ダブルスでは、ただ左右に並んでプレーするだけでは、チームの強みを十分に生かせないことがあります。
得意なショットや動ける範囲に合わせて担当するサイドを決めると、攻撃と守備の役割がはっきりし、ラリーを組み立てやすくなります。
左右のポジションを固定するメリット
通常のルールでは、サーブ権を持つチームが得点すると、サーバーは左右を移動します。
そのため、何も工夫しなければ、2人の立ち位置はスコアに合わせて入れ替わります。
ただし、競技志向のダブルスでは、ラリーが始まったあとに得意な位置へ移動し、同じ選手が左側または右側を担当する形がよく使われます。
たとえば、スマッシュや速いボレーが得意な選手は左側、ミスが少なく丁寧にボールを返せる選手は右側を担当します。
役割を固定すると、「中央のボールをどちらが打つのか」と迷う場面が減り、反応も速くなります。
特にキッチンライン付近では、一瞬の判断の遅れが失点につながります。
担当する範囲を決めておけば、2人が同じボールへ寄ってコートの端が空くミスも防ぎやすくなります。
※キッチンとは、ネットから約2.13メートルまでのノンボレーゾーンです。
キッチン内では、ボールを空中で直接打つボレーができません。
強い選手を左側に置く理由
2人とも右利きの場合、攻撃力の高い選手を左側に置くと、コート中央へ来たボールをフォアハンドで打ちやすくなります。
たとえば、相手がミスを避けるためにコート中央へ返球したとします。
左側の選手は右手側にボールが来るため、体の正面に入りやすく、フォアハンドボレーや強いスマッシュで攻撃できます。
一方、強い選手が右側にいる場合、中央のボールはバックハンド側に来ます。
バックハンドでも十分に打てる選手はいますが、一般的にはフォアハンドのほうが力を出しやすく、コースも狙いやすいです。
相手からすると、中央へ打てば左側の強い選手にフォアハンドで攻撃され、右側の選手を狙えばコートの外側へ角度をつけなければなりません。
つまり、どこへ打っても簡単には攻められない配置を作れるのです。
左側を担当する選手には、中央へ素早く動けるフットワークと、チャンスボールを見逃さず攻撃する積極性が求められます。
右側の選手に求められる役割
右側の選手は、攻撃をしない選手ではありません。
チームが攻撃できる状態を作るために、ラリーを安定させる重要な役割を担当します。
たとえば、相手から足元へ速いボールを打たれたとき、無理に強打するとネットミスやアウトが増えてしまいます。
右側の選手は、パドルの面を安定させて低く返し、相手が次のボールを打ちにくい状況を作ります。
特に意識したいのが、クロス方向へのディンクです。
右側の選手が相手の右側へ角度をつけて返すと、相手をコートの外側へ動かせます。
その結果、中央にスペースが生まれ、左側の選手が攻撃しやすくなります。
※ディンクとは、キッチン内へ柔らかく落とす短いショットです。
相手に強いボレーを打たせないために使います。
右側の選手は、ボールを低く保つ、無理に決めにいかない、相手の攻撃を受け止めるという3点を意識しましょう。
派手さはなくても、安定した右側の選手がいると、左側の攻撃役も思い切って前へ出られます。
ポーチで中央のスペースをカバーする
左側の選手が中央へ移動し、右側の選手に来たボールを先に打つ動きをポーチと呼びます。
※ポーチとは、パートナーが担当する方向へ飛んできたボールに対し、中央へ入って先に打つプレーです。
たとえば、相手が右側の選手を狙ってクロス方向へ返球したとします。
ボールが中央寄りに浮いた場合、左側の選手が一歩横へ移動し、フォアハンドボレーで相手の足元や空いたコースを狙います。
ポーチが成功すると、攻撃力のある選手が多くのボールに触れられます。
また、相手は「また中央へ入ってくるかもしれない」と警戒するため、返球コースが狭くなります。
ただし、無理なポーチは逆効果です。左側の選手が大きく移動したあとにボールへ触れられないと、左側の外側が大きく空いてしまいます。
右側の選手も、パートナーがポーチに入ったら少し左へ動き、空いた場所をカバーしましょう。
ポーチは1人だけのプレーではなく、2人が同時に動くチームプレーです。
スタッキングで得意な位置をキープする
スコアによってサーブやレシーブの位置が変わっても、同じ選手が得意なサイドを担当できるようにする戦術がスタッキングです。
※スタッキングとは、サーブやレシーブの立ち位置を工夫し、ラリー開始後に左右の担当位置を固定する戦術です。
たとえば、左側を担当したい選手がサーブのルール上、右側から打つ場面を考えます。
サーブを打ったあと、その選手は左側へ移動し、パートナーは右側へ移ります。こうすることで、ラリー中はいつもの配置を維持できます。
レシーブ側では、レシーブを打たない選手がコートの外側で待ち、リターン後に左右の位置へ移動する方法があります。
最初は「今はどちら側からサーブするのか」「サーブ後にどこへ動くのか」が分からなくなりやすいため、ポイント開始前に確認しましょう。
「サーブを打ったら左へ移動する」「リターン後は右側へ入る」と短い言葉で共有すると、混乱を防げます。
いきなり試合で使うのではなく、練習で移動だけを繰り返してから取り入れるのがおすすめです。
チームで役割を共有することが大切
左右の担当を決めても、話し合いが不足していると、かえって動きがバラバラになります。
試合前には、どのボールを誰が取るのかを具体的に決めておきましょう。
特に確認したいのは、コート中央へ来たボールです。
2人とも右利きで、左側の選手が攻撃役なら、「中央は基本的に左側のフォアハンドを優先する」と決めておくと迷いが減ります。
頭上を越えるロブについても、どちらが追うのかを決めておく必要があります。
左右の選手が同時に後ろを向くと、ぶつかったり、コート前方が空いたりする危険があります。
※ロブとは、相手の頭上を越えるように高く打つショットです。
試合中は「自分のボールを取られた」と考えるのではなく、「チームにとって打ちやすい選手が打った」と考えることが大切です。
ポイントの間には、「中央は任せる」「次は外側を警戒しよう」など、短い言葉で確認しましょう。
役割を押しつけるのではなく、2人が納得したうえで戦術を選ぶことが、連携を高める近道です。
まとめ
ダブルスでは、攻撃力の高い選手を左側、安定した選手を右側に置くことで、それぞれの得意なプレーを生かしやすくなります。
左側の選手は中央へ積極的に入り、右側の選手は低く安定した返球で攻撃のチャンスを作ります。
ポーチやスタッキングは少し複雑ですが、動き方を事前に決めて練習すれば、チームの大きな武器になります。
まずは中央のボールを誰が取るか話し合うところから、2人に合ったポジション戦略を試してみましょう。


