PPAツアーの2026-27シーズンが、ノースカロライナ州ケーリーで行われる全米選手権からスタートします。
新世界ランキングやAIによる自動判定、注目の新ペアも登場。
新シーズン最初のビッグイベントを、注目ポイントごとに詳しく紹介します。
PPAツアー新シーズンが全米選手権からスタート
PPAツアー2026-27シーズンの開幕戦となるのが、「Veolia Pickleball National Championships」です。
開催地はアメリカ・ノースカロライナ州ケーリー。
予選は月曜日に行われ、本戦は火曜日からスタートします。
今回の大会は「スラム(※通常大会より多くのランキングポイントを獲得できる重要大会)」に位置づけられており、各カテゴリーの優勝者には2,000ランキングポイントが与えられます。
大会では、
- 男子シングルス
- 女子シングルス
- 男子ダブルス
- 女子ダブルス
- ミックスダブルス
の5カテゴリーを実施します。
本戦開始後は、チャンピオンシップ・サンデーまで各カテゴリーで基本的に1日1ラウンドずつ進行します。
また、今大会では3位決定戦が行われません。
そのため準決勝を勝ち抜いた選手・ペアだけが、優勝をかけた最終決戦へ進みます。
シーズン最初の大会とはいえ、獲得できるポイントが大きいため、今後のランキング争いを考えてもかなり重要な一戦です。
AIを使った自動ライン判定が8コートで導入
今大会では、試合結果だけでなく「判定方法」にも大きな変化があります。
PPAツアーはスポーツテクノロジー企業PlayReplayと連携し、8面のコートにAIを使った自動ライン判定システムを導入します。
PlayReplayでは、ネットポストに4台のカメラを設置。
プレー中のボールや選手の動きを記録し、
- ボールがラインの内側か外側か
- フットフォルト
- キッチン違反
などを検知します。
フットフォルトとは、サーブ時などに足がルールで決められた位置を越えてしまう反則です。
またキッチンとは、ネット前にある「ノンボレーゾーン(※ノーバウンドでボールを打つことが制限されるエリア)」のこと。
ここでルールに反してボレーすると反則になります。
さらに、選手が判定に納得できない場合にはチャレンジを行い、アニメーションによるリプレーを確認できます。
PlayReplayが使われるのは、チャンピオンシップコートを除くプロコートです。
メインとなるチャンピオンシップコートでは、MLPでも使用されてきた「Owl AI」の映像レビュー方式が採用されます。
面白いのは、このシステムが審判だけのためではない点です。
カメラでは、
- フォアハンド
- バックハンド
- ボレー
- ボールスピード
- 回転数
- ショットのコース
なども記録できます。
つまり今後は、「この選手はどのコースに何%打っている」といった、よりデータ重視のピックルボール観戦が広がっていく可能性もありそうです。
新世界ランキングは3種目の総合力を評価
2026-27シーズンでは、新たに「World Pickleball Rankings」が導入されます。
このランキングの特徴は、単純にひとつの種目だけで順位を決めるのではなく、選手の総合力を評価するところです。
評価割合は、
- 男女別ダブルス:50%
- ミックスダブルス:35%
- シングルス:15%
となっています。
過去52週間に出場した大会のうち、成績の良かった14大会分をもとに総合ポイントを算出します。
たとえば、男子ダブルスだけで圧倒的な成績を残していても、ミックスダブルスやシングルスで結果が出ていなければ、総合ランキングでは他の選手に追い抜かれる可能性があります。
逆に、3種目すべてで安定した成績を残す選手は評価されやすくなります。
ランキングは単なる順位表ではありません。
大会の出場資格やシード、バイにも関係します。
バイとは、上位選手が最初のラウンドを戦わずに次のラウンドへ進める仕組みです。
試合数が少なくなるため、体力面でも大きなメリットがあります。
さらにシーズン終了後に開催される「PPA Finals」には、男子上位8人、女子上位8人が出場します。
つまりシーズンを通して「どれだけ総合的に強かったか」が、これまで以上に重要になってきます。
男子ダブルスはベン・ジョンズ組が優勝候補
男子ダブルスの第1シードは、ベン・ジョンズ/ゲイブ・タルディオです。
このペアは2026年に入って無敗。
春シーズンでも非常に高い安定感を見せており、新シーズンでも優勝候補の筆頭です。
第2シードはアンドレイ・ダエスク/クリスチャン・アルション。
2人は2025年の多くの大会でペアを組み、
- 金メダル3個
- 銀メダル6個
- 銅メダル3個
を獲得しています。
長く組んできた経験があるため、連携面では大きな強みがあります。
第3シードのヘイデン・パトリキン/フェデリコ・スタクスルードも要チェックです。
2人は以前ペアを組んだ際に世界選手権で優勝した実績があります。
一方、注目したい新コンビも登場します。
第4シードのJWジョンソン/タマ・シマブクロは、今回が初めてのペアリングです。
第5シードのウィル・ハウエルズ/CJクリンガーも新ペアですが、組み合わせはかなり厳しめ。
ベスト16で第9シードのコナー・ガーネット/ロスコー・ベラミーと対戦し、さらに勝てば準々決勝でジョンズ/タルディオと当たる可能性があります。
また第14シードには、マックス・フリーマン/パブロ・テレスという珍しい左利き同士のペアも出場します。
ダブルスは実力だけでなく、左右の立ち位置や得意ショットの相性も重要です。
新しい組み合わせがどこまで完成度を高められているかも、今大会の楽しみのひとつです。
女子・ミックスダブルスはウォーターズに注目
女子ダブルスの第1シードは、アナ・リー・ウォーターズ/アナ・ブライトです。
トップクラスの実力者同士によるペアで、優勝候補の中心になります。
第2シードのジョージャ・ジョンソン/タイラ・ブラックは、春シーズンに銀メダル3個、銅メダル2個を獲得しました。
優勝こそ逃しているものの、毎大会のように上位争いをしている安定感の高いペアです。
第3シードのパリス・トッド/レイチェル・ロアバッカーは、春に2大会だけペアを組み、金メダル1個、銀メダル1個。組んだ回数は少ないものの、かなり高い結果を残しています。
第5シードのキャサリン・パレンテオー/ソフィア・ソーイングにも注目です。
ソーイングは今回がPPAツアーデビュー。
いきなり経験豊富なパレンテオーと組むため、初大会からどこまで勝ち上がるか注目されます。
ミックスダブルスでは、ベン・ジョンズ/アナ・リー・ウォーターズが第1シードです。
ミックスダブルスとは、男性1人・女性1人でペアを組むダブルス種目のことです。
第2シードはヘイデン・パトリキン/アナ・ブライト。
春シーズンには金メダル1個、銀メダル6個を獲得しており、第1シードを追う最有力ペアと見られています。
さらに、
- JWジョンソン/ジョージャ・ジョンソン
- クリスチャン・アルション/レイチェル・ロアバッカー
- ゲイブ・タルディオ/タイラ・ブラック
- エリック・オンシンズ/ティナ・ピスニック
なども出場します。
ミックスダブルスは、男子選手のパワーと女子選手の展開力、さらにはポジショニングの相性まで楽しめるカテゴリーです。
「誰と組むか」で試合内容が大きく変わるため、ペアの組み合わせを見るだけでも面白くなっています。
シングルスは無敗記録と実力者対決が見どころ
男子シングルスの第1シードはクリス・ハワースです。
春シーズンに4度優勝しており、これは男子選手の中で最多。
現在もっとも勢いのあるシングルス選手のひとりです。
第2シードはフェデリコ・スタクスルード、第3シードはハンター・ジョンソンです。
ハンター・ジョンソンは春シーズンに2度優勝しており、2025年の長い期間で保持していたランキング1位への返り咲きを狙います。
そして気になるのが第24シードのベン・ジョンズです。
最近はシングルスへの出場数が少なくなっていますが、依然として高い実力を持っています。
ベスト64では第39シードのタイソン・マクガフィンと対戦予定。
このカードは以前なら決勝戦でも珍しくなかった組み合わせで、いきなり序盤から豪華な対決になります。
女子シングルスでは、アナ・リー・ウォーターズが第1シードです。
原文掲載時点で、なんと824日間無敗。
2年以上負けていない計算になり、現在の女子シングルスでは圧倒的な存在です。
第2シードはケイト・フェイヒー、第3シードはケイトリン・クリスチャン、第4シードはブルック・バックナーです。
クリスチャンはシード通りに勝ち上がれば、準決勝でウォーターズと対戦する組み合わせになっています。
さらに第46シードのソフィア・ソーイングも注目選手です。
PPAツアー初出場のためポイントをほとんど持っていませんが、実力的には今後トップ10シードまで上がる可能性があると見られています。
今大会は、「ウォーターズの連勝を止める選手が現れるのか」という点も、大きな見どころになりそうです。
まとめ
PPAツアー2026-27シーズンの開幕戦は、トップ選手の優勝争いだけでなく、新世界ランキングやAI判定システムなど、競技の進化にも注目したい大会です。
男子ではベン・ジョンズやクリス・ハワース、女子ではアナ・リー・ウォーターズを中心に、新ペアや新戦力がどこまで上位に食い込むかも見逃せません。
特にウォーターズのシングルス無敗記録や、2026年無敗のジョンズ/タルディオなど、分かりやすい注目ポイントもそろっています。
今シーズンの勢力図がどう動き出すのか、ピックルボールを最近知った人でも楽しみやすい大会になりそうです。


