Major League Pickleball(MLP)の2026年レギュラーシーズンはいよいよ最終盤です。
首位争いだけでなく、上位4枠やプレーオフ進出圏をめぐる争いも激化。
わずか1ポイントで順位が変わる状況もあり、各チームにとって1試合の重みが一気に大きくなっています。
フェデリコ・スタクスルードの移籍に注目
シーズン最終盤の注目選手のひとりが、Federico Staksrud(フェデリコ・スタクスルード)です。
スタクスルードはOrlando SqueezeからNew Jersey Fivesへ移籍し、プレーオフを目前に控えた重要なタイミングで新しいチームに加わりました。
ここで面白いのは、「強い選手が入ったから、そのままチーム力が上がる」とは限らないことです。
MLPでは、チームに所属する選手たちが男子ダブルス、女子ダブルス、ミックスダブルスなどで組み合わせを変えながら戦います。
そのためスタクスルードについても、
- 男子ダブルスで誰と組むのか
- ミックスダブルスでは誰とペアを組むのか
- コートの左右どちらを担当するのか
- パートナーとの得意ショットがかぶらないか
- 攻撃型と守備型のバランスが取れるか
といった部分が重要になります。
ミックスダブルス(※男性1人・女性1人でペアを組むダブルス)では、単純なショット力だけでなく、お互いの守備範囲や攻撃の役割分担が勝敗に影響します。
例えば、片方がフォアハンドで広い範囲をカバーするタイプなら、もう片方は相手の攻撃を安定してブロックできる選手のほうが組み合わせとして機能する場合があります。
また、右サイドと左サイドでは求められる役割も変わります。
左サイドの選手が中央へ積極的に入り、フォアハンドで攻撃する形もあれば、2人がそれぞれ自分のエリアを守るスタイルもあります。
スタクスルードがNew Jerseyの現在のメンバーとどのような役割分担をするのかは、チーム全体のプレーオフ戦略にも関わってきそうです。
個人競技のイメージが強いピックルボールですが、MLPを見ると「誰と組ませるか」という監督・チーム側の戦略もかなり重要だと分かります。
St. LouisとNew Jerseyが首位争い
レギュラーシーズン首位争いでは、St. Louis ShockとNew Jersey Fivesがともに93ポイントで並んでいます。
つまり、現在の時点では完全に横一線です。
この2チームにとって、残りの試合は単なる順位決定戦ではありません。
レギュラーシーズンを1位で終えれば、プレーオフで最上位のシードを獲得できます。
シード(※レギュラーシーズンなどの成績をもとに決められる大会内の順位)は、トーナメントの組み合わせに大きく関わります。
特に今回のMLPでは、トップシードになることで、
- 準々決勝で対戦相手を選択できる
- 準決勝でも対戦相手を選べる
- ホームチームとして試合を進められる
といったメリットがあります。
ここが一般的な「1位だから名誉がある」という話とは違うところです。
例えばプレーオフに進出したチームの中に、「最近調子を上げていて対戦したくないチーム」がいたとします。
トップシードを持っていれば、そのチームを避けながら別の相手を選択するという戦略も可能になります。
また、逆に「相性の良いチーム」を選び、勝ち上がりやすいルートを作ることも考えられます。
そのためSt. LouisとNew Jerseyにとっては、93ポイントでプレーオフへ進めれば十分という状況ではありません。
少しでも多くポイントを積み上げ、1位を確保することがそのまま優勝への準備になります。
さらにNew Jerseyにはスタクスルードが加入しているため、新戦力がどれだけ早くチームにフィットするかも首位争いのポイントです。
リーグ最終盤で「1位と2位の違い」がこれほど大きいからこそ、トップ争いも最後まで本気になります。
上位4チームには大きなメリット
MLPのプレーオフでは、レギュラーシーズン上位4チームに「ファーストラウンド・バイ」が与えられます。
ファーストラウンド・バイ(※プレーオフの最初のラウンドを免除され、次のラウンドから出場できる制度)は、短期決戦ではかなり大きなアドバンテージです。
現在の順位では、
- Columbus:83ポイント、3位
- Dallas:72ポイント、4位
- Los Angeles:71ポイント、5位
- Brooklyn:66ポイント、6位
となっています。
ColumbusとDallasはすでにレギュラーシーズンを終えているため、これ以上ポイントを増やせません。
一方、Los AngelesとBrooklynにはまだ順位を上げるチャンスがあります。
特にLos AngelesはDallasとの差がわずか1ポイントです。
つまり、少しポイントを積み上げるだけでも4位以上へ入る可能性があります。
Brooklynはさらに大きな結果が必要ですが、上位へ進めば一気にプレーオフの戦い方が変わります。
なぜ1回戦免除がそこまで大きいのでしょうか。
主なメリットは、
- プレイする試合数が減る
- 体力を温存できる
- ケガのリスクを減らせる
- 他チームの試合を見て分析できる
- 優勝までに必要な勝利数が少なくなる
ことです。
ピックルボールのダブルスでは、ネット前の高速ラリーが何度も続きます。
特に連戦になると、脚の疲労だけでなく、肩、肘、手首などにも負担が積み重なります。
さらにMLPでは複数のカテゴリーで試合に出るため、トップ選手ほど出場機会が多くなる可能性があります。
その中で1ラウンドを戦わなくていいというのは、単純に「楽ができる」というより、コンディションを整えた状態で重要な試合へ入れるという意味があります。
Los AngelesとBrooklynが狙っているのは、単なる順位アップではなく、優勝確率を少しでも高めるための上位4枠なのです。
プレーオフ圏内をめぐる激しいボーダー争い
最も順位表を見るのが面白いのは、11位から15位あたりかもしれません。
MLPでは上位12チームがプレーオフへ進出します。
現在の状況は、
- Atlanta:36ポイント、9位
- SoCal:34ポイント、10位
- California:30ポイント、11位
- Chicago:27ポイント、12位
- Las Vegas:26ポイント、13位
- Orlando:25ポイント、14位
- Miami:20ポイント、15位
となっています。
ここで重要なのが12位です。
12位までがプレーオフ進出、13位以下はシーズン終了となるため、Chicagoの27ポイントが現在の大きな基準になっています。
そのすぐ後ろにLas Vegasが26ポイント、Orlandoが25ポイント。
つまり、
Chicago 27
↓1ポイント
Las Vegas 26
↓1ポイント
Orlando 25
という非常に狭い範囲に3チームが並んでいます。
ボーダー(※プレーオフ進出圏内と圏外を分ける境界)付近では、ほんの少しポイントが動くだけで順位が逆転します。
例えばLas Vegasが好成績を残してChicagoを上回れば、その瞬間にLas Vegasがプレーオフ圏内へ入る可能性があります。
一方でChicagoもポイントを伸ばせば、追いかける側との差を広げられます。
さらにCaliforniaも30ポイントなので、決して安全とは言い切れません。
もしCaliforniaが苦戦し、Chicago、Las Vegas、Orlandoが一気にポイントを積み上げれば、11位から14位の並びが大きく変わる可能性があります。
こういう状況では、トップチームとの試合だけでなく「順位が近い相手との試合」が非常に重要です。
ライバルに勝てば自分たちがポイントを伸ばすだけでなく、相手が勢いに乗るのを防ぐことにもつながります。
シーズン序盤なら1敗しても取り返せますが、最終盤ではその1敗が「プレーオフ進出かシーズン終了か」を分けることもあります。
順位表を見ながら試合を見ると、1ポイントの重みがかなり違って見えてくるはずです。
Las Vegas、Orlando、Miamiは逆転を狙う
現在プレーオフ圏外にいるLas Vegas、Orlando、Miamiにとっては、まさに勝負どころです。
まずLas Vegasは26ポイントで13位。
12位Chicagoとの差は1ポイントしかありません。
この位置なら、プレーオフ進出はかなり現実的な目標です。
ただし、自分たちがポイントを積み上げてもChicagoが同じように好成績を残せば、差が縮まらない可能性があります。
つまりLas Vegasは、
- 自分たちが勝つ
- Chicagoより多くポイントを獲得する
- できればCaliforniaにも近づく
という複数の条件を意識する必要があります。
Orlandoは25ポイントで14位。
Chicagoとの差は2ポイントなので、こちらも十分逆転圏内です。
ただしOrlandoはスタクスルードをNew Jerseyへ送り出した後のチームでもあるため、新しい選手構成でどこまで戦えるかもポイントになります。
Miamiは20ポイントで15位です。
12位Chicagoとの差は7ポイントあるため、Las VegasやOrlandoより厳しい状況です。
Miamiの場合は、そこそこの結果ではなく、かなり上位へ進むことが必要になります。
さらに、
- Miami自身が大きくポイントを伸ばす
- Chicagoが伸び悩む
- Las VegasやOrlandoも上回る
- Californiaの結果次第では11位まで動く
といった複数の順位変動が必要になる可能性があります。
こうなると、自分たちの試合が終わったあとも他チームの結果が気になります。
サッカーのリーグ最終節などで、「自分たちが勝ったうえで別会場の結果を待つ」という展開がありますが、それに近い面白さです。
MLP初心者なら、順位表を見ながら「このチームは何位まで上がればいいのか」を確認しておくと、普通の1試合がかなりドラマチックに見えてきます。
下位チームにも残されたわずかな可能性
CarolinaとPhoenixは、数字だけを見るとかなり苦しい位置にいます。
Carolinaは2ポイント、Phoenixは3ポイントです。
この2チームがプレーオフ進出を狙うには、イベントで優勝するほどの大きな結果が必要になります。
しかも、これまでの大会ではそこまで上位へ進めていません。
そのため現実的には非常に厳しいチャレンジです。
ただし、だからといって試合を見る意味がないわけではありません。
むしろ下位チームだからこそ、戦い方が大胆になる可能性があります。
プレーオフ圏内にいるチームなら、「このポイントは絶対に落としたくない」と慎重になる場面があります。
一方、後がないチームは、
- 早めに攻撃を仕掛ける
- 強気なサーブを使う
- 思い切ってスピードアップする
- 普段とは違うペアを試す
- 格上相手にもリスクを取る
といった戦術を選びやすくなります。
スピードアップ(※柔らかいショットのラリーから突然強いボールへ切り替えて攻撃するプレー)は、ネット前で流れを変える代表的な攻撃方法です。
例えばディンク(※ネット近くへ柔らかく落とし、相手に強打させにくくするショット)の打ち合いから、少し浮いたボールを見つけて一気に攻撃する展開があります。
下位チームがこうした思い切ったプレーで上位チームを倒すと、影響を受けるのはその2チームだけではありません。
上位チームがポイントを伸ばせなくなることで、
- 首位争い
- 上位4枠
- プレーオフ出場ライン
まで変化する可能性があります。
つまりCarolinaやPhoenixがプレーオフへ進めなかったとしても、他チームの順位を左右する「キーチーム」になることはあります。
シーズン最終盤では、順位表の下から上まで全チームの結果がつながっているところもMLPの面白さです。
まとめ
Major League Pickleball 2026は、St. LouisとNew Jerseyによる首位争い、Los AngelesやBrooklynによる上位4枠争い、そしてChicago、Las Vegas、Orlandoなどによるプレーオフ最後の枠争いが同時進行しています。
特に12位前後ではわずか1〜2ポイント差に複数チームが並んでいるため、1試合の結果だけでも順位が大きく動く可能性があります。
さらにスタクスルードのNew Jersey加入によって、選手個人の実力だけでなく「誰と組ませるか」というチーム戦略にも注目が集まります。
順位表と各チームの必要条件を確認しながら見ると、MLPは単なるダブルスの試合ではなく、シーズン全体を通したチームスポーツとしてさらに楽しめます。


