2026年APPシカゴ大会では、男女シングルスやダブルスなど5部門の王者が決まりました。
地元で2連覇を達成したアマー・ワジールを中心に、逆転勝利や初優勝が続いた決勝戦を詳しく振り返ります。
2026年APPシカゴ大会の規模と特徴
2026年のAPPシカゴ大会には、世界で活躍するトッププロから各年代のアマチュアまで、数百人の選手が参加しました。
プロ部門では、男女シングルス、混合ダブルス、男女ダブルスの5種目を実施。
大会最終日のチャンピオンシップサンデー(※各部門のメダル決定戦を行う最終日)で金・銀・銅メダルが決まりました。
一般のプロ部門だけでなく、50歳以上を対象とするチャンピオンズ部門、60歳以上を対象とするマスターズ部門も行われています。
年齢や競技レベルの異なる選手が同じ大会に集まる、ピックルボールらしい幅広さが特徴です。
さらに、50歳以上のプロ選手によるシーズン制のチーム戦も実施されました。
通常の個人戦とは異なり、各選手の結果をチーム全体の成績につなげる団体戦です。
大会のメダリストは、2026年に開催される全米選手権への出場権を獲得しました。
つまり今大会は、単にメダルを争うだけでなく、シーズン後半の大舞台につながる重要な一戦でもありました。
大会前には、16人のトッププロによる特別な混合ダブルスも行われています。
通常とは違う主なルールは次のとおりです。
- 1試合の制限時間は8分
- 試合中のタイムアウトはなし
- 特定の場面では得点が2倍
- 12試合のプール戦で決勝進出ペアを決定
- 短時間で攻守を切り替えるスピード重視の形式
決勝では、スザンナ・バー/ブランドン・レーン組が、カテリーナ・スチュワート/ロナン・キャムロン組を9-8で下しました。
最後の数秒まで勝敗が分からない接戦となり、この取り組みを通して子どもの医療支援へ2万5,000ドルが寄付されています。
ワジールが圧巻のスコアで地元2連覇
男子シングルス決勝では、地元シカゴのアマー・ワジールがジェイデン・ブロデリックと対戦しました。
ブロデリックはフロリダ・アトランティック大学の選手として、2026年の大学選手権を制した実績を持つ注目選手です。
一方のワジールは、2025年の同大会でも地元の観客の前で優勝しています。
今回は大会2連覇と、2026年シーズン2個目のAPPツアー金メダルが懸かった一戦でした。
第1ゲームでは、ワジールが立ち上がりから主導権を握ります。
シングルスでは一人でコート全体を守るため、相手を左右へ動かし、空いたスペースへ打ち込む組み立てが重要です。
ワジールは正確なコースの打ち分けと積極的な攻撃でブロデリックを押し込み、11-2で先取しました。
第2ゲームでもワジールの勢いは落ちません。
ブロデリックに反撃のきっかけを与えず、再び11-2で勝利。ゲームカウント2-0のストレートで金メダルを獲得しました。
決勝のスコアは次のとおりです。
- 第1ゲーム:ワジールが11-2で勝利
- 第2ゲーム:ワジールが11-2で勝利
- 合計スコア:22-4
- 優勝:アマー・ワジール
- 準優勝:ジェイデン・ブロデリック
- 3位:ロナン・キャムロン
2ゲームを通して相手に許した得点はわずか4点でした。
プレッシャーのかかる地元大会で、前年王者らしい安定感を発揮した圧勝です。
メンデスが女子シングルスで逆転優勝
女子シングルス決勝では、セオネ・メンデスとドメニカ・トゥルコビッチが対戦しました。
両選手とも、2026年シーズン初となるAPPツアーの金メダルを目指してコートに入りました。
第1ゲームはトゥルコビッチが好スタートを切ります。
立ち上がりから攻撃のリズムをつかみ、メンデスに十分な体勢で打たせない展開をつくりました。
トゥルコビッチが11-6で先取し、先に優勝へ王手をかけます。
しかし、第2ゲームからメンデスが戦い方を修正しました。
無理に速いショットで決めようとせず、ラリーを安定させながら相手のミスを引き出します。
攻める場面と守る場面をはっきりさせ、第2ゲームを11-3で奪いました。
勝負の第3ゲームでも、メンデスの勢いは続きます。
トゥルコビッチに流れを戻させず、再び11-3で勝利。
第1ゲームを落としたあとに、2ゲーム連続で相手を3点に抑える見事な逆転劇でした。
決勝のスコアは次のとおりです。
- 第1ゲーム:トゥルコビッチが11-6で勝利
- 第2ゲーム:メンデスが11-3で勝利
- 第3ゲーム:メンデスが11-3で勝利
- 優勝:セオネ・メンデス
- 準優勝:ドメニカ・トゥルコビッチ
- 3位:カテリーナ・スチュワート
メンデスは数か月前に出場した大会の決勝で敗れていました。
その悔しさを晴らすような逆転勝利で、2026年シーズン初の金メダルを手にしています。
男女ランキング1位ペアが混合ダブルスを制覇
混合ダブルス(※男女1人ずつでペアを組む種目)の決勝では、カテリーナ・スチュワート/ロナン・キャムロン組が、カルロタ・トレビーノ/ランディ・ブランコ組と対戦しました。
スチュワートとキャムロンは、それぞれAPPツアーの女子、男子シングルスランキングで1位に立つ選手です。
シングルスで身につけた広い守備範囲、正確なショット、相手との一対一の駆け引きをダブルスでも発揮しました。
対するトレビーノ/ブランコ組は、ペアとして初めて決勝へ進出。
勢いのある新しい組み合わせとして、ランキング上位の2人に挑みました。
第1ゲームでは、スチュワート/キャムロン組が序盤から安定したラリーを展開。
相手に簡単な攻撃を許さず、11-5で先取しました。
第2ゲームではトレビーノ/ブランコ組も粘りを見せましたが、スチュワート/キャムロン組が11-6で勝利。
ゲームカウント2-0のストレートで優勝しました。
混合ダブルスでは、次のような連携が重要です。
- 2人の間にできるスペースをカバーする
- 相手の強打に備えて立ち位置をそろえる
- ディンクから攻撃へ移るタイミングを合わせる
- どちらが中央のボールを取るか判断する
- パートナーが動いたあとの空いた場所を補う
シングルスのトップ選手同士が、それぞれの守備力と攻撃力をうまく組み合わせた決勝でした。
スチュワート/キャムロン組にとって、2026年シーズン初となる混合ダブルスのメダルです。
銅メダルはミーガン・ファッジ/エイダン・シェンク組が獲得しました。
マンロー組が男子ダブルス3大会連続優勝
男子ダブルス決勝では、第1シードのジャック・マンロー/リチャード・リボルネーゼ・ジュニア組と、クアン・ドゥオン/パトリック・カウカ組が対戦しました。
マンロー/リボルネーゼ組は、今大会までにペアとしてAPPツアー2大会連続優勝中。
シカゴ大会では3大会連続の金メダルを狙いました。
一方、ドゥオン/カウカ組は今大会で初めてペアを結成し、決勝まで勝ち進んだ勢いのあるコンビです。
第1ゲームは、両ペアが互いに譲らない展開となりました。ネット付近での素早いボレーや、ディンク(※ノンボレーゾーン付近へ柔らかく落とすショット)を使った駆け引きが続きます。
最後はドゥオン/カウカ組が11-9で競り勝ちました。
しかし、第2ゲームではマンロー/リボルネーゼ組が戦い方を修正します。
相手に先に攻撃させないよう丁寧にボールをつなぎ、浮いたボールを確実に決めました。
第1ゲームとは対照的な11-2の大差で取り返します。
勝負の第3ゲームは、序盤から再び接戦となりました。
中盤まではどちらが勝ってもおかしくない内容でしたが、マンロー/リボルネーゼ組が終盤にリードを広げ、11-6で勝利しました。
決勝のスコアは次のとおりです。
- 第1ゲーム:ドゥオン/カウカ組が11-9で勝利
- 第2ゲーム:マンロー/リボルネーゼ組が11-2で勝利
- 第3ゲーム:マンロー/リボルネーゼ組が11-6で勝利
- 優勝:マンロー/リボルネーゼ組
- 準優勝:ドゥオン/カウカ組
- 3位:デビッド・ビーガー/ザック・マーソー組
マンロー/リボルネーゼ組は、第1ゲームを落としても焦らず、相手の攻撃パターンに対応しました。
試合の途中で戦術を修正できる冷静さが、3大会連続優勝につながっています。
女子ダブルスは11-9で決着する大接戦
大会の決勝日程を締めくくったのは、女子ダブルスです。
ビビアン・グロズマン/ルース・ファンレーク組が、アマンダ・ヘンドリー/エミリア・シュミット組と対戦しました。
第1ゲームでは、グロズマン/ファンレーク組が安定した連携を見せます。
ネット付近で相手に簡単な強打を許さず、攻撃のチャンスをじっくり待ちながら11-8で先取しました。
第2ゲームでは、ヘンドリー/シュミット組が反撃します。
第1ゲームでの相手の狙いを読み、守備から攻撃へ切り替えるタイミングを修正。
同じ11-8のスコアで取り返し、勝負を最終第3ゲームへ持ち込みました。
第3ゲームは、どちらのペアも大きくリードできない一進一退の展開です。
柔らかいディンクで相手を動かし、少しでもボールが浮けば素早いボレーで攻める、女子ダブルスらしい緻密なラリーが続きました。
最後はグロズマン/ファンレーク組が11-9で競り勝ち、ペアとして初めてAPPツアーの金メダルを獲得しました。
決勝のスコアは次のとおりです。
- 第1ゲーム:グロズマン/ファンレーク組が11-8で勝利
- 第2ゲーム:ヘンドリー/シュミット組が11-8で勝利
- 第3ゲーム:グロズマン/ファンレーク組が11-9で勝利
- 優勝:グロズマン/ファンレーク組
- 準優勝:ヘンドリー/シュミット組
- 3位:ニコラ・スクーマン/セリーナ・トゥルリャ組
最終ゲームが11-9までもつれたことからも、両ペアの実力が接近していたことが分かります。
大会最後の決勝にふさわしい、緊張感のある試合となりました。
まとめ
2026年APPシカゴ大会では、地元選手の連覇、劣勢からの逆転、ペアとしての初優勝など、5部門それぞれに異なるドラマが生まれました。
なかでもアマー・ワジールの2年連続優勝と、マンロー/リボルネーゼ組の3大会連続優勝は、安定した強さを示す結果です。
スコアだけでなく、試合途中の戦術変更やダブルスの立ち位置にも注目すると、ピックルボールの奥深さをさらに楽しめます。
今回のメダリストたちが、次の大会でどのような対戦を見せるのか期待しましょう。


