世界トップクラスのピックルボール選手、ゲイブ・タルディオが、ベン・ジョンズとのペア結成秘話や、自身のキャリアを変えた決断を明かしました。
テニスからの転向、右サイドに特化した練習、契約問題、トップ選手ならではのプレッシャーまで。
スター選手の知られざる素顔に迫ります。
テニス少年から世界トップへ!タルディオの意外な競技人生
世界ランキング2位と紹介され、ベン・ジョンズとともに男子ダブルスのトップ選手として活躍するゲイブ・タルディオ。
しかし、彼のスポーツ人生はピックルボールではなく、テニスから始まりました。
ボリビアで育ったタルディオは、幼い頃からプロテニス選手を目指し、テニスアカデミーで練習に励んでいました。
実は、ピックルボールに対する第一印象は最悪だったそうです。
初めて競技を知ったときには、「これまでで一番くだらないゲーム」と感じていたほどでした。
そんな彼の人生を変えたのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。
通っていたテニスアカデミーが閉鎖され、それまでのようにテニスを続けることが難しくなりました。
そこでプレーするようになったのが、フロリダにある祖父のピックルボールコートでした。
さらに大きな転機となったのが、JWジョンソンらジョンソン一家の練習グループに加わったことです。
トップレベルの選手たちと練習する環境を得たことで、タルディオはプロツアーへ進むきっかけをつかみます。
当初はまったく興味を持てなかった競技で、世界トップクラスの選手にまで成長することになったのです。
左ではなく右を選んだ!成功を引き寄せたポジション戦略
タルディオが世界トップクラスに成長した理由の一つが、ダブルスでのポジション選択です。
ピックルボールの男子ダブルスでは、左サイドを希望する選手が多くいます。
左サイドは、右利きの選手がフォアハンドで中央付近のボールを処理しやすく、攻撃を組み立てる役割を担うことが多いポジションです。
しかし、タルディオは周囲と同じ道を選びませんでした。
多くの選手が左サイドを目指している状況を見て、あえて右サイドのスペシャリストになることを決断したのです。
右サイドでは、相手の攻撃をしのぐだけでなく、素早いカウンターで反撃する技術も重要になります。
そこでタルディオが力を入れたのが、バックハンドによるカウンターショットでした。
練習相手となったJWジョンソンのフリックショット(※1)に対し、バックハンドのカウンター(※2)を何千回も繰り返したといいます。
また、試合映像を分析し、トップ選手たちの技術を積極的に研究しました。
参考にしたのは、ベン・ジョンズ、アナ・リー・ウォーターズ、タイソン・マクガフィン、カイル・イェーツといった実力者たちです。
それぞれの優れたショットを観察し、自分のプレーに取り入れることで、独自の攻撃的な右サイドスタイルを作り上げていきました。
左サイドの主役を目指すのではなく、右サイドで誰にも負けない選手になる。
この発想が、タルディオの大きな武器になったのです。
※1 フリックショット:小さなスイングでボールを鋭く打ち出す技術。
相手の予測を外したり、素早く攻撃したりする場面で使われます。
※2 カウンター:相手の攻撃に対して素早く打ち返す反撃ショット。
特にネット付近での高速ラリーでは重要な技術です。
クリスマスの一通が運命を変えた!ベン・ジョンズとのペア誕生
現在のタルディオを語るうえで欠かせないのが、ベン・ジョンズとの男子ダブルスペアです。
しかし、この強力なパートナーシップは、ある意味でギリギリのタイミングで生まれました。
当時、タルディオはPPAツアー(※)との契約をめぐり、難しい決断を迫られていました。
提示された契約条件に納得できず、ツアーを離れる方向へ気持ちが傾いていたのです。
本人によると、離脱する決断は80%近く固まっていました。
そんな状況で訪れたのがクリスマス。
故郷のボリビアに滞在していたタルディオのもとに、ジョンズから突然メッセージが届きました。
この連絡が、キャリアの流れを大きく変えることになります。
ジョンズとのパートナーシップの可能性が生まれたことで、タルディオはPPAツアーとの契約を再び検討。
最終的には契約を更新し、以前の約3倍という金額で合意したと語っています。
つまり、ジョンズからの一通のメッセージは、単なるペア結成の話にとどまらず、タルディオのプロ生活そのものを左右する転機になったのです。
プロスポーツでは、実力だけでなく、契約やパートナー選びもキャリアを左右する重要な要素です。
タルディオのエピソードは、その現実を象徴するような出来事といえるでしょう。
※PPAツアー:Professional Pickleball Associationが主催するプロ大会シリーズ。
世界トップクラスの選手が参戦する主要な競技舞台の一つです。
最強ペアも最初は苦戦!プレッシャーを乗り越えた信頼関係
世界トップクラスのベン・ジョンズとペアを組むことは、タルディオにとって大きなチャンスでした。
しかし、実際に一緒にプレーするようになると、思いがけない壁にぶつかります。
それがプレッシャーでした。
タルディオは、ジョンズと組んで出場した最初の数大会で、緊張から体が硬くなり、普段どおりのプレーができなかったと明かしています。
それまで培ってきた右サイドでの技術や積極的な攻撃も、試合になるとうまく発揮できなかったのです。
トップ選手と組むことには大きな期待が伴います。
パートナーの実績が高いほど、「自分も結果を出さなければ」という気持ちが強くなることもあるでしょう。
そんなタルディオを支えたのが、ジョンズの態度でした。
ジョンズは多くを語るのではなく、静かにタルディオを信頼し続けたといいます。
自分を信じてくれるパートナーの存在が、タルディオの自信を取り戻すきっかけになりました。
そして、少しずつ本来の攻撃的なスタイルを発揮できるようになっていったのです。
ピックルボールのダブルスでは、2人のポジショニングやショットの役割分担が重要になります。
ただし、それらを機能させるためには、お互いを信頼してプレーできることも欠かせません。
技術が優れた2人を組ませるだけでは、強いペアが完成するとは限らない。
タルディオとジョンズの経験は、ダブルスにおけるメンタル面と信頼関係の重要性を感じさせてくれます。
ライバルから親友へ!パトリキンとの友情とプロチーム生活
番組では、試合中の戦略だけでなく、タルディオの交友関係についても語られました。
その中で登場するのが、ヘイデン・パトリキンです。
パトリキンもプロツアーで活躍する選手で、タルディオとはライバルとして競い合ってきました。
しかし、現在では2人は親友と呼べる関係になったそうです。
コート上では勝利を争う相手であっても、競技を離れれば友情を育むことができる。
そんなプロ選手同士の関係が紹介されています。
また、タルディオは「セントルイス・ショック(St. Louis Shock)」での生活についても語りました。
セントルイス・ショックは、チーム制のプロリーグであるメジャーリーグ・ピックルボール(MLP)に所属するチームです。
個人やペアで戦う大会とは異なり、チーム制の大会では仲間とともに勝利を目指します。
試合に臨む際にも、自分自身の結果だけでなく、チーム全体の成績を意識する必要があります。
タルディオは、男子ダブルスでのパートナーシップに加え、チームの一員としてもプロ生活を送っています。
ライバル、パートナー、チームメート。
さまざまな選手との関係が、彼の競技人生を形作っているのです。
世界トップ選手になってもテニスが好き?タルディオの意外な本音
ピックルボールで世界トップクラスの選手となったタルディオですが、現在でもテニスへの思いは強いようです。
番組で明かしたのは、「それでもテニスを選ぶ」という意外な本音でした。
もともと彼が目指していたのは、プロテニス選手になること。
ボリビアで育ち、テニスアカデミーに通いながら練習を積み重ねてきた経験は、現在のピックルボールでの成功とは別の、大切な思い出なのでしょう。
興味深いのは、テニスからピックルボールに転向したことが、それまでの経験を無駄にしたわけではないという点です。
両競技には違いがあるものの、相手の動きを読む力やラケット・パドルを使ったショットの感覚など、応用できる要素もあります。
実際、タルディオはピックルボールに転向してからも、トップ選手の技術を研究し、繰り返し練習することで新しいプレースタイルを身につけてきました。
最初は「くだらないゲーム」と感じていた競技で、世界トップクラスの選手になるとは、本人も予想していなかったかもしれません。
それでも、ピックルボールで成功したからといって、かつての夢や好きだった競技への気持ちが消えるわけではありません。
タルディオのエピソードからは、競技を変えることと、以前の競技への情熱を持ち続けることは、決して矛盾しないのだと感じられます。
まとめ|ゲイブ・タルディオの成功を支えた戦略と信頼
ゲイブ・タルディオの飛躍を支えたのは、右サイドという自分の強みを見極め、トップ選手の技術を研究しながら磨き続けた努力でした。
ベン・ジョンズとのペア結成やプレッシャーを乗り越えた経験は、プロの世界でもパートナーへの信頼が大切であることを教えてくれます。
テニスへの情熱を持ち続けながら、ピックルボールで新たなキャリアを築いたタルディオ。
今後もジョンズとの男子ダブルスで、どんな戦術やプレーを見せてくれるのか注目です。


