静かな選手とよく話す選手で変わるピックルボール指導術

コラム

ピックルボールの指導では、ショットの打ち方だけでなく、選手の性格に合わせた声かけがかなり重要です。

静かな選手とよく話す選手、それぞれに合う伝え方を知ることで、練習の空気も上達スピードも変わります。 

性格に合わせた指導が大事な理由

ピックルボールの練習では、同じアドバイスでも選手によって受け取り方が変わります。

たとえば「もっと前に出よう」と伝えたとき、すぐに動きで試せる選手もいれば、なぜ前に出る必要があるのかを頭の中で整理してから動きたい選手もいます。

コーチング(※選手の成長を助ける指導や声かけ)は、ただ正しいことを言えばいいわけではありません。

相手に伝わり、次のプレーで実行できて初めて意味があります。

特にグループ練習では、静かな選手、よく話す選手、すぐ動く選手、考えてから動く選手が同じコートにいます。

全員に同じテンション、同じ言葉数で接すると、誰かには伝わっても、誰かには届きにくくなります。

意識したいポイントは次の通りです。

・選手の反応を見ながら声をかける
・一人ひとりの理解スピードを決めつけない
・アドバイスは短く、具体的に伝える
・性格ではなく、学び方の違いとして見る

たとえば、ミスが続いた場面でも「なんでできないの?」ではなく、「今は足の位置だけ確認しよう」と伝えるだけで、選手はかなり動きやすくなります。

性格に合わせた指導は、優しさだけではなく、上達の効率を上げるための大事な技術です。

静かな選手には考える時間をつくる

静かな選手は、反応が薄く見えることがあります。

しかし、それはやる気がないという意味ではありません。

むしろ、頭の中でプレーをかなり細かく振り返っていることがあります。

たとえば、リターン(※相手のサーブを打ち返すショット)をミスしたあと、すぐに言葉が出ない選手がいたとします。

このとき、コーチが「今のはパドル面が悪いね」「もっと足を動かして」「次は深く返して」と一気に話すと、選手は情報を処理しきれなくなることがあります。

静かな選手には、質問をシンプルにするのが効果的です。

・今のボールは速く感じた?
・打つ位置は少し近かった?
・次は深く返すことだけ意識してみようか?

このように、答えやすい質問にすると、選手も自分の感覚を言葉にしやすくなります。

返事がすぐに返ってこなくても、数秒待つことが大切です。

沈黙は失敗ではなく、考えている時間です。

また、静かな選手には一度に多くの改善点を伝えないほうがいいです。

たとえば「サーブ後の立ち位置」「パドルの角度」「次の動き出し」を同時に直そうとすると、意識が散らばります。

まずは「サーブを打ったら一歩だけ前に入る」など、行動をひとつに絞ると取り組みやすくなります。

静かな選手への声かけは、短く、落ち着いて、待つことがポイントです。

よく話す選手には方向性を示す

よく話す選手は、プレー中に感じたことをそのまま言葉に出すタイプです。

「今のボール、思ったより伸びた」「ちょっと打点が遅れたかも」「次はロブを使ってみたい」など、話しながら自分の考えを整理していきます。

このタイプは、練習への熱量が高く、改善したい気持ちも強いことが多いです。

コートの雰囲気を明るくしてくれる存在でもあります。

ただし、会話が長くなりすぎると、ラリー(※ボールを打ち合う流れ)の本数が減ってしまい、練習のテンポが落ちることがあります。

よく話す選手には、まず一度受け止めてから、やることを絞るのが効果的です。

たとえば選手が「今のミスは打つのが遅れたし、相手の位置も見えてなくて、たぶん足も止まってました」と話した場合、コーチはすべてに答える必要はありません。

「いい気づきですね。じゃあ次は、足を止めないことだけ意識してみましょう」

このように、考えを認めたうえで、次の行動をひとつに絞ります。

話を止めるのではなく、プレーにつながる形に整理するイメージです。

使いやすい流れは次の通りです。

1.選手の言葉を短く受け止める
2.改善ポイントを一つだけ選ぶ
3.すぐ次のプレーで試させる
4.終わったあとに短く振り返る

よく話す選手には、「考えるな」ではなく「考えたことを次のプレーで試そう」と伝えるのがコツです。

会話をエネルギーに変えられると、練習の質はかなり上がります。

声かけひとつで信頼関係は変わる

選手は、コーチが思っている以上に声かけをよく聞いています。

内容だけでなく、言い方、タイミング、表情まで見ています。

だからこそ、同じアドバイスでも「自分を見てくれている」と感じる伝え方と、「ただ注意された」と感じる伝え方があります。

たとえば、静かな選手に対して「もっと声出して」と言い続けると、その選手はプレーよりも自分の性格を否定されたように感じるかもしれません。

逆に「考えてからで大丈夫。今の感覚を一つだけ教えて」と伝えると、安心して話しやすくなります。

よく話す選手に対しても、「しゃべりすぎ」と切ってしまうと、前向きなエネルギーまで止めてしまうことがあります。

そこでは「気づきはいいですね。次はそれをプレーで確認しましょう」と返すと、会話を練習につなげられます。

信頼関係をつくる声かけのポイントは次の通りです。

・性格を否定しない
・選手の反応を見て言葉を選ぶ
・できている部分も具体的に伝える
・注意ではなく、次の行動を示す

たとえば「ダメ」ではなく、「次はパドルを少し上げた状態で待とう」と言い換えるだけで、選手は何をすればいいか分かります。

信頼されるコーチは、選手を変えようとするのではなく、選手が動きやすい言葉を選べる人です。

練習のテンポを崩さない工夫

ピックルボールの練習では、説明の時間とプレーの時間のバランスが大切です。

どれだけ良いアドバイスでも、説明が長すぎると体を動かす時間が減ってしまいます。

逆に、何も説明せずに打ち続けるだけでは、同じミスを繰り返すこともあります。

そこで大切なのが、「短く伝えて、すぐ試す」流れです。

たとえば、ボレー(※ノーバウンドで打つショット)の練習中なら、「パドルを振りすぎない」「体の前で当てる」「次の構えを早く作る」など、意識するポイントを一つに絞ります。

静かな選手には、説明後に少し考える余白を与えます。

よく話す選手には、話を受け止めたうえで「次の3球で試そう」と区切りをつけます。

どちらも、最終的にはプレーに戻すことが大切です。

練習で使いやすい声かけは次の通りです。

・次はここだけ意識しましょう
・まず3球だけ試してみましょう
・今の感覚を一言で言うとどうですか?
・いいですね、次は同じ形でもう一回いきましょう

また、グループ練習では一人に長く時間を使いすぎないことも大切です。

個別に伝える内容は短くし、全体に関係するポイントはまとめて共有すると、全員の集中力を保ちやすくなります。

コーチの役割は、練習を止めすぎず、でも流しすぎないことです。

テンポよく進めながら、選手ごとに必要なヒントを渡していくことが、良い練習につながります。

まとめ

ピックルボールの指導では、静かな選手とよく話す選手のどちらが優れているということはありません。

それぞれに学び方があり、上達しやすい声かけの形があります。

静かな選手には、短い質問と考える時間を。

よく話す選手には、考えを受け止めたうえで、次にやることをはっきり示すことが大切です。

コーチが性格に合わせて伝え方を変えられると、選手は安心してチャレンジしやすくなります。

結果として、グループ全体の雰囲気も良くなり、練習の質も上がっていきます。

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