APPプロのダスティ・ボイヤーが、シンシナティ大会での一日をリアルに振り返りました。
勝利の手応えだけでなく、湿度、風、連戦、ペアとの準備不足まで、プロの舞台の難しさが見える内容です。
ダスティ・ボイヤーがシンシナティ大会を振り返る
APPプロのダスティ・ボイヤーが、2026年APP Vlasic Classic Cincinnatiでの一日を選手目線で振り返りました。
APP(※アメリカを中心に開催されるプロ・アマ参加型のピックルボール大会シリーズ)は、シングルス、男子ダブルス、ミックスダブルスなど、複数種目に出場する選手も多い大会です。
ボイヤーはフロリダ州サラソータから会場入りし、トリスタン・デュソーやネイビーン・ビーズリーといった他のプロ選手たちと滞在していました。
会場のあるシンシナティは水辺や公園が近く、緑も多い環境で、ウォームアップには気持ちの良い場所だったようです。
ただし、試合となると話は別です。高い湿度、風、雨による中断、そして同じ日に複数種目をこなすハードスケジュールが選手を苦しめました。
華やかに見えるプロ大会の裏には、体力管理、食事のタイミング、ペアとの練習時間の確保など、かなり細かい調整が必要になります。
シングルスでは難しい相手に勝ち切る
ボイヤーはこの日、まずシングルスからスタートしました。
シングルス(※1対1でコート全体を守る試合)は、体力、フットワーク、ショットの精度がかなり問われる種目です。
ダブルスよりも一人でカバーする範囲が広いため、少しの判断ミスがすぐ失点につながります。
2回戦ではマーティン・スタンチェフと対戦しました。
スタンチェフはシードこそ低い選手でしたが、過去にボイヤーの友人であるトリスタン・デュソーをU.S. Openで破ったことがあり、実力以上に警戒が必要な相手でした。
ボイヤーも「かなり過小評価されている選手」と見ていたようです。
さらに、ベスト16ではウェイドとの試合を終えました。
この試合では、相手が前の試合で長いラリーを重ねていたこともあり、体力面やコンディションの影響も大きかったと考えられます。
ボールが遅く、風もある中で、ボイヤーは無理に強打で押すのではなく、ボールをうまく動かしながら勝ち切りました。
シングルスでは最近好調だと話していたボイヤーにとって、この日の勝利は良い流れを作る大きなポイントになりました。
男子ダブルスはペアとの準備時間が課題に
シングルスで良い流れを作った一方、男子ダブルスでは思うような結果を出せませんでした。
ボイヤーはエドゥアルド・イリザリーとペアを組みましたが、実際に同じコートで一緒にプレーするのは今回が初めてでした。
ダブルス(※2人1組で戦う試合)は、個人の強さだけでは勝ち切れません。
どちらが中央のボールを取るのか、前後のポジションをどう入れ替えるのか、相手の攻撃に対して誰がカバーするのかなど、細かい連携がかなり重要です。
しかし、この日は2人ともシングルスの試合が遅くまでかかり、男子ダブルス前に一緒に打てた時間はわずか10分ほどでした。
初めて組むペアにとって、10分のウォームアップだけで試合に入るのはかなり難しい状況です。
相手チームも良いプレーをしていたため、ボイヤーたちはなかなか流れをつかめませんでした。
リズムが合わないまま試合が進み、思うような結果にはつながらなかったようです。
プロ選手でも、ペアとの準備不足は大きなハンデになることが分かります。
ミックスダブルスは勝利後にリズムのズレも経験
男子ダブルス後、ボイヤーはミックスダブルスに入りました。
ミックスダブルス(※男女ペアで戦うダブルス)は、男女それぞれの持ち味をどう生かすかが重要です。
パワー、守備範囲、ネット前での反応、試合中の声かけなど、ペアとしての完成度が勝敗に直結します。
1回戦では、ドミと組んで勝利を収めました。
ドミは女子ダブルスの後に少し休む時間があり、コンディションを整えられたこともプラスに働いたようです。
序盤は2人とも良い感触があり、勝利によってミックスダブルスでも流れを作れそうな雰囲気がありました。
しかし、その後の試合では苦戦します。相手がうまくプレーし、ボイヤーたちにリズムを作らせませんでした。
自分たちの連携も少しズレていて、チームとしてかみ合わなかったと振り返っています。
ピックルボールのダブルスでは、ただショットが上手いだけでは勝てません。
パートナーが前に出るタイミング、守備に回る場面、攻撃を仕掛ける判断がズレると、一気に相手へ流れを渡してしまいます。
この試合は、まさにペア競技ならではの難しさが出た内容だったと言えます。
湿度・雨・風がプレーに与えた影響
この日の大きなテーマの一つが、天候とコートコンディションです。
ボイヤーは普段フロリダで練習しているため湿度には慣れている選手ですが、シンシナティの会場もかなり蒸し暑く、しかも雨の影響でさらに湿度が増したように感じたと話しています。
湿度が高いと、選手の体力消耗が早くなります。
汗をかきやすく、グリップが滑りやすくなることもあります。
また、ボールの飛び方やスピードにも影響が出やすく、いつもなら決まるショットが伸びなかったり、相手に拾われたりすることもあります。
さらに、この日は風もありました。
風があると、ロブ(※相手の頭上を越す高いショット)やドロップショット(※ネット際に柔らかく落とすショット)の精度が難しくなります。
強く打てばアウトになり、弱く打てばネットにかかるという微妙な調整が必要です。
ボイヤーは「ボールが遅く、少しゆっくりした展開でプレーする必要がある」と感じていました。
つまり、いつものスピード勝負ではなく、相手を動かしながらじっくり崩す戦い方が求められたということです。
プロ選手でも苦戦する連戦とコンディション調整
今回のブログで特に印象的なのは、プロ選手でも一日のスケジュール管理にかなり苦戦している点です。
この日はシングルス、男子ダブルス、ミックスダブルスが同じ日に組まれており、勝ち進めば6試合から9試合ほどプレーする可能性もありました。
試合が続くと、食事を取るタイミングも難しくなります。シングルスの直後にダブルスがある場合、重い食事を取ると体が動きにくくなります。
一方で、食べなさすぎると後半にエネルギー切れを起こします。
ボイヤーも、試合の合間に軽めの昼食しか取れなかったと話していました。
さらに難しいのが、パートナーとのウォームアップです。
自分に時間があっても、パートナーが別の試合に出ていれば一緒に練習できません。
前回は、ミックスのパートナーがまだ試合中だったため、別の女子選手とウォームアップしたこともあったようです。
プロの世界では、技術だけでなく「限られた時間でどう準備するか」も勝負の一部です。
休むのか、食べるのか、体を冷やすのか、パートナーと少しでも打つのか。
その判断を毎試合ごとに迫られるのが、複数種目に出る選手の大変さです。
まとめ
ダスティ・ボイヤーの選手ブログからは、プロのピックルボール大会が想像以上にタフであることが伝わってきます。
シングルスでは好調なプレーを見せた一方で、男子ダブルスでは準備時間の少なさが響き、ミックスダブルスではペアとしてのリズム作りに苦戦しました。
また、湿度、雨、風といったコンディションも試合展開に大きく影響しました。
ピックルボールは手軽に始められるスポーツですが、プロの舞台では技術、体力、判断力、ペアとの連携、そしてスケジュール管理まで求められます。
ボイヤーが語った一日は、勝敗だけでは分からないプロ選手のリアルを見せてくれる内容でした。
翌日のシングルスでどんな切り替えを見せるのか、今後の戦いにも注目です。





