PPAツアー全米選手権を総まとめ!パトリキン&ブライト優勝、ウォーターズも圧巻の強さ

コラム

2026-27シーズンのPPA Tourが、ノースカロライナ州ケーリーで開幕しました。

混合ダブルスでは第1シード敗退の大波乱、男子・女子ではトップ選手たちが存在感を発揮。

新シーズンの勢力図が見えてくる注目大会を詳しく振り返ります。

2026-27シーズン開幕!全米選手権はランキング争いの重要大会

PPA Tourの2026-27シーズンが、ノースカロライナ州ケーリーで開催された「Veolia Pickleball National Championships」からスタートしました。

今回の大会は2,000ポイントが設定された「スラム」(※通常大会よりも多くのランキングポイントを獲得できる重要大会)に位置づけられています。

シーズン開幕直後とはいえ、ここで優勝や上位進出を果たせば、一気にランキングを押し上げられる大きなチャンスです。

特に注目されているのが、新たに導入されたWorld Pickleball Rankingsです。

このランキングでは、男子・女子ダブルス、混合ダブルス、シングルスという3つのカテゴリーで残した成績を総合して選手を評価します。

つまり、ひとつの種目だけで圧倒するのではなく、複数種目で安定して結果を残せる選手ほど高く評価される仕組みです。

PPA Tourは2026年5月のツアーファイナルを最後に春シーズンを終え、その後はMLP(※Major League Pickleball=男女混合のチーム制プロリーグ)の大会が中心となっていました。

そのため今回は、久しぶりにPPA Tour形式で選手たちが戦う大会です。

  • 春から同じペアを続ける選手
  • 新しくコンビを組む選手
  • MLPで成長したスタイルを持ち込む選手
  • シングルスでランキングアップを狙う選手

それぞれが違うテーマを持って新シーズンを迎えました。

単なる開幕戦ではなく、「2026-27シーズンは誰が中心になるのか」を占う大会としてもかなり重要な位置づけだったと言えます。

混合ダブルスで大波乱!パトリキン&ブライトが2度目の優勝

今大会でもっとも大きな話題になったのが混合ダブルスです。

準決勝では、第1シードのベン・ジョンズ/アナ・リー・ウォーターズ組が、JW・ジョンソン/ジョージャ・ジョンソン組に4-11、11-9、11-6で敗退しました。

ジョンズ/ウォーターズ組は、混合ダブルスで長くトップを走ってきた超強力ペアです。

実際、直近で敗れたのは2026年2月のMesa Cupでヘイデン・パトリキン/アナ・ブライト組に負けたときまでさかのぼります。

今回も第1ゲームは11-4でジョンズ/ウォーターズ組が先取しました。

普通ならそのまま試合を支配しそうな展開でしたが、ジョンソン兄妹が第2ゲームを11-9で取り返し流れを変えます。

そして第3ゲームも11-6で制し、まさかの逆転勝利を完成させました。

その大波乱によって優勝争いの流れが一気に変わります。

決勝へ進んだのはジョンソン兄妹と、パトリキン/ブライト組です。

パトリキン/ブライト組は11-9、11-3、11-7のストレートで勝利し、ペアとして2度目のPPA Tourタイトルを獲得しました。

特に第1ゲームの11-9を取り切ったことが大きなポイントです。

接戦をものにした後は、第2ゲームを11-3と大きくリード。第3ゲームでも勢いを落としませんでした。

パトリキンは終盤、相手の強打に対して何度も粘り強いディフェンスを披露。

普通ならポイントが終わりそうな場面でもボールを拾い続け、ラリーをつないでいます。

こうした「1球多く返す」プレーが相手のミスを誘い、試合の流れを大きく引き寄せました。

直前のMLPファイナルでは悔しい敗戦を経験していたパトリキンとブライト。

その直後にPPA Tourでタイトルを獲得したことで、メンタル面でも大きな意味を持つ優勝となりました。

ジョンソン兄妹が復調!第1シード撃破で存在感

優勝には届かなかったものの、今大会で強烈な印象を残したのがJW・ジョンソン/ジョージャ・ジョンソン組です。

2人は兄妹ペアとして長く混合ダブルスのトップ戦線で活躍してきました。

2024年、2025年には何度も決勝へ進出し、「ジョンズ/ウォーターズ組に対抗できるペア」のひとつとして存在感を示していました。

しかし2026年春は少し苦しい時間を過ごします。

1月から5月までに出場した9大会で決勝進出はわずか1回。

安定して上位へ進出していた前年までと比べると、明らかに結果が落ちていました。

その影響もあり、ランキング2位の座をパトリキン/ブライト組に奪われています。

それだけに、今回の第1シード撃破はかなり大きな意味を持つ結果です。

復調のカギになっているのが、JWのプレースタイルの変化です。

最近のJWは以前よりも積極的にコートへ入り、自分が処理するボールを増やしています。

混合ダブルスでは、男子選手がより広い範囲をカバーする戦術が使われることがありますが、JWもその傾向を強めています。

MLPではダラス・フラッシュの一員として、ブルック・バックナーと混合ダブルスを組み、22勝14敗を記録しました。

これまで長くジョージャと組んできたJWにとって、別の選手と継続的に混合ダブルスを戦う経験は新しい刺激になったようです。

MLPでは、

  • より広い範囲をカバーする
  • チャンスボールには早めに仕掛ける
  • 攻撃できる場面では積極的に前へ出る
  • 相手にプレッシャーをかけ続ける

といった攻撃的なスタイルが目立ちました。

その感覚を兄妹ペアにも持ち込んだことで、今回のジョンズ/ウォーターズ撃破につながったと考えられます。

決勝ではパトリキン/ブライトに敗れましたが、トップペアを倒せる力があることを改めて証明しました。

秋シーズンでランキング2位を奪い返せるのか。

混合ダブルスの勢力図を見るうえで、ジョンソン兄妹は再び見逃せない存在になりそうです。

男子ダブルスはジョンズ&タルディオが無敗街道を継続

男子ダブルスでは、ベン・ジョンズ/ゲイブ・タルディオ組が改めて圧倒的な強さを見せました。

2人は2026年1月から5月までのPPA Tourで45勝0敗。出場した大会では9個の金メダルを獲得しています。

つまり春シーズンに限れば、一度も負けることなくタイトルを積み重ねてきたことになります。

今回も第1シードとして優勝候補の大本命でしたが、すべての試合が簡単だったわけではありません。

最大のピンチとなったのが準々決勝です。

ウィル・ハウエルズ/CJ・クリンガー組との試合では、第1ゲームを11-3で取ったものの、第2ゲームを9-11で落とします。

連勝中のペアでも、一度流れを失えばそのまま敗退する可能性があるのがダブルスの怖さです。

それでもジョンズ/タルディオ組は最終ゲームを11-5で勝利。

相手に勢いが出たあとでも試合を立て直せるあたりに、トップペアらしい安定感があります。

決勝ではクリスチャン・アルション/アンドレイ・ダエスク組と対戦しました。

スコアは11-8、11-8、5-11、11-5。

ジョンズ/タルディオ組が最初の2ゲームを連取したものの、第3ゲームはアルション/ダエスク組が11-5で奪取。

ストレート勝ちを許さず、試合を第4ゲームまで持ち込みました。

ただ、最後はジョンズ/タルディオ組が11-5で締めて優勝です。

一方、敗れたアルション/ダエスク組にも収穫がありました。

2人が本格的にペアを組むのは2025年以来。

当時は金メダル3個、銀メダル6個、銅メダル3個を獲得しており、実績のあるコンビです。

今回は配置を変更し、アルションが左側、ダエスクが右側を担当しました。

ダブルスでは左右どちらでプレーするかによって、フォアハンドで攻撃できる範囲や役割が変わります。

そのため、この配置変更は単なる立ち位置の変更ではなく、ペア全体の戦い方を変える重要なポイントです。

復帰初戦で銀メダルを獲得し、さらに無敗ペアから1ゲームを取ったことを考えると、今後はジョンズ/タルディオ組を脅かす存在になる可能性があります。

男子シングルスはハンター・ジョンソンが9度目のタイトル

男子シングルスでは、ハンター・ジョンソンが久しぶりに優勝を飾りました。

PPA Tourの男子シングルスは、ピックルボールの全カテゴリーの中でも特に結果が読みにくい部門です。

ダブルスではペアの相性や連係が大きく影響しますが、シングルスは基本的にコート全体を1人でカバーします。

そのため、

  • サーブの威力
  • リターンの深さ
  • フットワーク
  • パッシングショット
  • ネットへ出るタイミング
  • 長いラリーでの体力

など、かなり幅広い能力が求められます。

今回のジョンソンは、その総合力をしっかり結果につなげました。

準決勝では第1シードのクリス・ハワースと対戦。第1ゲームは11-9の接戦でしたが、第2ゲームは11-1と一気に突き放し、決勝進出を決めています。

そして決勝の相手は、男子シングルスを代表する強豪フェデリコ・スタクスルードです。

第1ゲームはスタクスルードが11-7で先取しました。

しかし、そこからジョンソンが試合を大きく変えます。

第2ゲームを11-3で取り返すと、最終ゲームではなんと11-0。相手に1ポイントも与えない「ピクル」(※11-0でゲームを取ること)で逆転優勝を決めました。

トップ選手同士の決勝で11-0というスコアが生まれたことからも、この日のジョンソンがどれだけ乗っていたかが分かります。

今回がシングルス通算9個目のタイトルで、2026年3月以来の優勝となりました。

通算9タイトルは、ベン・ジョンズ、フェデリコ・スタクスルードに続く歴代3位です。

ジョンソン本人もランキング1位を目指す姿勢を示しています。

実力者が多く、毎大会のように優勝候補が入れ替わる男子シングルス。

ジョンソンの復活によって、2026-27シーズンのタイトル争いはさらに面白くなりそうです。

女子はウォーターズが圧巻!ダブルス&シングルスで頂点

女子カテゴリーで圧倒的な存在感を見せたのが、アナ・リー・ウォーターズです。

まず女子ダブルスでは、アンナ・ブライトとペアを組みました。

この2人は直前のMLPファイナルでは別チームに所属し、ネットを挟んで戦っていました。

しかしPPA Tourでは再び同じペアとしてコートに立ちます。

その結果は圧倒的でした。

大会最初の3ラウンドでは、合計スコア66-7。

単純計算でも、相手チームにほとんど得点を許していないことが分かります。

準決勝ではパリス・トッド/レイチェル・ローバッハー組と対戦しました。

このペアは2026年春に2度組み、金メダル1個、銀メダル1個を獲得。

実績から見ても、ウォーターズ/ブライト組を苦しめる可能性がある組み合わせでした。

しかし結果は11-3、11-4。

ウォーターズ/ブライト組がストレートで勝利しました。

決勝ではタイラ・ブラック/ジョージャ・ジョンソン組と対戦します。

このペアは過去にウォーターズ/ブライト組を倒したことがある数少ないチームでしたが、今回のトップペアはさらに強力でした。

スコアは11-5、11-6、11-3。

一度もゲームを落とさずタイトルを獲得しています。

そしてウォーターズの勢いは女子シングルスでも止まりませんでした。

大会序盤の最初の6ゲームでは、4ゲームで「ピクル」(※11-0で相手に1ポイントも与えず勝つこと)を記録。

1試合で11-0を取るだけでも簡単ではありませんが、それを短期間に4度記録したことになります。

準決勝ではケイトリン・クリスチャンを11-5、11-1で撃破。

決勝ではケイト・フェイヒーに11-1、11-9で勝利し、女子シングルスでも優勝しました。

特に驚異的なのが連勝期間です。

ウォーターズが女子シングルスで最後に敗れてから、すでに830日以上が経過しています。

2年以上にわたってシングルスで負けていない計算になり、現在の女子ピックルボール界でどれだけ抜けた存在なのかが分かります。

さらに今回は女子ダブルスでも優勝しているため、ダブルスとシングルスの両方でトップレベルの実力を証明しました。

2026-27シーズンも、女子カテゴリーは「誰がウォーターズを止めるのか」という構図が大きなテーマになりそうです。

まとめ

2026-27シーズンの開幕戦となったPPA Tour全米選手権では、第1シードが敗れる混合ダブルスの波乱から、トップ選手たちの圧倒的な強さまで、多くのドラマが生まれました。

パトリキン/ブライト組が2度目のタイトルを獲得し、ジョンソン兄妹も復調を感じさせる結果を残しています。

男子ではジョンズ/タルディオ組が無敗の強さを維持し、ハンター・ジョンソンもシングルスで通算9度目の優勝を達成しました。

女子ではアナ・リー・ウォーターズがダブルスとシングルスの両方を制しており、新シーズンも彼女を中心としたタイトル争いから目が離せません。

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