アメリカのピックルボール大会「ピックル・マネーボール」が勢いを増しています。
2026年10月の東海岸地区大会には550人以上が参加し、賞金総額は62万5,000ドル。
実績あるプロ選手も集結し、シリーズ最大規模の大会となりました。
注目の試合結果から大会独自の賞金制度まで、詳しく紹介します。
ピックル・マネーボールが急成長!550人以上が参加
ピックルボールの賞金大会シリーズ「ピックル・マネーボール」が、アメリカの競技者たちの間で急速に存在感を高めています。
2026年10月、フロリダ州フォートローダーデールの競技施設「ザ・フォート」で開催された東海岸地区大会には、550人以上の選手が参加しました。
大会の賞金総額は62万5,000ドル(約9,375万円)。
ピックル・マネーボールの大会シリーズとして過去最大規模となり、上位カテゴリーには実績あるプロ選手も多数出場しました。
大会の共同創設者で最高執行責任者(COO)を務めるクレイ・ディーン氏は、選手への投資が大会の成長につながっていると説明しています。
「私たちは十分な賞金を用意し、選手たちが競い合って報酬を得られる機会をつくりました。その反響は驚くほど大きなものです」
さらに、選手が挑戦する価値を感じられる環境を整えれば、自然と参加者が集まるという考えを示しました。
大会を重ねるごとに参加人数が増え、競技レベルも向上していることから、ディーン氏は今後の成長にも自信を見せています。
今回の大会は、賞金を充実させることで競技者の参加意欲を高め、イベント自体の価値も向上させる新しい大会運営の形を示したといえそうです。
高額賞金だけじゃない!選手が評価する大会運営
ピックル・マネーボールの魅力は、高額賞金だけではありません。
今回の会場となった「ザ・フォート」は、アメリカ国内でも評価の高いピックルボール専用施設の一つです。
実際に大会へ出場したアレックス・ランツ氏は、施設の充実度や試合運営のスムーズさに強い印象を受けたと振り返っています。
特に注目したいのが、審判の配置です。
ほぼすべての試合に審判が付き、試合によっては2人が担当するなど、本格的な競技環境が用意されていました。
また、決勝戦が行われるチャンピオンシップコートでは、多くの金メダル決定戦を実況解説付きでライブ配信しました。
大会期間中の木曜日と金曜日には雨が降る場面もありましたが、運営は効率的に進められたといいます。
選手からの評価も上々です。
混合ダブルスのレーティング4.49以下部門で優勝し、2,000ドル(約30万円)を獲得したロミナ・カサノバ選手は、次のように語っています。
「スタッフとのコミュニケーションも、大会の運営も本当に素晴らしかったです。
私が集中する必要があったのは、自分のプレーとパートナーとの会話だけでした」
競技者にとって、試合の進行や運営上のトラブルを心配せず、プレーに集中できる環境は重要です。
ピックル・マネーボールは、賞金と大会運営の両方を充実させることで、選手から支持を集めているようです。
※レーティング:選手の競技レベルを数値で表す指標です。
一般的に数字が大きいほど競技レベルが高いことを示します。
※混合ダブルス:男女1人ずつでペアを組み、対戦する競技種目です。
男子ダブルスは逆転決着!実力派プロが激突
男子ダブルスのレーティング5.0以上部門には、27チームがエントリーしました。
この部門には実績のあるプロ選手も多数参加し、非常に競争の激しいカテゴリーとなりました。
決勝戦に進出したのは、ライアン・フー選手とカラン・ドーソン選手のペア、そしてロバート・スラツキー選手とジェイデン・ブロデリック選手のペアです。
試合は、スラツキー/ブロデリック組が第1ゲームを11-5で先取する展開となりました。
しかし、第2ゲームではフー/ドーソン組が反撃。11-6で取り返し、勝負を最終ゲームへ持ち込みます。
勢いに乗ったフー/ドーソン組は、第3ゲームも11-6で制し、見事な逆転優勝を果たしました。
試合結果は次のとおりです。
| ゲーム | フー/ドーソン組 | スラツキー/ブロデリック組 |
| 第1ゲーム | 5 | 11 |
| 第2ゲーム | 11 | 6 |
| 第3ゲーム | 11 | 6 |
優勝したフー選手とドーソン選手には、それぞれ2,000ドル(約30万円)の賞金が贈られました。
男子ダブルス5.0以上部門には、このほかにも注目選手が参加しています。
- ジャック・マンロー
- リチャード・リボルネーゼ・ジュニア
- マックス・マントウ(愛称:パープル・ジーザス)
- タナー・トマッシ
- ライラー・デハート
こうした選手が参加していることからも、ピックル・マネーボールが本格的な競技大会として注目されていることが分かります。
高額賞金が用意されているだけでなく、レベルの高い相手と対戦できることも、実力派選手たちを引きつける理由となっているようです。
女子ダブルスも白熱!スチュワート組が優勝
男子ダブルスだけでなく、女子ダブルスでも注目の対戦が実現しました。
決勝戦で顔を合わせたのは、カテリーナ・スチュワート選手とメーガン・ファッジ選手のペア、そしてシェルビー・ベイツ選手とビビアン・グロズマン選手のペアです。
試合は、スチュワート/ファッジ組が第1ゲームを11-6で先取しました。
続く第2ゲームは接戦となり、両ペアが得点を重ねる展開に。
最終的にはスチュワート/ファッジ組が13-11で競り勝り、ストレートで優勝を決めました。
| ゲーム | スチュワート/ファッジ組 | ベイツ/グロズマン組 |
| 第1ゲーム | 11 | 6 |
| 第2ゲーム | 13 | 11 |
第2ゲームが13-11というスコアになったのは、ピックルボールで採用される2点差ルールによるものです。
通常の11点制では、先に11点を取っても相手との差が1点しかなければ試合は終わりません。
2点以上の差がつくまでゲームが続きます。
今回の第2ゲームも、最後まで勝敗が分からない展開となりました。
男女ともに実績ある選手が集まり、ハイレベルな決勝戦が行われたことは、大会の競技的な魅力を示す結果となりました。
※2点差ルール:規定の得点に達しても、相手に2点以上の差をつけなければゲームが終了しないルールです。
16位でも賞金獲得!アマチュアに広がるチャンス
ピックル・マネーボールが幅広い選手から支持される理由の一つが、賞金制度です。
今回の大会では、各部門の16位まで賞金が支払われました。
実際に男子ダブルス5.0以上部門に出場したアレックス・ランツ氏は、27チーム中16位という成績でした。
ランツ氏のDUPRレーティングは5.2。競技経験が豊富な選手ですが、今回の部門にはプロ選手も多数出場しており、厳しい戦いを強いられました。
本人も、上位チームに勝つためには非常に高いレベルのプレーが必要だったと振り返っています。
結果は16位でしたが、ランツ氏とパートナーはそれぞれ325ドル(約4万8,750円)を獲得しました。
この賞金で大会参加費をまかなうことができたといいます。
また、大会の試合方式にも特徴があります。
まず総当たり戦を行い、その後にシングルエリミネーション方式の決勝トーナメントへ進みます。
- 総当たり戦では複数の相手と対戦できる
- 決勝トーナメントは負けたら敗退する方式
- 各部門の16位まで賞金が用意されている
- レーティング3.499以下の部門と5.0以上の部門でも、同じ順位に対する賞金額が同じ
ランツ氏はネブラスカ州から遠征して参加しており、複数の強豪選手と対戦できる点にも大会の魅力を感じていました。
遠方から参加する場合、1試合だけで敗退してしまうと、移動にかけた時間や費用に対して物足りなさが残ります。
しかし、総当たり戦で一定の試合数を経験できれば、自分の実力を試す機会が増えます。
さらに、競技レベルが異なる部門でも同額の賞金が設定されているため、中級レベルの選手にも高額賞金を目指すチャンスがあります。
実力に応じたカテゴリーで戦いながら、プロ大会のような緊張感を味わえることが、ピックル・マネーボールの特徴といえます。
※DUPR(デューパー):試合結果などをもとに、ピックルボール選手の実力を数値化するレーティングシステムです。
※総当たり戦:同じグループ内で複数の相手と対戦し、成績を競う方式です。
※シングルエリミネーション:1回負けると敗退となる勝ち抜き方式のトーナメントです。
2027年は賞金100万ドル超!さらなる大会拡大へ
ピックル・マネーボールは、2027年に向けてさらに規模を拡大する予定です。
すでに翌年の大会スケジュールが多数発表されており、選手たちが賞金をかけて競い合う機会は今後も増えていく見込みです。
特に注目されているのが、2027年7月に開催予定の「ピックル・マネーボール全米選手権」です。
大会の賞金総額は100万ドル(約1億5,000万円)を超える予定となっています。
主催者は、アマチュアのピックルボール大会として史上最大規模の賞金額になるとしています。
今回の東海岸地区大会でも、550人以上の選手が参加し、プロ選手が多数出場するなど、競技大会としての注目度は高まっています。
そして、今後の成長を支えると考えられるのが、次の3つの特徴です。
- 賞金制度の充実:上位16位まで賞金を用意し、幅広い選手に獲得のチャンスを提供
- 大会運営の質:審判の配置やライブ配信など、プロ大会に近い競技環境を整備
- 参加しやすいカテゴリー構成:競技レベルに応じた部門で、実力に合った相手と対戦できる
こうした仕組みが、競技力の高い選手だけでなく、さらなるステップアップを目指す選手たちの参加にもつながっています。
2027年の全米選手権では、賞金総額の大きさだけでなく、どれだけ多くの選手が参加し、どのような試合が繰り広げられるのかにも注目が集まりそうです。
なお、この記事内の日本円は1ドル=150円で換算した参考額です。
まとめ
2026年のピックル・マネーボール東海岸地区大会は、550人以上が参加し、賞金総額62万5,000ドルを争うシリーズ史上最大規模の大会となりました。
男子ダブルスではフー/ドーソン組が逆転優勝し、女子ダブルスではスチュワート/ファッジ組が接戦を制するなど、実績ある選手たちが熱戦を繰り広げました。
各部門16位まで賞金を用意し、競技レベルにかかわらず同額の賞金を設定する制度は、アマチュア選手にとっても大きな魅力です。
2027年には賞金総額100万ドル超の全米選手権が予定されており、海外で広がるこうした大会スタイルが、日本のピックルボール界にどのような影響を与えるのかも注目したいところです。


