Major League Pickleball(MLP)で2シーズンにわたりコミッショナーを務めたサミン・オドワニ氏が退任することになりました。
リーグ運営だけでなく、チーム管理や放送・コンテンツ戦略まで幅広く携わってきた人物だけに、今回の人事はMLPの次の成長フェーズを考えるうえでも注目したい動きです。
サミン・オドワニ氏がMLPコミッショナーを退任
Major League Pickleball(MLP)は、サミン・オドワニ氏がコミッショナーを退任すると発表しました。
オドワニ氏は2025年に就任し、2025年と2026年の2シーズンにわたってリーグ運営を担当してきました。
MLPは、個人がトーナメントを勝ち上がる一般的なプロ大会とは異なり、所属選手がチーム単位で対戦するリーグです。
男子・女子の選手が同じチームに所属し、複数の試合結果を合わせて勝敗を決めるため、個人競技でありながらチームスポーツのような楽しみ方ができます。
そんなリーグ全体をまとめるのがコミッショナーです。
大会を開催するだけでなく、チームとの調整や競技ルール、リーグの成長戦略にも関わります。
今回の退任発表は、ニュージャージー5sが初優勝を飾った2026年シーズン終了から数週間後に行われました。
シーズンが一区切りしたところで、MLPの運営体制にも新しい変化が起きることになります。
投資会社やMLPチームで経験を積んだ経歴
オドワニ氏の経歴を見ると、もともと競技運営だけを専門にしてきた人物ではありません。
MLPコミッショナーに就任する前は、NBAスターのケビン・デュラントが設立した投資会社「35V」で戦略担当副社長を務めていました。
35Vはスポーツやテクノロジー、メディアなど幅広い分野に投資する企業で、オドワニ氏はそこでビジネス戦略に携わっていました。
その後、MLPのブルックリン・エーシズではゼネラルマネージャーを担当しています。
ゼネラルマネージャー(※GM:チーム編成や運営方針などを管理する責任者)として、リーグ本部ではなくチーム側の立場を経験しているのも特徴です。
さらに、PPAツアーとMLPを統括するUnited Pickleball Association(UPA)では最高戦略責任者も務めました。
投資、チーム運営、リーグ経営という複数の視点を経験してからコミッショナーになったため、競技面だけでなくビジネス面にも強いタイプのリーダーだったことがわかります。
退任後はApollo Sports Capitalへ
オドワニ氏はMLP退任後、Apollo Sports Capitalに加わる予定です。
Apollo Sports Capitalは、大手投資会社Apolloが展開するスポーツ分野専門の投資プラットフォーム。
スポーツチームやリーグ、関連企業などを投資対象としており、スポーツを「競技」だけでなく「ビジネス」として成長させることを狙う組織です。
特にピックルボールとの関係で注目したいのが、2026年に行われたPickleball Inc.への投資です。
Apollo Sports Capitalは、2億2,500万ドル規模の投資を主導しました。
Pickleball Inc.は、MLPだけを運営している会社ではありません。
主な関連事業には、
- PPA Tour
- Major League Pickleball
- Pickleball Central
- Pickleball.com
- Pickleball TV
などがあります。
大会運営からメディア、用品販売まで幅広い事業を抱えているため、ピックルボール業界全体の成長に深く関わる企業といえます。
オドワニ氏は今後、リーグの現場責任者から、より投資や経営に近い立場へ移ることになります。
コミッショナーとして担ってきた役割
スポーツの「コミッショナー」と聞くと、試合会場で表彰を行ったり、リーグの代表としてコメントしたりする役職をイメージする人もいるかもしれません。
ただし、MLPでオドワニ氏が担っていた仕事はかなり幅広いものでした。
具体的には、
- 各チームのガバナンス管理
- リーグの競技運営
- 試合に関する方針の調整
- リーグ全体の事業運営
- コンテンツ配信戦略
- メディア展開に関する戦略
などです。
ガバナンス(※組織がルールに沿って適切に運営されるよう管理する仕組み)は、プロリーグの成長には欠かせません。
チーム数が増え、スポンサーや放送局との契約が大きくなるほど、リーグ全体で共通のルールを整える必要があります。
さらにオドワニ氏は、試合そのものだけでなく「どう見せるか」にも関わっていました。
テレビ放送やオンライン配信を通して、新しいファンにMLPを届ける部分まで担当していた点は重要です。
2026年シーズンは視聴者数や観客数が成長
オドワニ氏が退任する2026年シーズンは、MLPにとって数字の面でも成長が見られたシーズンでした。
リーグの発表によると、2025年と比較して、
- テレビなどの視聴者数
- 会場への来場者数
- チケット収入
がそれぞれ増加したとされています。
特に象徴的だったのが、8月に開催されたMajor League Pickleball Finalsです。
大会最終日のCBS放送では平均77万3,000人が視聴し、MLPとして過去最高の視聴記録となりました。
ピックルボールは参加人口の増加が注目されやすいスポーツですが、プロリーグとして成長するためには「プレーする人」だけでなく「観戦する人」を増やす必要があります。
その意味で、全国規模のテレビ放送で視聴者数を伸ばしたことは重要なポイントです。
リーグ運営やコンテンツ配信戦略を担当してきたオドワニ氏にとっても、2026年はひとつの成果が数字として見えたシーズンだったといえます。
後任決定まではコミッショナーを継続
オドワニ氏は退任を発表しましたが、その瞬間からMLPを離れるわけではありません。
後任となる新しいコミッショナーが決まるまでは、引き続き現職にとどまり、リーグ運営を担当します。
シーズン終了後の引き継ぎ期間を設けることで、新体制への移行をスムーズに進める形です。
さらに、オドワニ氏は今後、Pickleball Inc.の取締役にも加わる予定です。
つまり、MLPのコミッショナーという現場トップの立場からは離れるものの、ピックルボール業界そのものとの関係がなくなるわけではありません。
投資会社での仕事とPickleball Inc.の取締役という立場を通して、今後も業界の成長に関わっていくことになります。
次に注目されるのは、新しいMLPコミッショナーが誰になるのかです。
視聴者数や観客数が伸びている状況をさらに拡大できるのか、各チームの価値をどう高めていくのか、そしてテレビ・配信を通じてMLPをどこまで広げられるのか。
次期コミッショナーには、競技とビジネスの両方を見る力が求められそうです。
まとめ
サミン・オドワニ氏は、2025年から2シーズンにわたりMLPコミッショナーとして、競技運営、チーム管理、ビジネス戦略、コンテンツ配信など幅広い分野を担当してきました。
2026年シーズンには視聴者数や来場者数、チケット収入が前年を上回り、MLP Finalsでは平均77万3,000人というリーグ史上最高のテレビ視聴記録も生まれています。
オドワニ氏は今後Apollo Sports Capitalへ移りますが、Pickleball Inc.の取締役としてピックルボール業界との関係は継続します。
MLPが成長期を迎えるなか、次期コミッショナーの人選と新体制がどんな方向性を打ち出すのかが次の注目ポイントです。


