2026 APP Dillons Overland Park Openでは、初優勝、5大会連続優勝、決勝無敗、歴代最多タイなど注目記録が続々と誕生しました。
今回は大会を彩った「数字」に注目し、それぞれ何がすごかったのかを試合内容とあわせて振り返ります。
デュソーがAPP Tour初の金・銀メダル
トリスタン・デュソーにとって、Overland Park大会はキャリアの流れを大きく変える大会になりました。
男子プロシングルスではAPP Tourで初めて決勝へ進出。決勝ではアマー・ワジールに5-11、7-11で敗れましたが、初の銀メダルを獲得しました。
さらに大きな結果を残したのが、アリソン・ハリスと組んだ混合プロダブルスです。
第21シードから決勝まで勝ち上がり、第2シードのエミリア・シュミット/ジャック・マンロー組と対戦しました。
第1ゲームは3-11で落とし、第2ゲームも1-5とリードされる苦しい展開。
それでもそこから10ポイントを連続で奪い、11-5で逆転しました。
最終第3ゲームでも3-8、さらに7-10まで追い込まれましたが、複数回のマッチポイントをしのぎます。最後は5ポイントを連取して12-10で逆転勝利しました。
これがデュソーにとってAPP Tour初の金メダルです。
同じ大会で初の決勝進出、初の銀メダル、初の金メダルを一気に経験したことで、デュソーにとってOverland Parkは大きな転機となる大会になりました。
50歳以上部門では2選手がダブルゴールド
50歳以上のプロ選手が戦うChampions部門では、カリン・プタシェク=コチスとユセフ・ブジディが、それぞれ2個の金メダルを獲得しました。
ブジディはChampions男子プロシングルスで優勝。
さらにリー・ウィットウェルと組んだ混合ダブルスでも金メダルを獲得し、1大会2冠を達成しました。
一方のプタシェク=コチスは、Champions女子プロシングルスで優勝。
さらにエウヘニア・カロリーナ・ロペス・アスカラーテとの女子プロダブルスでも頂点に立ちました。
ダブルゴールド(※同じ大会で2つのカテゴリーを制覇すること)は、単に1種目で好調だっただけでは達成できません。
シングルスでは自分一人でコート全体をカバーする力が求められ、ダブルスではパートナーとの連携やポジショニングが重要になります。
違う試合形式の中で結果を残した2人は、ショットの技術だけでなく、状況に合わせてプレースタイルを変えられる総合力を見せたといえます。
3選手が初めてAPP Tour決勝へ進出
今大会では、トリスタン・デュソー、グラウカ・カルバハル=レーン、アンバー・ポリケアの3選手が、初めてAPP Tourの決勝へ進出しました。
デュソーは男子シングルスと混合ダブルスの2カテゴリーで決勝へ進出。
男子シングルスでは銀メダル、混合ダブルスでは金メダルを獲得し、一気に2個のメダルを手にしています。
カルバハル=レーンとポリケアは女子プロダブルスでペアを組みました。
決勝までの途中では第3シード、第2シードのペアを次々と撃破。
上位シードを倒しながら初のファイナルへ進むという、印象的な勝ち上がりを見せました。
決勝では第1シードのミーガン・ファッジ/カテリーナ・スチュワート組に2-11、0-11で敗れましたが、銀メダルを獲得しています。
トップ選手がタイトルを積み重ねる一方で、初めて決勝の舞台に立つ選手が複数登場したことも今大会のポイントです。
APP Tourの上位争いに新しい名前が加わり始めていることが、結果からも見えてきます。
スチュワートと男子ダブルス勢が連勝記録
カテリーナ・スチュワートは女子プロシングルスで、2026年シーズン4個目となる金メダルを獲得しました。
決勝の相手は第2シードのドメニカ・トゥルコビッチです。
第1ゲームはスチュワートが11-8で先取し、第2ゲームでも6-1までリードしました。
ところが、ここからトゥルコビッチが8ポイントを連続で獲得。
9-6と逆転すると、そのまま11-8でゲームを取り返しました。
流れを完全に持っていかれたように見えましたが、スチュワートは最終第3ゲームで立て直します。
11-5で勝利し、今季4個目の女子シングルスタイトルを獲得しました。
さらに数週間前のDetroit大会に続く2大会連続優勝となっています。
男子プロダブルスでは、ジャック・マンロー/リチャード・リヴォルネーゼ・ジュニア組がさらに長い連勝を続けています。
決勝ではカラン・ドーソン/エティエンヌ・ブラスケウィッツ組と対戦。
第1ゲームを11-9、第2ゲームを11-2で制しました。
これで2人は5大会連続優勝です。
毎大会、対戦相手から研究されるなかで勝ち続けている点を考えると、単なる勢いではなく、2人のプレーの再現性と安定感が大きな強みになっています。
ワジールは金メダル決定戦6戦6勝
男子プロシングルスでは、アマー・ワジールがトリスタン・デュソーを11-5、11-7で破り優勝しました。
この勝利でワジールは2026年シーズン3個目となる男子シングルスの金メダルを獲得しています。
そして、それ以上に注目したい数字が「6」です。
ワジールはAPP Tourでこれまで6回、金メダル決定戦まで進出しています。
その結果は6戦6勝。
つまり決勝へ進んだ大会では、一度も優勝を逃していません。
トーナメントでは決勝に近づくほど対戦相手も強くなります。
さらに会場の注目度やプレッシャーも高まるため、普段通りのプレーを出すだけでも簡単ではありません。
その状況で毎回勝ち切っているのがワジールです。
本人も、観客が多く会場のエネルギーが高まるチャンピオンシップコートでは、アドレナリンが出てプレーを楽しめると語っています。
プレッシャーをマイナスにせず、むしろパフォーマンスを高める材料にしているところが、決勝6戦6勝という数字につながっているのかもしれません。
ファッジが女子歴代最多タイの33個目
ミーガン・ファッジは女子プロダブルスでカテリーナ・スチュワートと初めてペアを組み、そのまま優勝しました。
決勝ではグラウカ・カルバハル=レーン/アンバー・ポリケア組と対戦。
相手は上位シードを次々と破って勝ち上がってきた勢いのあるペアでしたが、ファッジ/スチュワート組が第1ゲームを11-2で先取しました。
続く第2ゲームでは、相手に1ポイントも与えず11-0。圧倒的な内容で金メダルを獲得しました。
そして、この優勝がファッジにとってAPP Tour通算33個目の金メダルです。
これにより、シモーネ・ジャルディムが持つAPP Tour女子選手の歴代最多金メダル記録に並びました。
33個という数字は、一度や二度の好成績では到達できません。
複数の大会、複数のシーズンにわたって勝ち続けてきた結果です。
ファッジ自身も優勝後、今回のパートナーだけでなく、過去4年間に一緒にプレーしてきたパートナーへの感謝を語っています。
今回のOverland Park大会でついに歴代トップへ並んだことで、次に金メダルを獲得すれば単独で新記録となる可能性があります。
今後のファッジの戦いでは、優勝争いと同時に「34個目」が大きな注目ポイントになりそうです。
まとめ
2026 APP Dillons Overland Park Openでは、デュソーの初金メダル、マンロー/リヴォルネーゼ組の5大会連続優勝、ワジールの決勝6戦6勝など、さまざまな数字が大会を彩りました。
さらに、ファッジは通算33個目の金メダルで女子歴代最多記録に並び、スチュワートも今季4個目のシングルスタイトルを獲得しています。
一方で、初めてAPP Tour決勝へ進んだ選手も複数登場し、新しい勢力の台頭も見えました。
記録を更新し続けるトップ選手と、そこへ追いつこうとする新世代。
その両方が同時に見られたことが、Overland Park大会の大きな魅力です。


