アメリカ・ケンタッキー州ルイビルで、ピックルボール&テニスの巨大施設の建設計画が進行中。
でも、その真っ只中で地元住民や自然保護団体が反旗を翻しました。
「自然が壊れる」「誰のための開発なの?」と、不安と怒りの声が渦巻いています。
自然を守りたい人たちと、スポーツ施設を推進したい開発側――その間で揺れるコミュニティのリアルを追いました。
どんな施設が建つ予定?
建設予定地は、街中にある緑あふれる「ジョー・クリーソン公園」。
ここに、総面積25エーカー(約10万㎡)という超ビッグなスポーツ複合施設が登場する予定です。
計画では、テニスコート36面、ピックルボールコート18面を設置し、さらにクラブハウスや観客席、カフェなども整備されるとのこと。
施設の開発には約65百万ドル(日本円で約100億円)という大きな資金が投じられ、地元の雇用や観光資源としても期待されています。
一見すると「地域活性化」っぽいですが、そこに落とし穴もあるようです。
なぜ住民が反対してるの?
まず多くの人が不安に思っているのが、“自由に使える公園”が限定された人のための有料施設になることです。
地元グループ「セーブ・ジョー・クリーソン・パーク」の中心メンバー、リー・コリーさんはこう語ります。
「これは近所だけの話じゃない。みんなの自然を、特定の人の利益のために壊してしまっていいの?」
特に問題視されているのが、入場や利用が制限されることで、これまで無料でのびのび使えていた公共空間が“排他的な空間”に変わる可能性です。
自然センターも黙ってない!
公園に隣接するルイビル自然センターも、この計画に強く反対しています。
自然センターのスタッフは「施設建設によって、周辺の野生動物の生息環境が壊される危険性がある」と話しており、特に近くにある小さな水源地(※流域)への影響が懸念されています。
また、工事にともなう騒音や交通量の増加も問題視されており、「一度壊した自然は、簡単には戻らない」という危機感が地域全体に広がっている状況です。
開発側の言い分は?
もちろん、施設を推し進めている開発企業「ケンタッキー・テニス&ピックルボール・センター」も、批判に対して反論しています。
開発担当のウィル・デイビスさんは、住民の懸念にこう答えています。
「交通渋滞を避けるための調査は済んでいますし、建物の屋根には太陽光パネルを設置して、エネルギーは実質ゼロ(※再生可能エネルギー)になる予定です」
さらに、「施設を建てると同時に、新しい樹木も植えることで緑地の総量は逆に増える」という方針も打ち出しており、持続可能な開発をアピールしています。
反対派の主張に共感が集まる理由
ネット上でも「それ、ほんとに地域のため?」という声が多く聞かれています。
特に共感を集めているのは、「みんなの公園が、一部の人の利益のために変えられるのは納得できない」という点です。
「自分たちの住む場所が、知らないうちに“商業施設”になってたらショックだよね」というコメントも。
これはルイビルだけの問題じゃなく、世界中の都市で起きている「公共 vs 利益」の縮図。
だからこそ、他地域の人からも注目が集まっているのです。
これからどうなる?
今後は、5月6日と10日に開催予定の住民説明会で話し合いが行われます。
住民側が納得できる形に落としどころを見つけられるか、あるいは計画が見直されるのか…。
現時点では結果は見通せませんが、開発と環境保護がどう折り合いをつけるのか、その“プロセス”自体が注目ポイントになりそうです。
まとめ
ピックルボールが世界中で注目を集める中、それを支える施設開発が進むのは自然な流れ。
でも、それが誰のためのものなのか、もう一度考える必要がありそうです。
自然を守りながら、みんなが楽しめる場所をどう作るか。
スポーツと環境の両立――その難しさを考えさせられるニュースでした。