MLPがTorch Beveragesと提携!ピックルボール界に「公式THC飲料」が登場した背景とは

コラム

米国のプロピックルボールリーグ「MLP」が、THC飲料ブランドTorch Beveragesとの複数年契約を発表しました。

単なるスポンサー契約ではなく、急成長するピックルボール市場と米国の成人向け飲料文化の変化が交わった、ちょっと珍しいニュースです。

MLPとTorch Beveragesが2027年までのパートナーシップを締結

Major League Pickleball(MLP)は2026年8月5日、米国の飲料メーカーTorch Beveragesと複数年のパートナーシップを結んだことを発表しました。

契約期間は2027年までで、TorchはMLPの「Official THC Beverage(公式THC飲料)」というカテゴリーのパートナーになります。

MLPは、男女混合のチームで戦う米国のプロピックルボールリーグです。

個人戦中心のツアーとは違い、チームごとに選手が所属し、仲間と勝利を目指すスタイルが特徴になっています。

今回の契約でポイントになるのは、単に「飲料メーカーがスポンサーになった」という話ではないことです。

Torchは一般的なスポーツドリンクや炭酸飲料ではなく、ヘンプ由来THCを含む成人向け飲料を展開するブランドです。

つまり、MLPがかなり新しいジャンルの商品カテゴリーまでスポンサーの幅を広げたことになります。

ピックルボール人気の拡大とともに、企業側から見てもMLPが「広告を出す価値のあるスポーツ市場」に成長してきたことが分かるニュースです。

プロスポーツに「公式THC飲料」が登場した意味

今回のニュースで特に目を引くのが、「公式THC飲料」という肩書きです。

THC(※テトラヒドロカンナビノール。大麻草などに含まれる成分)は、日本ではかなり慎重に扱う必要がある言葉ですが、米国では地域や製品の条件によって法律や販売ルールが異なります。

Torch側のコメントでも、「5年前ならプロスポーツリーグが公式THC飲料を発表することは想像しにくかった」という趣旨の発言が紹介されています。

それだけ米国では、成人向け飲料の選択肢に対する考え方が変化しているということです。

これまでプロスポーツの飲料スポンサーといえば、ビール、エナジードリンク、スポーツドリンク、炭酸飲料などが定番でした。そこにTHC飲料という新しいカテゴリーが加わったことで、スポンサー業界そのものが広がっていることが分かります。

ピックルボールの成長は、パドルやシューズなどのスポーツ用品メーカーだけではなく、これまで競技との接点が少なかった企業まで引き寄せ始めているわけです。

米国で広がるアルコール以外の成人向け飲料

今回の提携の背景には、米国における成人向け飲料市場の変化があります。

大人が友人と集まったり、スポーツ観戦を楽しんだりするときの飲み物といえば、以前はビールやワイン、カクテルなどのアルコール飲料が代表的でした。

しかし現在は、それ以外の選択肢を求める消費者も増えています。

そのひとつとして登場しているのが、ヘンプ由来THCを使用した飲料です。

ヘンプ(※大麻草のうち、それぞれの国や地域の法律で定められた条件に基づいて扱われるもの)を原料とした商品は、米国の一部地域で成人向け商品として市場が広がっています。

Torchは「Black Cherry Lite」と「Strawberry Lemonade」などのTHC入り炭酸飲料を展開しています。

原文では、それぞれ5mg、10mgのTHCを含む商品が紹介されています。

ただし、ここは日本の読者が特に注意したいところです。

米国で販売・提供されている商品であっても、日本で同じ条件で合法的に購入・所持・使用できるとは限りません。

THCに関する法律や基準は国によって異なるため、今回のニュースは「米国のスポーツ市場で起きている動き」として読むことが大切です。

ピックルボールの交流文化が企業から注目される理由

Torch側が今回の提携理由として強く打ち出しているのが、ピックルボールの「人と人がつながりやすい」という特徴です。

ピックルボールはダブルスでプレーする機会が多く、コートも比較的コンパクトです。

そのため、試合中でもパートナーや相手との距離が近く、自然とコミュニケーションが生まれやすいスポーツです。

さらに、地域のオープンプレー(※参加者同士で相手やペアを替えながら自由にゲームを楽しむ形式)では、初対面の人と一緒にプレーすることも珍しくありません。

試合が終わってから、

  • 一緒にプレーした相手と話す
  • 次のゲームに参加する
  • 仲間と試合を振り返る
  • コートの外で交流を楽しむ

といった流れが自然に生まれます。

Torchの担当者も、「人は一人になりたくてピックルボールを始めるのではなく、交流を楽しむためにプレーしている」という趣旨のコメントをしています。

企業から見ると、これはかなり魅力的なポイントです。

単に試合を見てもらうだけではなく、プレー前後にも仲間と過ごす時間があるため、飲料やアパレル、飲食、レジャーなど幅広い商品やサービスとの接点を作りやすいからです。

ピックルボールの「スポーツ+コミュニティ」という特徴が、スポンサー企業からも評価され始めています。

MLPがスポーツビジネスとして急成長している

今回の提携を理解するためには、Major League Pickleballそのものの成長にも注目する必要があります。

MLPは2021年に誕生した比較的新しいプロリーグですが、現在は20チーム、100人以上のトップクラスの選手が参加する規模へ拡大しています。

特徴は、男女混合のチーム制です。

通常のテニスやバドミントンでは個人戦やペアごとの大会が中心ですが、MLPでは選手がチームに所属し、男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルスなどを組み合わせながらチーム全体で勝敗を争います。

この仕組みによって、「好きな選手を応援する」だけではなく、「好きなチームを応援する」という楽しみ方も生まれています。

さらに2024年には、MLPとPPA Tour(※Professional Pickleball Associationが展開するプロツアー)がUnited Pickleball Association、通称UPAのもとで統合されました。

これによって、米国の主要なプロピックルボール組織が同じグループにまとまり、競技運営だけではなく、放送、スポンサー、選手契約、イベントなどスポーツビジネス全体の規模も大きくなっています。

Torchとの提携も、この成長の延長線上にあるニュースと言えそうです。

日本のピックルボールファンが注目したいポイント

日本のピックルボールファンにとって今回一番注目したいのは、「THC飲料が登場したこと」そのものではありません。

むしろ重要なのは、ピックルボールというスポーツに関わる企業のジャンルがどんどん広がっていることです。

競技がまだ小さい段階では、スポンサーになるのはパドル、ボール、シューズ、ウェアなどのスポーツ関連企業が中心です。

ところが競技人口や観戦者が増えてくると、

  • 飲料・食品
  • ファッション
  • 健康・フィットネス
  • 旅行・ホテル
  • 自動車
  • ITサービス
  • エンターテインメント

など、スポーツ用品とは直接関係のない企業も市場に参入してきます。

これはプロスポーツとしての影響力が広がっている証拠でもあります。

日本でも今後ピックルボール人口が増えていけば、パドルメーカーだけでなく、地域企業や飲食店、商業施設などが大会やイベントを支援するケースが増えてくるかもしれません。

一方で、今回のTHC飲料については米国と日本で法律や規制が異なります。

「MLPの公式スポンサーだから日本でも利用できる」と考えるのはNGです。

商品そのものよりも、「ピックルボールが企業からどんなスポーツとして見られ始めているのか」という視点で見ると、今回のニュースがより面白くなってきます。

まとめ

MLPとTorch Beveragesの複数年契約は、米国のピックルボールが競技としてだけでなく、スポーツビジネスとしても成長していることを感じさせるニュースです。

特に、企業側がピックルボールの競技人口だけではなく、「試合後も人が集まり、交流が続く」というコミュニティ性に注目している点は見逃せません。

一方、THCを含む商品の法律や取り扱いは日本と米国で異なるため、日本の読者は商品そのものではなく海外スポーツ市場の事例として捉えることが重要です。

これからピックルボール人気がさらに広がれば、「こんな企業までピックルボールに?」と思うような新しいスポンサーが登場してくるかもしれません。

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