2026 APP Dillons Overland Park Openでは、5つのプロ決勝で熱戦が繰り広げられました。
デュソーのキャリア初優勝、ファッジの歴代最多タイとなる通算33個目の金メダル、男子ダブルスの5大会連続優勝など、記録とドラマが詰まった大会です。
5つのプロ決勝でチャンピオンが決定
2026 APP Dillons Overland Park Openでは、男子シングルス、女子シングルス、男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルスの5部門で金メダル決定戦が行われました。
APP Tour(※Association of Pickleball Playersが展開するプロツアー)のトップ選手が集まるなか、今回は単に優勝者が決まっただけでなく、複数の大きな記録が生まれています。
主なトピックは、
- トリスタン・デュソーがAPP Tour初の金メダル
- ミーガン・ファッジが通算33個目の金メダル
- マンロー/リヴォルネーゼ組が男子ダブルス5大会連続優勝
- アマー・ワジールが金メダル決定戦6戦6勝
- カテリーナ・スチュワートが今季女子シングルス4勝目
といった内容です。
初優勝を決めた選手がいる一方で、トップ選手が連勝記録をさらに伸ばす展開もありました。
新しい勢力と実績ある選手の強さを一度に確認できる大会になっています。
男子ダブルスはマンロー/リヴォルネーゼ組が5連覇
男子プロダブルスでは、ジャック・マンロー/リチャード・リヴォルネーゼ・ジュニア組が5大会連続優勝を達成しました。
2人はOverland Park大会に入る前から4大会連続でタイトルを獲得しており、今大会でも優勝候補として注目されていました。
決勝では、エティエンヌ・ブラスケウィッツ/カラン・ドーソン組と対戦。
このカードは8月のデトロイト大会でも実現しており、再戦となりました。
第1ゲームは一方的な展開ではなく、何度もリードが入れ替わる接戦です。
それでもマンロー/リヴォルネーゼ組が終盤でポイントを重ね、11-9で先取しました。
すると第2ゲームでは一気に主導権を握ります。
相手にほとんど流れを渡さず11-2で勝利し、ストレートで優勝を決めました。
ピックルボールのダブルスでは、強打だけでなく、ネット前でのポジショニングやパートナーとの役割分担が重要です。
5大会連続で勝ち続けるという結果は、単発の好調ではなく、2人の連携とプレーの再現性が高いことを示しています。
マンロー自身も、5連覇について大きな好不調の波ではなく、毎大会安定した基準でプレーできていることをポイントに挙げています。
女子ダブルスでファッジが歴代最多記録に並ぶ
女子プロダブルスでは、ミーガン・ファッジ/カテリーナ・スチュワート組が圧倒的な内容で優勝しました。
2人は今回が初めてのペアでしたが、第1シードとして決勝まで進出。
対するグラウカ・カルバハル=レーン/アンバー・ポリケア組は、第3シード、第2シードのペアを破って勝ち上がった勢いのあるチームでした。
しかし決勝では、その勢いをファッジ/スチュワート組が完全に止めます。
第1ゲームは11-2。さらに第2ゲームでは相手に1ポイントも与えず11-0で勝利しました。
決勝で11-0というスコアになるのは、サーブやリターンだけでなく、ラリーの組み立てやネット前での判断まで高い精度でかみ合っていたことを示します。
この優勝で、ファッジはAPP Tour通算33個目の金メダルを獲得しました。
これにより、女子選手のキャリア金メダル数で歴代最多記録に並んでいます。
1大会で活躍するだけでは到達できない数字であり、複数シーズンにわたってトップレベルを維持してきた積み重ねが表れた記録です。
一方のスチュワートも女子ダブルスだけで終わらず、シングルスでも金メダルを獲得。
今大会で複数部門にわたる存在感を見せました。
シングルスはワジールとスチュワートが優勝
男子プロシングルスでは、アマー・ワジールがトリスタン・デュソーを11-5、11-7で破りました。
デュソーにとっては、これがAPP Tourで初めての決勝進出です。勢いに乗る相手との対戦でしたが、ワジールは大舞台での強さを改めて発揮しました。
ワジールは今回の優勝により、APP Tourの金メダル決定戦で6戦6勝。
決勝に進めば一度も負けていないという記録を維持しています。
シングルスではダブルスと違い、コート全体を一人でカバーしなければなりません。
そのため、相手を左右に動かすショットだけでなく、自分の守備位置へ素早く戻るフットワークも重要です。
一方、女子プロシングルスはさらに激しい試合になりました。
第1シードのカテリーナ・スチュワートと第2シードのドメニカ・トゥルコビッチが対戦し、第1ゲームはスチュワートが11-8で先取しました。
第2ゲームでもスチュワートが6-1とリードし、このまま決着するかと思われました。
しかしトゥルコビッチがそこから8ポイントを連続で獲得し、9-6へ一気に逆転。最後は11-8で取り返しました。
勝負は第3ゲームへ。流れを一度失ったスチュワートでしたが、最終ゲームでは再び立て直して11-5で勝利しました。
これでスチュワートは2026年の女子シングルスで4個目の金メダル。
さらに2大会連続優勝となりました。
途中で相手に大きな流れを持っていかれても、最終ゲームでプレーを修正して勝ち切った点が、この試合の大きなポイントです。
混合ダブルスでデュソーがキャリア初の金メダル
今大会で最も劇的な展開となったのが、混合プロダブルス決勝です。
第21シードのアリソン・ハリス/トリスタン・デュソー組が、第2シードのエミリア・シュミット/ジャック・マンロー組と対戦しました。
シード順位だけを見ると、ハリス/デュソー組はかなり下の立場です。
それでも強豪を次々と破って決勝まで進み、いわゆるシンデレラ・ラン(※下位シードの選手やペアが予想を超えて勝ち進むこと)を続けていました。
ただし決勝序盤は厳しい展開です。
第1ゲームはシュミット/マンロー組が11-3で勝利。
さらに第2ゲームも5-1とリードしました。
ここから試合が一変します。
ハリス/デュソー組は、なんと10ポイントを連続で獲得。
1-5から11-5まで一気に逆転し、試合を第3ゲームへ持ち込みました。
最終ゲームでもシュミット/マンロー組が8-3と先行します。
さらにハリス/デュソー組は7-10まで追い込まれ、相手にマッチポイントを握られました。
それでも試合を終わらせません。
複数回のマッチポイントをしのぐと、最後は5ポイント連続で獲得。
12-10で大逆転し、金メダルを手にしました。
デュソーにとって、これがAPP Tourでキャリア初となる金メダルです。
第21シードから優勝しただけでなく、決勝でも1ゲーム先取され、第2ゲームは1-5、第3ゲームは3-8、さらに7-10と何度も追い込まれてから逆転しています。
「最後の1ポイントまで試合は終わらない」というピックルボールの面白さが、そのまま表れたような決勝でした。
50歳以上部門や大学対抗戦でも熱戦
2026 APP Dillons Overland Park Openでは、トッププロ以外のカテゴリーでも多くの試合が行われました。
50歳以上を対象とするAARP Champions Pro部門(※50歳以上のプロ選手が出場するカテゴリー)では、カリン・プタシェク=コチスとユセフ・ブジディが、それぞれ2個の金メダルを獲得しました。
カロリーナ・ロペス・アスカラーテも金メダル1個、銀メダル2個を獲得するなど、複数種目で結果を残しています。
また、大会ではカンザス大学とミズーリ大学のクラブチームによる対抗戦も実施されました。
男子シングルス、女子シングルス、男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルスで競い、最終的にカンザスが勝利しています。
大学クラブ、50歳以上のプロ、トッププロ、さらにアマチュアまで同じ大会に集まっている点は、APPイベントの特徴の一つです。
競技レベルや年齢が違う選手たちが同じ会場でプレーすることで、ピックルボールがトップレベルの競技スポーツとしてだけでなく、幅広い世代が参加できるスポーツとして広がっている様子も見えてきます。
まとめ
2026 APP Dillons Overland Park Openでは、トリスタン・デュソーのキャリア初金メダル、ミーガン・ファッジの歴代最多タイとなる通算33個目の金メダルなど、大きな記録が生まれました。
男子ダブルスではマンロー/リヴォルネーゼ組が5大会連続優勝を達成し、シングルスでもワジールとスチュワートが大舞台での強さを発揮しています。
なかでも、第21シードから勝ち上がり、決勝でも何度も追い込まれながら逆転したハリス/デュソー組の混合ダブルスは、今大会を象徴する試合となりました。
実績あるトップ選手の記録更新と、新しい選手のブレイクが同時に起きたことで、今後のAPP Tourの勢力図にも注目したくなる大会です。


