2025年4月、ピックルボール界に激震が走りました。
人気ブランド「JOOLA(ヨーラ)」と、全米ピックルボール協会(USA Pickleball:USAP)が法廷で真っ向から対立。
問題の核心は、認可を巡って市場から除外された「Gen3パドル」。
今回はその詳細な背景、訴訟内容、今後の展望まで一気にまとめました。
パドル認可で何が起きた?
2024年5月17日、USAPが突如、JOOLAの「Gen3」パドルを認可リストから削除。
これは公式戦での使用ができなくなることを意味し、プロ選手から一般プレイヤーまで混乱が広がりました。
この認可取り消しには理由が明かされず、パドルを使用していた選手は困惑。
中でもPPAツアーでは、Gen3パドルがCIBCテキサスオープンで使用禁止に。
これによりJOOLAは、予定していた販売戦略の大幅な見直しを迫られることになります。
JOOLAの主張と2億ドルの訴訟
2024年6月12日、JOOLAはUSAPを相手に訴訟を起こしました。
主張の中心は「USAPが独自のルールに違反した」というもの。
- 認可取り消しには180日間の猶予期間が必要
→ これを無視して即座に削除したのはルール違反 - その結果、販売機会を失い、金銭的損害を被った
JOOLAはこれに対して、損害賠償1億ドル+懲罰的損害賠償1億ドル=計2億ドルを請求。
「手続きミスをしたのはUSAP側だ」として、自社の正当性を強く主張しました。
USAPの反訴が意味するもの
そして2025年4月18日、USAPはついに反訴に踏み切りました。
訴状(全23ページ)でUSAPが示したのは、「JOOLAによる重大な詐欺行為」の証拠です。
主な内容は以下の通り:
- JOOLAがUSAPに提出したパドルは試作品で、市販されたものと構造が異なる
- 実際に販売されたパドルは、「フォーム素材」を2〜3倍に増量していた
- その結果、「カタパルト効果(打球が強く弾む現象)」が発生し、性能が大幅に変わっていた
USAPはこれを、「試作品と全く異なる商品をUSAP認定として販売した詐欺行為」と位置付けています。
“試作品”と“市販品”の違いがヤバすぎた
反訴資料には、実際の断面写真も掲載されています。
・上がJOOLAが認可申請に提出したプロトタイプ
・下が市販されたパドル
その写真では、市販品の方がフォーム材の量が明らかに多いことが確認でき、
「打球が跳ねすぎて競技バランスを崩す」ほどの違いがあると指摘されています。
USAPは「これは明確なbait-and-switch(すり替え商法)」と非難。
つまり「一つの製品で認可を取り、その後、別物を販売した」ということです。
USAPが訴訟で求めている具体的な内容
USAPは裁判で、以下の項目を正式に求めています:
- 損害賠償(compensatory damages)+トリプルダメージ(3倍請求)
- JOOLAの利益返還(disgorgement of profits)+3倍請求
- 詐欺行為への懲罰的損害賠償
- 「USAP認定」表示の誤表記に関する法的認定
- 裁判前後の利息+全ての弁護士費用と裁判費用
ここまで来ると、単なる認可トラブルではなく、業界全体の信頼問題に発展しています。
ピックルボール業界への影響と今後の動き
今回の騒動で、他のパドルブランドも規制を強化される可能性が出てきました。
また、選手が使用するパドルの選定も、今後はより慎重にならざるを得ません。
もしJOOLA側が敗訴すれば、ブランドイメージの失墜は避けられず、
逆にUSAPが敗れれば、「認可制度自体の信用性」が揺らぎかねません。
今後は裁判所の判断に委ねられますが、双方の主張に歩み寄りがなければ、陪審裁判に突入する可能性が高いと見られています。
業界注目の裁判は、まだまだ続きそうです。
まとめ
この訴訟は、単なるメーカー同士の争いではなく、ピックルボール競技の公正さと未来に関わる重大な問題です。
「どこまでが認可?」「どこからが改造?」という線引きが今、問われています。
競技の健全な発展のためにも、正しい形で真実が明らかになることを期待したいですね。