ピックルボールでも熱中症に!?基礎知識と対策で安全に楽しむ方法

コラム

初めまして、スポーツ内科医の岡田です。
これからピックルボールに役立つスポーツ医学の情報を定期的に発信していくことになりましたので、是非読んでいただければと思います。

5月に入り暖かい日が増えてきましたね。日によってはまるで夏のような暑さの日もあります。そしてこのくらいの季節になるとスポーツをする上で気をつけないといけないのが「熱中症」です。


え?まだ熱中症の季節ではないのでは??


と思う人も多いと思いますが、急に気温が上がるこの時期は、まだ体が暑さに慣れていないため熱中症の危険が高まるので要注意なのです。


ちなみに消防庁が発表している「2023年の熱中症による救急搬送の件数」によると、5月8日~5月14日は317人ですが、5月15日~5月21日では1,779人と約5倍に増えています。
そこで、今回は本格的に暑くなる前に必ず知っておきたい「熱中症」に関する基本知識を書きたいと思います。

そもそも熱中症とは?

皆様は「熱中症」についてどんなイメージを持っていますか?
「熱中症って脱水のきついやつですよね?」
「熱中症を予防するためにしっかり水分補給しています!」
大体こんなイメージではないでしょうか?


まずは「熱中症」を正しく理解することが大切です。
「熱中症」の定義ですが、
「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」
とされますが、すごくわかりにくいですよね。


簡単に説明すると、「暑い」と感じる環境で体調が悪くなった場合では、他に明らかな原因がない限りは「熱中症」と考えてよいと思います。


暑い環境でスポーツをすると、筋肉の収縮が繰り返されることにより熱が産生され、深部体温(体内の温度)が上がります。


体温が上昇すると、今度は体温を下げるためにどんどん汗をかくことになるわけですが、暑い環境では「熱産生」と「熱放散」のバランスが崩れて、深部体温が上昇し、熱中症になってしまいます。
つまり「熱中症」の根本的な原因は「体温上昇」であることは是非知っておいてください。
どのくらいまで深部体温が上昇すると熱中症になるかどうかはかなり個人差があるとされています。


深部体温は通常は37℃くらいであり、トレーニングしている人であれば深部体温が40℃近くになっても運動を継続できますが、あまり運動していない人では深部体温が38~39℃で運動継続困難となるとされます。
暑い中で運動をしている場合、体調不良を感じた時点で初期の熱中症と考えるべきでしょう。
では、どのような症状が出現したら熱中症を疑うべきなのでしょうか?

熱中症の初期症状は?

熱中症の症状は、「倦怠感」「大量の発汗」「立ちくらみ」「口渇感」「嘔気・嘔吐」「筋肉痛」「こむら返り」「痙攣」「頭痛」「意識障害」などたくさんありますが、どの症状が最初に出現するかは個人差があるため一概には言えません。


これらの中でも「倦怠感」や「大量の発汗」などは熱中症の症状だと思わない方も多いかと思います。
熱中症は重症度により「軽症」「中等症」「重症」に分類され、重症になると若くて健康な人であったとしても命に関わる場合があります。

ですので、軽症の段階で熱中症であることを認識し、運動を中断、休憩することでそれ以上悪化させないことが重要です。


繰り返しますが、熱中症は「深部体温の上昇」が原因で起こります。ですので、夏でなくとも急に気温が上がった時に、激しい運動していれば誰でも熱中症になる危険があります。
「真夏じゃないから熱中症にはならないだろう」と油断していると痛い目に合うこともあるため、正しい知識をつけてこれからの時期に備えてください。

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