暑い日の大会や長時間の練習では、ただ水を飲むだけでなく、汗で失われる電解質や試合中のエネルギーをどう補うかが重要です。
ピックルボール選手向けに開発されたSLAMITの成分や特徴、実際の補給方法を詳しく紹介します。
SLAMITが開発されたきっかけ
SLAMITは、競技としてピックルボールに取り組んでいたマディ・ウルフが、大会中にプレーの質を安定させられなかった経験から開発されました。
ピックルボールの大会では、短い試合を1回行って終わりとは限りません。
朝から夕方まで複数の試合を戦い、次の対戦まで数十分しか休めないこともあります。
最初の試合では足がよく動き、ボールにも素早く反応できていたのに、午後になると簡単な返球をネットへかけたり、判断が遅れたりすることがあります。
こうした変化は、技術だけでなく、水分不足やエネルギー不足が関係している可能性があります。
特に暑い日の屋外コートでは、汗と一緒にナトリウムやカリウムなどのミネラルが失われます。
水だけを大量に飲んでも、失われた成分までは十分に補えない場合があります。
ウルフは運動科学を学び、大学スポーツの経験も持っていました。
そのため、練習量を増やすだけではなく、次のような準備が必要だと考えました。
- 試合前から水分を補う
- 汗で失われる電解質を補給する
- 長時間の大会でも集中を保つ
- 試合間の回復を早める
- 甘さや刺激に頼りすぎない
※電解質:水に溶けると電気を通す性質を持つミネラルです。
ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどがあり、筋肉や神経の働き、水分バランスに関係します。
そこで、管理栄養士でサプリメント分野に詳しいショーン・ウェルズと協力し、水分補給を目的としたHYDRATEと、集中力を意識したFOCUSが開発されました。
電解質飲料HYDRATEの成分と役割
HYDRATEは、試合や練習で汗をかいたときに、水分と電解質を補うことを目的とした飲料です。
原文では、1回分あたり合計2,278ミリグラムの電解質を含み、6種類の電解質が配合されていると説明されています。
主な成分は次のとおりです。
- 電解質2,278ミリグラム
- マグネシウム85ミリグラム
- カリウム460ミリグラム
- タウリン1,000ミリグラム
- ココナッツウォーター
- HydroPrime
- カフェイン不使用
- 砂糖不使用
- 1回分5キロカロリー
- 人工着色料、人工香料、人工甘味料不使用
マグネシウムは、筋肉の収縮や神経の働きに関係するミネラルです。
汗を多くかいたあとに不足すると、体が重く感じたり、筋肉をスムーズに動かしにくくなったりする場合があります。
カリウムも、筋肉や神経の働き、水分バランスに関わります。
バナナや果物にも多く含まれていますが、試合中に毎回食事から補うのは難しいため、飲料として取れる点は手軽です。
タウリンは、筋肉の働きや持久力、集中力を意識したスポーツ向け製品に使われることがあります。
ただし、飲んだからすぐに疲れが消えるという成分ではありません。
ココナッツウォーターは、自然にカリウムを含む飲料として知られています。
HYDRATEでは、ミネラルを補う成分の一つとして配合されています。
また、HydroPrimeと呼ばれるグリセロール由来成分も使われています。
※グリセロール:体内で水分を保持しやすくする性質を持つ成分です。
運動時の水分維持を目的とした製品に使われることがあります。
メーカー側は、HydroPrimeによって水分補給効率が高まり、暑い環境での体温上昇対策を支えると説明しています。
ただし、飲料を取れば熱中症を完全に防げるわけではありません。
炎天下では、次の対策も必要です。
- 日陰で休憩する
- 帽子や冷却タオルを使う
- コート外で体を冷やす
- 無理に連続して試合へ出ない
- 頭痛や吐き気が出たら競技を中断する
HYDRATEは暑さ対策の代わりではなく、総合的な体調管理の一部として使う飲料と考えるのが自然です。
エネルギー飲料FOCUSの成分と特徴
FOCUSは、HYDRATEと同じように水分や電解質を補いながら、試合中の集中力や判断力を支えることを目的とした飲料です。
一般的なエネルギー飲料では、カフェインや糖分によって一時的な覚醒感を高める商品が多くあります。
一方、FOCUSはカフェインと砂糖を使わず、別の成分を組み合わせています。
主な成分は次のとおりです。
- 電解質2,278ミリグラム
- マグネシウム85ミリグラム
- カリウム460ミリグラム
- タウリン1,000ミリグラム
- ココナッツウォーター
- パラキサンチン
- Alpha-GPC
- チロシン由来成分
- カフェイン不使用
- 砂糖不使用
- 1回分5キロカロリー
※パラキサンチン:カフェインが体内で分解される際に生じる代謝物の一つです。
集中力や覚醒感に関する研究が行われています。
※Alpha-GPC:神経伝達物質であるアセチルコリンの材料に関わる成分です。
集中力や筋肉の出力を意識した製品に配合されることがあります。
※チロシン:神経伝達物質の材料となるアミノ酸の一種です。
精神的な負荷がかかる場面での集中を意識した製品に利用されます。
ピックルボールの試合中は、ただ元気であればよいわけではありません。
相手のフォームを見てコースを予測し、打つか見送るかを一瞬で決める必要があります。
そのため、テンションが上がりすぎて無理に攻撃するよりも、落ち着いた状態で判断を続けられることが重要です。
メーカー側はFOCUSについて、次の変化が確認されたと説明しています。
- 集中力が29%向上
- 反応速度が26%向上
- 落ち着いたエネルギー感が25%向上
- パワーが14%向上
ただし、原文には試験人数、年齢、競技レベル、比較対象などの詳しい条件が示されていません。
そのため、この数値だけで効果を断定することはできません。
実際の体感は、次の条件によっても変わります。
- 前日の睡眠時間
- 当日の食事量
- 気温や湿度
- 試合数
- 発汗量
- 日頃のカフェイン摂取量
- 体格や体質
FOCUSは、睡眠不足や食事不足を帳消しにする飲料ではなく、基本的な準備をしたうえで使う補助的な選択肢です。
ピックルボールで集中力と反応速度が落ちる理由
ピックルボールでは、試合の後半や大会の午後になると、足の動きだけでなく判断力も落ちやすくなります。
たとえば、午前中なら余裕を持って返せたボールを見送ってしまったり、アウトになるボールへ手を出したりすることがあります。
これは技術が急に下手になったのではなく、疲労によって情報処理が遅れている可能性があります。
特にネット前では、ボールが短い距離を高速で行き来します。
相手がパドルを振ってから、自分の体の近くへボールが到達するまでの時間はごくわずかです。
その短い時間で、次のことを判断しなければなりません。
- フォアで取るかバックで取るか
- 強く返すか柔らかく落とすか
- 自分が取るかパートナーに任せるか
- ボールがインかアウトか
- 次にどの位置へ移動するか
疲れてくると、こうした判断が少しずつ遅れます。
その結果、2人の間へ来たボールを譲り合ったり、逆に2人とも手を出したりする場面が増えます。
また、水分不足が進むと、次のような変化が出る場合があります。
- 集中が続かない
- 頭がぼんやりする
- 足が重く感じる
- ミスのあとに切り替えにくい
- 声かけが減る
- 判断が雑になる
ピックルボールでは、体力が落ちるだけでなく、パートナーとのコミュニケーションまで減ることがあります。
ダブルスでは、この小さな変化が連続失点につながります。
特に注意したいのが、ノンボレーゾーン付近でのラリーです。
※ノンボレーゾーン:ネットから約2.13メートルの範囲に設けられた、ボレーに制限があるエリアです。
一般的に「キッチン」と呼ばれます。
キッチンラインでは、相手の速いボールだけでなく、柔らかいディンクにも対応します。
※ディンク:ノンボレーゾーン内へ柔らかく落とすショットです。
相手に強く攻撃させない目的で使います。
集中力が落ちると、柔らかく返すべきボールを強く打ちすぎたり、相手が攻撃できる高さへ浮かせたりします。
補給は、筋肉だけでなく、こうした細かな判断を維持するためにも重要です。
カフェインを使わない設計と注意点
試合中の集中力を保つために、コーヒーやエネルギー飲料を飲む選手もいます。
カフェインは眠気を抑えたり、運動時の集中を支えたりする可能性があります。
一方で、カフェインへの反応には個人差があります。
普段あまり飲まない人が大会当日に多く取ると、体調を崩すこともあります。
カフェインを取りすぎた場合に起こり得る変化は次のとおりです。
- 心拍数が上がる
- 手が震える
- 胃が気持ち悪くなる
- トイレが近くなる
- 緊張感が強くなる
- 夜に眠れなくなる
- ショットへ力が入りすぎる
ピックルボールでは、力みがショットの精度を下げることがあります。
特にディンクやドロップショットでは、腕に力が入るとボールが浮いたり、ネットへかかったりします。
※ドロップショット:後方から相手のノンボレーゾーンへ柔らかく落とし、ネット前へ進むために使うショットです。
FOCUSでは、カフェインの代わりにパラキサンチンを採用しています。
メーカー側は、急激な刺激やその後の強い疲労感を避けながら、集中を支えることを目指したと説明しています。
ただし、カフェインを使っていないからといって、誰でも自由に大量摂取してよいわけではありません。
パラキサンチンやAlpha-GPCなどを初めて取る場合は、練習日に少量から試すことが大切です。
また、原文にはカフェインが体を脱水させるとの説明がありますが、適量のカフェイン入り飲料を飲んだからといって、必ず脱水するわけではありません。
普段からカフェインを取っている人では、利尿作用への慣れもあります。
ただし、暑い日の運動でコーヒーやエネルギー飲料だけを飲み続けるのはおすすめできません。
意識したいのは、次のバランスです。
- 水分
- 電解質
- 糖質
- 食事
- 休憩
- 体温管理
飲料の種類だけに注目するのではなく、全体の補給計画を考える必要があります。
試合前・試合中・試合後の補給方法
電解質飲料やエネルギー飲料を使う場合は、飲むタイミングも重要です。
試合直前に一気に飲むと、胃が重くなったり、試合中にトイレへ行きたくなったりする場合があります。
少量ずつ分けて取る方が使いやすいでしょう。
試合前の補給
試合当日は、コートに入ってから水分補給を始めるのではなく、朝から少しずつ飲むことが大切です。
試合開始の2〜3時間前には、食事と一緒に水分を取ります。
汗をかきやすい人や暑い環境でプレーする場合は、電解質を含む飲料を取り入れる方法もあります。
試合前におすすめされる準備は次のとおりです。
- 起床後に水分を取る
- 朝食を抜かない
- 消化しやすい糖質を取る
- 試合直前の食べすぎを避ける
- 新しい飲料やサプリメントを試さない
朝食では、おにぎり、パン、バナナ、ヨーグルトなど、普段から食べ慣れているものが使いやすいでしょう。
試合中の補給
試合中は、喉が渇いてから大量に飲むのではなく、コートチェンジやタイムアウトのタイミングで少しずつ飲みます。
1回の試合が短くても、大会全体では長時間になるため、目の前の試合だけでなく、その後も考えて補給することが大切です。
汗を多くかく日は、次のようなサインを見逃さないようにします。
- ウェアに白い汗の跡が残る
- 足がつりそうになる
- 頭痛がする
- 急に動きが鈍くなる
- 吐き気がする
- 集中できなくなる
症状が強い場合は、飲料を取って試合を続けるのではなく、競技を中断して休む必要があります。
試合間の補給
複数試合を戦う大会では、試合間の時間をどう使うかが重要です。
次の試合まで30分以上ある場合は、水分と一緒に軽い糖質を取る方法があります。
使いやすい軽食は次のとおりです。
- バナナ
- 小さなおにぎり
- エネルギーゼリー
- カステラ
- 塩分を含むクラッカー
- 食べ慣れたスポーツバー
脂質が多い食事や大量の食事は、消化に時間がかかり、次の試合で胃が重くなる可能性があります。
試合後の補給
試合後は、水分と電解質だけでなく、糖質とたんぱく質も意識します。
糖質は運動で消費したエネルギーの回復に使われ、たんぱく質は筋肉の修復を支えます。
試合後の例としては、次のような組み合わせがあります。
- おにぎりとヨーグルト
- バナナと牛乳
- サンドイッチとスポーツ飲料
- パンとプロテイン飲料
- 普通の食事と十分な水分
SLAMITのような電解質飲料は補給手段の一つですが、食事の代わりにはなりません。
また、初めて使用する飲料は、本番の大会ではなく通常の練習で試しましょう。
味が合わなかったり、胃に違和感が出たりすることもあるためです。
持病がある人、薬を服用している人、腎臓や心臓に関する制限がある人は、電解質や特定成分を含む飲料を使用する前に、医師や管理栄養士へ相談する必要があります。
まとめ
SLAMITは、ピックルボールの長時間の試合を想定し、水分、電解質、集中力の維持を意識して作られた飲料です。
HYDRATEは主に汗で失われる電解質の補給、FOCUSは水分補給に加えて集中力や反応速度を支える設計とされています。
ただし、飲料だけでパフォーマンスが決まるわけではなく、食事、睡眠、休憩、暑さ対策まで含めた準備が欠かせません。
自分に合う補給方法を練習中に確認し、大会当日は無理なく続けられる形で取り入れることが大切です。


