2026 APPデトロイト・オープンでは、初優勝を飾った選手や3冠を達成した選手、4大会連続優勝を続ける強豪ペアなど、見どころの多い大会となりました。
さらに82球にも及ぶロングラリーや、大会を通じてわずか15失点という驚異的な記録も誕生。
今回は、数字を切り口に大会の注目ポイントを詳しく振り返ります。
初優勝ラッシュ!新たな主役たちが次々に登場
2026 APPデトロイト・オープンでは、これまであと一歩でタイトルに届かなかった選手たちが一気に結果を残しました。
男子プロシングルスで優勝したのはRonan Camronです。
決勝ではDusty Boyerと対戦し、2026年シーズン自身初となる男子プロシングルスの金メダルを獲得しました。
実はこのカード、同年に行われたシンシナティ大会決勝でも実現していました。
そのときとは逆の結果となり、Camronにとってはまさにリベンジ成功です。
さらにCamronは、Drake Palmと組んだ男子プロダブルスでも銅メダルを獲得。
シングルスだけではなく、ダブルスでも結果を残す大会となりました。
混合プロダブルスではNicola Schoemanが大きな一歩を踏み出しました。
Richard Livornese Jr.とのペアでMegan Fudge&Aidan Schenk組を破り、自身初となるAPP Tourの金メダルを獲得しています。
SchoemanはAmanda Hendryと組んだ女子プロダブルスでも銅メダルを獲得。
1大会で金・銅の2つのメダルを持ち帰りました。
また、Bakó Bálintは男子プロシングルスでAndre Milletを破り、銅メダルを獲得。
アメリカでのAPP大会出場はまだ2大会目ながら、早くもAPP Tour初メダルを手にしています。
Andre MilletもRandy Blancoと組んだ男子プロダブルスで銅メダルを獲得。
これまで男子プロシングルスでは3度の銅メダル経験がありましたが、ダブルスでは今回が初のメダルとなりました。
主な注目選手を整理すると、
- Ronan Camron:男子プロシングルス金、男子プロダブルス銅
- Nicola Schoeman:混合プロダブルス金、女子プロダブルス銅
- Bakó Bálint:男子プロシングルス銅
- Andre Millet:男子プロダブルスでキャリア初メダル
となっています。
※APP Tour:Association of Pickleball Playersが主催する大会シリーズで、プロ選手やハイレベルな選手たちが出場します。
これまで優勝経験のなかった選手が次々と結果を残したことから、今後の大会で勢力図が変わっていく可能性もありそうです。
Richard Livornese Jr.が混合・男子ダブルスで自身初の2冠
今大会で最も目立った選手の一人がRichard Livornese Jr.です。
まず混合プロダブルスではNicola Schoemanとペアを組み、Megan Fudge&Aidan Schenk組を破って優勝。
Livornese Jr.にとって混合プロダブルスでは初の金メダルとなりました。
さらに男子プロダブルスでは、Jack MunroとのペアでEtienne Blaszkewycz&Callan Dawson組と対戦。
こちらも勝利し、男子プロダブルスのタイトルを獲得しました。
その結果、Livornese Jr.は1大会で混合ダブルスと男子ダブルスの2種目を制覇。
「ダブルクラウン」を達成しました。
※ダブルクラウン:1つの大会で2つのカテゴリーを優勝することです。日本語でいえば「2冠」にあたります。
ピックルボールのダブルスでは、ただショットが強いだけでは勝ち続けることはできません。
パートナーとのポジショニングや役割分担、相手の弱点を見抜く判断力など、さまざまな要素が必要になります。
しかも今回は、混合ダブルスと男子ダブルスで異なるパートナーと優勝しています。
誰と組んでも高いパフォーマンスを発揮できるLivornese Jr.の対応力がよく表れた結果です。
さらに男子ダブルスでは、Jack Munroとのペアで連勝記録も継続中。
今後のAPP Tourでも中心選手の一人になりそうです。
Dana Treisterが3種目制覇のトリプルクラウンを達成
AARPマスターズ部門では、Dana Treisterが圧巻の成績を残しました。
Treisterは男子シングルス、男子プロダブルス、混合プロダブルスの3カテゴリーすべてで優勝。
大会3冠となる「トリプルクラウン」を達成しました。
男子シングルスでは自分一人で試合を組み立てて優勝。
男子プロダブルスではScott Greenbergとペアを組み、混合プロダブルスではAnna Shirleyとのコンビで金メダルを獲得しました。
※トリプルクラウン:1大会で3カテゴリーを制することです。
シングルスと複数のダブルス種目を同時に勝ち切る必要があるため、非常に難しい記録です。
シングルスではコート全体を一人でカバーする運動量が必要になります。
一方、ダブルスではパートナーとの連携やネット付近での駆け引きがより重要になります。
つまり3種目で勝つためには、単純なショット力だけでなく、スタミナ、判断力、戦術理解、コンビネーションまで高いレベルでそろっている必要があります。
そんな中で3つの金メダルを手にしたTreister。
デトロイト大会の中でも特にインパクトの大きい記録となりました。
Jack Munro&Richard Livornese Jr.が男子ダブルス4大会連続優勝
男子プロダブルスでは、Jack Munro&Richard Livornese Jr.組が再び優勝しました。
これで2人は、なんと4大会連続で男子プロダブルスのタイトルを獲得しています。
決勝で対戦したのはEtienne Blaszkewycz&Callan Dawson組です。
Blaszkewyczにとっては、これが初めてのチャンピオンシップ・サンデー進出でした。
優勝には届かなかったものの、決勝の舞台まで勝ち上がったこと自体が大きなステップです。
※チャンピオンシップ・サンデー:APP Tourなどで、大会最終日に決勝を中心とした重要な試合が行われる日のことです。
一方で、Munro&Livornese Jr.組の安定感はかなり際立っています。
ピックルボールのダブルスでは、相手に分析されればされるほど、連勝を続けることは難しくなります。
前の大会で勝った戦術が、そのまま次の大会でも通用するとは限らないからです。
それでも4大会連続で優勝しているということは、相手の戦い方に合わせて修正する能力や、試合中の対応力が非常に高いことを意味します。
次の大会で「5連覇」に伸ばすのか、それとも新しいペアが王者を止めるのか。
男子プロダブルスは今後も注目したいカテゴリーです。
82球ラリーと大会わずか15失点!女子カテゴリーで驚きの記録
女子カテゴリーでは、思わず数字を二度見したくなるような記録が生まれました。
女子プロダブルスでは、Shelby Bates&Christine Maddox組がMegan Fudge&Kara Wheatley組と激突。
第2ゲームではBates&Maddox組が3-10と大きくリードを許していました。
ピックルボールでは通常11点先取が基本となるため、3-10はあと1点取られればゲームを落とすかなり厳しい状況です。
しかし、ここからBates&Maddox組が驚異的な粘りを見せました。
その中で生まれたのが、82球に及ぶ超ロングラリーです。
※ラリー:サーブからポイントが決まるまで、両チームがボールを打ち合い続ける展開のことです。
82回もボールが行き来するとなれば、技術だけでなく集中力や体力も必要になります。
このラリーを制したBates&Maddox組は勢いに乗り、試合を最終第3ゲームまで持ち込みました。
そして最終ゲームでは11-1で勝利。2人のペアとして初めてのタイトルを獲得しました。
BatesとMaddoxにとっては、ともに2026年初の金メダル。
さらにMaddoxにとってはキャリア初となる女子プロダブルスの金メダルでした。
一方、女子プロシングルスではKat Stewartが驚異的な強さを見せています。
Stewartが大会全体を通して相手に許した得点は、合計わずか15点。
そしてそのまま2026年3個目となる女子プロシングルスの金メダルを獲得しました。
注目したい数字は、
- 82球:Bates&Maddox組が制したロングラリー
- 3-10:第2ゲームで追い込まれていたスコア
- 11-1:最終第3ゲームのスコア
- 15点:Kat Stewartが大会全体で許した総失点
- 3個:Stewartが2026年に獲得した女子プロシングルス金メダル
です。
女子カテゴリーだけでも、逆転劇と圧倒的な強さという正反対のドラマが生まれた大会となりました。
約4,013平方メートルのコートと保護犬が彩ったデトロイト大会
選手の記録だけでなく、大会会場にも注目したい数字があります。
2026 APPデトロイト・オープンが開催されたVibe Credit Union Showplaceでは、43,200平方フィートものPickleRoll製コートサーフェスが使用されました。
43,200平方フィートを日本で馴染みのある単位に換算すると、約4,013平方メートルです。
※PickleRoll:イベント会場などに設置できる、ピックルボール用のロール式コートサーフェスです。
※コートサーフェス:選手が実際にプレーする床面のことです。ボールの跳ね方や選手のフットワークにも影響します。
もともとのイベントスペースに専用サーフェスを敷き、大規模なピックルボール大会会場へと変えている点からも、競技イベントとしてのスケールの大きさがわかります。
さらにチャンピオンシップ・サンデーには、Michigan Humane Societyの保護犬たちも会場に登場しました。
新しい飼い主を探している犬たちがファンと触れ合い、チャンピオンシップコートにも姿を見せるなど、競技だけではないイベントとしての雰囲気も演出されました。
トッププレーヤーの真剣勝負だけでなく、地域の活動と組み合わせて会場全体を楽しめる空間にしているところも、大規模なピックルボール大会の魅力と言えそうです。
まとめ
2026 APPデトロイト・オープンでは、Ronan CamronやNicola Schoemanの初優勝、Richard Livornese Jr.の2冠、Dana Treisterの3冠など、多くの記録が生まれました。
さらに男子ダブルスの4大会連続優勝、82球ラリーからの大逆転、Kat Stewartの大会わずか15失点と、試合内容もかなり濃い大会となっています。
特に注目したいのは、新しい選手が結果を残す一方で、Munro&Livornese Jr.組のような強豪も安定して勝ち続けていることです。
勢力図が少しずつ変化していく中、次のAPP Tourでは誰が新たな主役になるのか。
今後の大会も楽しみです。
