MLP 2026の開幕週は、いきなり「今年は読めないぞ」と感じさせる大会になりました。
Los Angeles Mad Dropsの無敗優勝、Ben Johnsの復活ムード、新ポイント制度の効果など、今季のMLPを追ううえで重要なポイントが一気に見えてきました。
MLP 2026開幕週は波乱のスタート
2026年のMajor League Pickleball、通称MLPは、ダラス大会からシーズンが始まりました。
開幕週には11チームが参加し、合計29試合が行われました。
いきなりこれだけ多くの試合が組まれたことで、各チームの実力や相性、シーズン序盤の仕上がりがかなり見えた大会になりました。
今大会をひと言で表すなら「拮抗」です。
2025年シーズンは、有力チームが順当に勝つ試合が多く、ある程度結果を予想しやすい流れがありました。
しかし2026年の開幕週は、その空気がかなり変わりました。
強豪が苦戦する試合もあり、下馬評では上位ではなかったチームが存在感を見せる場面もありました。
MLPは個人戦ではなく、チームで勝敗を競うリーグです。男子ダブルス、女子ダブルス、ミックスダブルスを組み合わせながら戦うため、1人のスター選手がいるだけでは勝ち切れません。
誰と誰をペアにするのか、相手に合わせてどの組み合わせをぶつけるのか、接戦で誰が流れを変えるのか。こうした細かい判断が勝敗を大きく左右します。
ダラス大会では、まさにそのチーム戦ならではの面白さが出ました。
試合ごとの流れが激しく変わり、最後まで勝敗が読めない展開も多かったです。
ピックルボールはテンポの速いラリーが魅力の競技ですが、MLPではそこにチームの戦略やベンチの熱量も加わります。
開幕戦から、今シーズンのMLPがかなり面白くなりそうな予感を残しました。
※MLP:Major League Pickleballの略称です。
プロ選手たちがチーム単位で戦うリーグです。
※ミックスダブルス:男女1人ずつでペアを組んで戦うダブルスの試合形式です。
上位争いは5から7チームの混戦へ
MLP Dallasを見てまず感じたのは、今年の上位争いはかなり混戦になりそうだということです。
Los Angeles、Columbus、St. Louis、New Jersey、Dallas、Orlandoは、それぞれの試合でしっかり強さを見せました。
どこか1チームだけが抜けているというより、複数のチームが同じくらいのレベルで競り合うシーズンになりそうです。
特にLos Angeles、Columbus、St. Louis、New Jerseyの4チームは、現時点でどの相手にも勝てる力を持っているように見えます。
Los Angelesは無敗で大会を制し、Columbusは主力のParris Toddを欠きながらもグループ首位を獲得しました。
St. Louisは安定した実力を見せ、New Jerseyも結果こそ少し物足りないものの、ロスターの強さを考えればまだまだタイトル候補です。
さらに、DallasとOrlandoも侮れません。
Dallasはオフシーズンに主力を失った影響が心配されていましたが、地元大会でしっかり戦いました。
Orlandoは獲得ポイントこそ少なかったものの、Dreambreakerまでもつれた試合が多く、内容面ではかなり評価できます。
勝敗表だけでは見えにくいチームの強さがあったと言えます。
Utah Black Diamondsも、1勝5敗という成績だけを見ると厳しく見えます。
ただし男子ダブルスでは、Connor GarnettとTama Shimabukuroのペアがかなり良い内容を見せました。
Ben JohnsとMax Freemanのペア、Hayden PatriquinとGabe Tardioのペアにも勝っており、チーム全体の勝敗以上に男子ペアの可能性は大きいです。
今後は、上位数チームによる優勝争いに加えて、10チーム前後がプレーオフのシード争いに絡んでくる展開も考えられます。つまり、毎大会の順位がかなり重要になります。少しの連敗で順位を落とす可能性もあれば、勢いに乗ったチームが一気に上位へ食い込む可能性もあります。今年のMLPは、シーズン終盤までかなり目が離せない流れになりそうです。
※Dreambreaker:MLP特有のタイブレーク方式です。チーム戦が同点になった場合、選手が交代しながらシングルス形式でポイントを取り合います。
※シード争い:プレーオフで有利な組み合わせに入るための順位争いです。
新ポイント制度で1試合の重みがアップ
2026年のMLPで大きく変わった点のひとつが、順位ポイントの仕組みです。
この新しいポイント制度によって、グループ戦の1試合ごとの意味がかなり大きくなりました。
これまでは、イベントごとの勝者や順位が少し分かりにくい部分もありましたが、今季は「この試合に勝つと何が変わるのか」が見えやすくなっています。
各大会では、チームが2つのグループに分かれます。
まずグループ内で総当たり戦を行い、その結果をもとに最終日に別グループの同順位チームと対戦します。
たとえば、グループAの1位とグループBの1位、グループAの2位とグループBの2位がぶつかる形です。
これにより、グループ戦の順位がそのまま最終日の価値につながります。
イベントスタンディングポイントは、1位が25ポイント、2位が18ポイント、3位が15ポイント、4位が12ポイントです。
さらに5位は10ポイント、6位は8ポイント、7位は6ポイント、8位は4ポイント、9位と10位は1ポイント、11位は0ポイントとなっています。
特に1位と3位の差、2位と4位の差が大きいため、グループ上位に入ることがとても重要です。
その仕組みが一番分かりやすく出たのが、St. Louis Shock対Los Angeles Mad Dropsの試合です。
両チームは無敗のまま直接対決を迎えました。
この試合に勝てば、グループ1位として大会全体のトップを狙える立場になります。
一方で敗れれば、最高でも3位決定戦に回る可能性があり、獲得できるポイントに大きな差が出ます。
だからこそ、この試合には開幕週とは思えないほどの緊張感がありました。
選手たちのプレーにも、ベンチのリアクションにも「この1試合で今大会の意味が変わる」という空気が出ていました。
新ポイント制度は、ただ順位を決めるだけでなく、試合そのものにドラマを生む仕組みになっています。
MLPの面白さは、チーム戦の駆け引きにあります。
新制度によって、序盤の1敗や接戦の1ポイントにも重みが出るようになりました。
ファンとしては、ただ勝敗を見るだけでなく「この勝利で何ポイントに近づくのか」「この敗戦でどこまで順位が下がるのか」を追う楽しみも増えています。
※イベントスタンディングポイント:各大会の順位に応じてチームに与えられるポイントです。
シーズン全体の順位やプレーオフ進出に関わります。
AIラインレビュー導入で判定は進化中
MLP Dallasでは、新しいライン判定レビューシステム「Owl AI」も導入されました。
これは、ボールがラインの内側に入ったのか、それとも外に出たのかをAIで確認する仕組みです。
ピックルボールはラリーのテンポが速く、ライン際のショットも多いため、こうした判定システムの導入はかなり大きな変化です。
良かった点は、レビューのスピードです。
判定確認が比較的スムーズに行われ、試合の流れを大きく止めすぎない点は好印象でした。
さらに、会場の観客や配信を見ている視聴者にも、リプレイアニメーションが表示されました。
これによって、なぜその判定になったのかが視覚的に分かりやすくなっています。
中継としても、AIレビューはプラスの要素になっていました。
ライン際のきわどいショットは、見ている側も「今の入っていたのか?」と気になります。
そこでアニメーションが表示されることで、試合への納得感や没入感が増します。
スポーツ中継としては、かなり現代的な見せ方になってきた印象です。
一方で、課題もあります。AIアニメーションだけでなく、実際のスローモーション映像も一緒に見せたほうが、視聴者の信頼感はさらに高まるはずです。
AIの判定が正しいとしても、人間の目で見た映像と照らし合わせられないと、「本当にそうなの?」という疑問が残る場合があります。
特に大事な場面では、複数の確認材料があったほうが納得しやすいです。
もうひとつの課題は、チーム側がレビューを時間稼ぎのように使っていたことです。
試合終盤、明らかにインまたはアウトと分かる場面でチャレンジが行われ、試合の緊張感が途切れるケースがありました。
これは本来の判定確認とは少し違う使い方です。
今後は、明らかな判定に対する不要なチャレンジには、何らかの制限を設ける必要がありそうです。
たとえば、審判が「明らかなのでレビュー不要」と即判断できる仕組みや、不必要なチャレンジをした場合にレビュー権を失うルールがあれば、無駄な中断は減るかもしれません。
AI導入は前進ですが、運用面はまだ改善の余地があります。
※ラインレビュー:ボールがインかアウトかを確認する判定確認です。
※チャレンジ:チーム側が判定の見直しを求めることです。
Los Angelesが首位、Ben Johnsが完全復活ムード
MLP Dallasで最も大きな結果を残したのは、Los Angeles Mad Dropsです。
チームは6勝0敗で大会を終え、最終日にColumbus Slidersを破って総合1位を獲得しました。
イベントスタンディングポイント25点を手にしたことで、シーズン序盤からかなり有利なスタートを切ったと言えます。
Los Angelesの中心にいたのは、やはりBen Johnsです。
Ben Johnsはピックルボール界を長く引っ張ってきたスター選手ですが、ここ数年のMLPでは、モチベーションやチーム戦への熱量に疑問を持つ声もありました。
個人としての実力は誰もが認める一方で、MLPでどこまで本気で戦うのかが注目されていたのです。
しかし、今大会のBenは明らかに違いました。特にミックスダブルスでは、Jade Kawamotoと組んで圧巻のプレーを見せました。
コートのかなり広い範囲を自分でカバーし、攻撃でも守備でも存在感を発揮。
まるで「自分が試合を動かす」と言わんばかりのプレーでした。
強豪相手にも、Benのパフォーマンスは光りました。Anna BrightとHayden Patriquinのペアに11-6で勝利し、Andrei DaescuとAlix Truongのペアにも11-6で勝っています。
どちらも簡単な相手ではありませんが、それをしっかり押し切ったところに、今大会のBenの仕上がりの良さが出ています。
男子ダブルスでは、Ben Johnsと新加入のMax Freemanに多少の波もありました。
それでも最終的には4勝2敗でまとめ、大会が進むにつれて連携も良くなっていきました。
ColumbusのAndrei DaescuとCJ Klingerのペアに勝った試合は、チームとしても大きな自信になったはずです。
Los Angelesは、Benだけに頼るチームではありません。
Catherine Parenteau、Jade Kawamoto、Max Freemanといったメンバーもそろっており、Dreambreakerにも強いチームです。
Benがこのレベルを維持できるなら、Mad Dropsを倒すには相当な完成度が求められます。
現時点では、今季の優勝候補筆頭と言っていい存在です。
注目チームの現在地と今後の見どころ
Los Angelesに続く2位評価はColumbus Slidersです。
成績は3勝2敗でしたが、内容はかなりポジティブでした。初戦でOrlandoに敗れたときは少し不安もありましたが、その後New Jerseyに勝利し、最終的にはグループ首位を獲得しました。
しかもParris Toddを欠いた状態でこの結果を出した点は大きいです。
Columbusで特に目立ったのが、Danni-Elle TownsendとAlix Truongです。
TownsendはMLP初出場ながら本物の実力を示し、Truongも大会を通して好プレーを見せました。
今後Parris Toddが復帰すると、誰をどこで起用するのかという難しい問題が出てきます。
これはチームにとって悩みではありますが、同時に戦力層が厚いという証拠でもあります。
3位評価のSt. Louis Shockは、5勝1敗という好成績でした。
Los Angelesには敗れましたが、New Jerseyにはしっかり勝利しています。
過去2シーズンと同じ主力4人で戦っているため、チームの完成度は高いです。
ただし開幕週は、まだ本来のベストパフォーマンスではなかったようにも見えます。
次戦以降、さらに調子を上げてくる可能性があります。
4位評価のNew Jersey 5sは、少し難しい開幕週になりました。
成績は3勝2敗で、イベント順位は4位です。Jorja Johnsonを加えたことで大きな期待を集めていましたが、開幕戦としては少し物足りない結果だったかもしれません。
特にミックスダブルスのペア変更が注目ポイントです。
これまでWill HowellsとAnna Leigh Watersは、リーグ屈指のミックスダブルスペアとして高い成績を残していました。
しかし今大会では、KhlifとWaters、HowellsとJohnsonという組み合わせに変更。
KhlifとWatersは4勝1敗と好調でしたが、HowellsとJohnsonは2勝3敗。
今後この形を続けるのか、それとも元に戻すのかは大きな注目です。
Dallas Flashは、オフシーズンにJorja Johnsonを失った影響が心配されていましたが、3勝2敗で期待以上の内容を見せました。
敗れた相手もColumbusとNew Jerseyという強豪で、チームとしては十分に戦えることを証明しました。
Orlando Squeezeも、実際の内容はかなり良かったです。
獲得ポイントは少なかったものの、2敗はいずれもDreambreakerでの敗戦でした。
Columbusにも勝利しており、上位チームと戦える力はあります。
接戦を勝ち切れるようになれば、プレーオフ争いでかなり面白い存在になりそうです。
一方で、Texas Ranchers、Utah Black Diamonds、Palm Beach Royals、Atlanta Bouncers、Las Vegas Night Owlsなどは、中位からプレーオフ圏内を狙うグループになりそうです。
特にUtahは男子ダブルスに光るものがありますが、女子ダブルスの改善が必要です。
MLPは総合力のリーグなので、どこか1種目だけが強くても勝ち続けるのは難しいです。
今後の見どころは、上位チームの直接対決だけではありません。
中堅チームがどこまで勝ち星を拾えるか、若手選手がどれだけ成長するか、そして各チームがペアリングをどう調整するかも重要です。
2026年のMLPは、シーズンが進むほどパワーバランスが変わっていく可能性があります。
まとめ
MLP 2026の開幕週は、昨年とは違う混戦ムードを強く感じさせる大会になりました。
Los Angeles Mad Dropsが無敗でトップに立ち、Ben Johnsの復活ムードも大きな話題になりました。
一方で、Columbus、St. Louis、New Jersey、Dallas、Orlandoなどもそれぞれ強さを見せており、今年は簡単に順位を予想できないシーズンになりそうです。
新ポイント制度によって、グループ戦の1試合にも大きな意味が生まれ、毎試合の緊張感が増しています。
AIラインレビューの導入など、競技運営面でも新しい動きがありました。
判定のスピードや見せ方は進化していますが、チャレンジの使い方など課題も残っています。
今後のMLPでは、チームのペア戦略、Dreambreakerでの勝負強さ、選手たちの成長が順位争いを大きく左右しそうです。
開幕週の時点でこれだけ波乱があるなら、2026年シーズンはかなり面白い展開になりそうです。





