手を数分ごとに入れ替えることで、いろいろな球の速さ、打ち方、立ち位置を経験できます。
初心者にとっては「いろいろなタイプのボールに慣れる練習」になり、上級者にとっては「相手に合わせてプレーを組み立てる練習」になります。
たとえば、次のような形で回すと分かりやすいです。
- 3分ごとにペアを交代する
- 5点先取で勝敗がついたら相手を入れ替える
- 強い人同士で固めず、毎回ペアの組み合わせを変える
※ローテーション:ペアや対戦相手を順番に入れ替えることです。
※球質:ボールの速さ、回転、高さ、伸び方などの違いです。
得点ルールを変えると、自然にレベル別の課題になる
レベル差のある練習では、全員に同じ勝敗ルールを当てはめると、実力差がそのまま結果に出やすくなります。
すると、上級者は簡単に勝ててしまい、初心者は「何もできなかった」と感じやすくなります。
そこで使いやすいのが、得点条件を変える方法です。
たとえば、初心者は「ラリーが3回続いたら1点」、中級者は「相手コートの奥へ返せたら1点」、上級者は「相手を動かしてミスを引き出したら1点」にします。
こうすると、同じゲームの中でも、それぞれが自分の課題に集中できます。
具体的な得点例は、次の通りです。
- 初心者:ネットミスをせずに返せたら1点
- 中級者:深いボールを打てたら1点
- 上級者:相手を左右に動かして崩せたら1点
- 全員共通:無理な強打ではなく、狙いのあるプレーを評価する
※強打:スピードを出して強く打つショットのことです。
※プレッシャーをかける:相手に余裕のない状態で打たせることです。
まとめ:レベル差は弱点ではなく、練習を濃くするチャンス
レベル差のあるピックルボール練習は、やり方を間違えると退屈な人と不安な人が出てしまいます。
ただ、同じテーマの中で目標や得点ルールを変えれば、全員が自分に合った課題へ取り組めます。
コーチがすべてを細かく分けるのではなく、練習の仕組みそのものを工夫することがポイントです。
ローテーションを入れれば、いろいろな相手と打ち合えるので、初心者も上級者も学びが増えます。
レベル差は、グループ練習の弱点ではありません。
うまく設計すれば、コート全体の雰囲気が明るくなり、全員が「今日はちゃんと成長できた」と感じられる時間になります。


